【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>Dragon Ash、もちろん最高で最強

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客席エリアのどこもかしこも完全に密集地帯と化していた。そこに鼓動を連想させるリズムが鳴り響く。そのSEに合わせて、まず姿を現わしたATSUSHIが大きなアクションでハンドクラップ。すると客席エリア全体から力強い生命力を思わせるハンドクラップが起こり始めた。それを全身で浴びながらゆっくり登場するDragon Ashのメンバー。Kjが「Dragon Ashです。よろしくお願いします」と一礼し、静かに歌い始めたのは「陽はまたのぼりくりかえすの一節。そして、それこそ朝陽がゆっくり昇っていくように、徐々に響き始めるバンド・サウンド。すでに感動も広がっていく会場だった。

◆Dragon Ash画像


こうして始まったステージは、次から急展開を見せる。BOTSがスクラッチやサンプリング・サウンドで耳を刺激し始めかと思えば、櫻井誠とKenKenによる超ド級のラウドなグルーヴが全身を直撃。ダンスというより激しいアクションで煽るのはATSUSHIとDRI-V。2017年の最新作『MAJESTIC』からの「Mix it Up」だ。さっきまでおだやかな表情で歌っていたKjも、鋭い目つきになり、野性味溢れるギターとボーカルで攻め立てていく。HIROKIはワーミーも使って刺々しいギター・フレーズを轟かせ、この場にいる全員の血流をさらに激しくさせる。



そこから続けるのは、なんと、THE MAD CALSULE MARKETSの「Pulse」。何の説明もなくやるもんだから、オーディエンスは一瞬、動きが止まるものの、次の瞬間にはDragon Ashの放つ音に痺れまくり。今日のDragon Ashはラウドやハード・スタイルに振り切った攻撃モードのようだ。「Headbangu」では「頭、ブッ飛ばせ!」とKjの煽り文句が勇ましく響く。KenKenの高速スラップ奏法から入った「The Live」でも、Kjは「頭ちぎれるぐらい振っちまえ!」と容赦しない。これに大喜びで盛り上がり続けるあたり、さすが、SATANIC CARNIVALのオーディエンスである。どちら側も完全燃焼する勢いで、強烈な熱さが会場全体を支配していた。

全員がジャンプしながら一体感を作った「Jump」に続けて「百合の咲く場所で」に入ったときだ。Kjは、フロアに広がるオーディエンスを改めて見渡し、叫ぶように言い放つ。

「ライブハウス、ロック・フェスはアーティストのもんじゃねぇからな。オマエらのもんだからな!」


その言葉に大歓声が沸き上がった。フロアではサークル・モッシュも生まれている。クラウドサーフも収まることがない。密集地帯にいる全員が暴徒化したようなエグさだ。それにしても、今日のDragon Ash、ここまでMCらしいMCは一切なし。その答えが明らかになったのはライブのエンディングだった。

「MCする時間入れないで、できるだけミクスチャー・ロックをセットリストに入れて、ふだんより曲を多くやらせてもらってます。パンクロックもミクスチャーもジャンルは違うだろうけど、エベレストとチョモランマと同じようなもん。これがミクスチャーっていうんだよ!」


トドメを刺すように決めるのは、もちろんキラー・チューンの「Fantasista」。どでかいコーラスがフロアから起こり、バンド・サウンドとひとつになって、熱い気持ちも結びきながら会場を揺るがしていく。序盤こそ感動で包み込むライブと思われたが、とんでもない、ミクスチャー・ロックの誇りを持ちながら、パンク・ロックに殴り込みを掛けたステージ。もちろん最高で最強である。


取材・文◎長谷川幸信
撮影◎瀧本 JON... 行秀

【Dragon Ashセットリスト】

1.陽はまたのぼりくりかえす
2.Mix it Up
3.Pulse
4.Headbang
5.The Live
6.Jump
7.百合の咲く場所で
8.Fantasista

■<SATANIC CARNIVAL'19>

6月15日(土) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
6月16日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
・物販開始 BOOTH AREA 開場 9:00
・LIVE AREA 開場 10:30 / 開演 12:00

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