メンバー、家族、恋人らが語る『フレディー・マーキュリー アントールド・ストーリー』まもなくOA

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これまでにも二度にわたりお伝えしてきたが、6月22日の土曜日、WOWOWではクイーン・ファン必見の3本のプログラムが放映される。バンドの結成40周年を記念して2011年に製作された長編ドキュメンタリー作品『クイーン ~デイズ・オブ・アワー・ライブス 輝ける栄光の日々-PART1/PART2』、50本以上ものミュージック・ビデオを3時間半以上にわたりお届けする『クイーン Music Video Collection』、そして今回ご紹介するのは『フレディー・マーキュリー アントールド・ストーリー』である。

この作品も『クイーン ~デイズ・オブ・アワー・ライブス 輝ける栄光の日々-PART1/PART2』と同様、ドキュメンタリーということになるが、同作と大きく異なっているのは、そのタイトル自体が示唆しているように、クイーンの歴史というよりもあくまでフレディ・マーキュリー自身の実像を浮き彫りにすることに焦点が絞られている点だ。それゆえに、もちろんブライアン・メイをはじめとするメンバーたちの発言も紹介されているが、それ以上に、個人としてのフレディをよく知る身近な人たちの証言量がとても豊富で、それがこの作品の大きな特色となっている。

たとえば母親、妹、まさしく“ラヴ・オブ・マイ・ライフ”という言葉の対象であるメアリー・オースティン、そしてジム・ハットン。他にもフレディの素顔を知る人たちが多数登場するが、そうした人たちの発言には当然ながらとんでもなくリアリティが伴っていて、新たな発見、深い感動をもたらしながら、いくつかの疑問にも答えてくれる。特に筆者自身の印象に残っているのは、「自分らしくいることを、誰も否定なんてできないわ」というメアリーの言葉だ。この発言がどういった文脈で登場したのかについては、実際の番組を見てご確認いただきたいところだが、まさしく映画『ボヘミアン・ラプソディ』における象徴的な台詞の数々に匹敵するような、印象深い言葉がたくさん登場する。

そうした的を射た証言者の選出もさることながら、取材量の豊富さもこのプログラムにおける特筆すべき点だ。なにしろフレディの生まれ故郷であるザンジバル、そして少年期の彼が過ごしたインドの寄宿学校にまで取材班は足を延ばしており、フレディの担任教諭だった人物の話まで引き出すことに成功しているのだ。これは長年のクイーン愛好家たちのみならず、映画をきっかけにこのバンドの底無しの魅力にのめり込み始め、彼らの歴史が綴られた書籍などを読み漁っている人たちにとっても、まるで本で読んだことがそのまま映像になったかのような作品として、お楽しみいただけるに違いない。

そして同時に思うのは、『クイーン ~デイズ・オブ・アワー・ライブス 輝ける栄光の日々-PART1/PART2』と同様、フレディ自身の人物像を浮き彫りにしたこの作品もまた、映画『ボヘミアン・ラプソディ』が製作されるうえで重要な資料となったはずだ、ということ。しかもこれらのプログラムを見ることによって、また映画を観たくなるし、映画のなかのさまざまなシーンが、いっそうのリアリティを伴ってくる。そして、映画においては実際の時系列などと異なる部分があるとはいえ、そうした次元での正確さ以上に、ひとつひとつの事実の意味やニュアンスといったものが重要視されていたことが、改めてよくわかる。

こうして『ボヘミアン・ラプソディ』は、まだまだ繰り返し観たくなる作品となり、今回放映されるそれぞれのプログラムについても、映画と交互に見て復習/再咀嚼したくなる。やはり6月22日、クイーン・ファンはテレビにかじりつくべきだろう。そして2019年の現在、こうしたある種の贅沢を味わえる幸運に、感謝したい。

文◎増田勇一

■WOWOW『クイーン ドキュメンタリー&MV特集』

放送日:2019年6月22日(土)
■『クイーン Music Video Collection』
6月22日(土)午後3:15〜 [WOWOWプライム]

■『フレディー・マーキュリー アントールド・ストーリー』
6月22日(土)よる7:00〜 [WOWOWプライム]

■『クイーン 〜デイズ・オブ・アワー・ライブス 輝ける栄光の日々-PART1』
6月22日(土)よる8:00〜 [WOWOWプライム]

■『クイーン 〜デイズ・オブ・アワー・ライブス 輝ける栄光の日々-PART2』
6月22日(土)よる9:00〜 [WOWOWプライム]

特設サイト: https://www.wowow.co.jp/music/queensp/

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