【レポート】LUNA SEA、30周年記念ライヴ武道館初日「一緒に壊れてしまいたい!」
結成30周年を迎えたLUNA SEAが<LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days->と題して5月31日に日本武道館でアニバーサリーライヴの初日公演を開催した。
◆LUNA SEA 画像
チケットは瞬殺のソールドアウト。360度埋め尽くされた客席の景色が壮観な中、客電が落ち、幾つものヴィジョンにインディーズ時代のライヴやミュージックビデオ、10周年記念ライヴ(<LUNA SEA 10TH ANNIVERSERY GIG [NEVER SOLD OUT] CAPACITY∞>)の突風で倒壊したステージセットや東京ドームでの<THE FINAL ACT>、そして“REBOOT”以降のバンドの足跡を振り返ったメモリアル映像が月の満ち欠けとともに映し出され、アルバム『IMAGE』のオープニングのインスト「CALL FOR LOVE」が流れる中、アリーナ席にレーザーの光で巨大なピラミッドが立ち上がるというドラマティックな幕開け。
日本武道館が驚きと感動に包まれる中、ライヴはアルバム『IMAGE』からの流れなのだろう、いきなり「Dejavu」が投下された。場内は大合唱。INORANが早くもバックヤードを駆け抜け、RYUICHIが「日本武道館!」と叫ぶと怒涛の大歓声。鮮やかなLEDの照明がステージの床まで覆いつくす演出も祝福のライヴにふさわしく、「PRECIOUS…」ではINORANとJが並んでプレイし、やがて4人がセンターに集結。アッという間に武道館は熱狂の渦だ。
「みんな会いたかったぜ! LUNA SEA、30周年迎えました! このメンバーで走ってこられたのもいつも支えてくれるみんなのおかげなので、感謝したいし、まぁ、感謝というか、一緒に壊れてしまいたいです! 盛り上がっていこうぜ!」──RYUICHI
RYUICHIが煽り、次々にキラーチューンが放たれていく。セットリストは周年にふさわしく“ザ・ベスト・オブ LUNA SEA”を感じさせるものだ。Jのベースソロに“うおおおお!”という太い声が上がる「JESUS」、SUGIZOが激エモーショナルなソロを響かせ、会場が幸福な空気に包まれるモータウンテイストの「SHINE」。
「武道館、こんなに暑かったっけ?」とRYUICHIが笑顔を見せ、「今、いちばん俺たちが自信のある世界。それをみんなにこれからも少しずつ届けていきたい」という言葉のあとに披露されたのはTVアニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』の第一弾オープニングテーマでもある最新シングル曲「宇宙の詩 ~Higher and Higher~ 」だった。RYUICHIの伸びやかで力強いヴォーカルと銀河スケールで鳴らされる躍動感あふれるサウンドはLUNA SEAの現在進行形であり、最骨頂といっていい。武道館が宇宙船となって飛んでいってしまいそうな恍惚感がある。
その直後に浮遊感のカタマリのような名曲「gravity」を持ってくる流れも素晴らしく、LUNA SEAワールドで空間が満たされていく中、中盤では彼らの音楽に魅了され続けてきたファンも驚く展開が待っていた。SUGIZOのヴァイオリンの美しくも神秘的な調べに歓声とため息が漏れる「Providence」が、INORANのアコースティックギター、RYUICHIのヴォーカルという3人編成のアコースティックヴァージョンとして演奏される。
続いてはSUGIZOがトリプルネックギターに持ち替え、アルバム『MOTHER』収録の語り継がれる名曲「GENESIS OF MIND〜夢の彼方へ〜」が久しぶりに披露、30周年を迎えたLUNA SEAのグルーヴで鳴らされた。プログレッシブで切ないこの大曲も宇宙へと繋がっていくが如くの音像。RYUICHIのヴォーカルも圧巻で鳴り止まない拍手が武道館を包んだ。
そして驚きはこれだけではなかった。なんと真矢のドラムソロは“四拍子”といわれる“笛、小鼓、大鼓、太鼓”で編成された能の和楽器隊とのセッション。真矢が能楽士の父のもと幼少期から修行していたことはよく知られていることだが、独自の間合いを持つドラムスタイルのルーツここにあり。視覚的には度肝を抜かれたが聴覚的には全く違和感がなく、この試みも30周年ならでは。
続いてのフェンダーとタッグを組んだJのベースソロもワイルドかつソリッドで実に新鮮。武道館ごとひっぱっていく熱量を持つベーシストが、また新たな境地に踏み出したことを感じさせてくれた。
「FATE」で始まった後半戦ではRYUICHIが、30年経っても5人でステージに上がれること、今も全員がLUNA SEAの音楽を愛していることの奇跡について触れ、「I for You」を届けたほか、アコギを弾くINORANとRYUICHIがセンターで背中合わせになり、ステージ全体を彩ったブルーが水の中で演奏しているように見えた「IN SILENCE」などアニヴァーサリー仕様でキラーチューンを次々に投下。大合唱の中、メンバー同士のパフォーマンスからも演奏からも5人が最高の状態で30周年を迎えていることがダイレクトに伝わってくる。そして、「STORM」「ROSIER」「BELIEVE」といったあまりにも強力な楽曲3連発で本編が終了した。
スマホライトがあちこちで揺れて武道館に銀河が描かれたアンコールでは、SUGIZOにINORANが後ろから無邪気に抱きついたり、Jが客席に拍手を送ったりと和気藹々の空気の中、RYUICHIが「みんな『ガンダム』見てる?」と問いかけ、「ガンダムのアニメーションの中にある宇宙の痛みとか傷とか影とか、そういうものがLUNA SEAの音楽に光を与えてくれるのかなと思ってます」と核心に触れ、ダブルAサイドシングルのもうひとつの新曲「悲壮美」が披露された。RYUICHIの歌とSUGIZOのギターで始まり、途中からINORAN、J、真矢が加わっていくアプローチでプレイされた普遍的なメロディを持つこのバラードは、『ガンダム』の物語とLUNA SEAの世界が実に自然に寄り添っている。
そしてアンコール恒例のメンバー紹介ではRYUICHIがJに「30年前に僕が最初にアポイントをとったのはJです (※RYUICHIは最後にLUNACYに加入)」と明かすと、「そうだね。あっという間に30年。でも、その30年で忘れられないことがあって、ドーナツを……」とJが、RYUICHIが楽屋に差し入れたドーナツのことについて触れ、全員に行き渡らなかった差し入れの数をめぐってINORANが「ドーナツ!」と叫び、客席が「2個!」と答えるコール&レスポンスが繰り広げられるなど爆笑モードに。4個持ってきた(※そのときのLUNACYは4人体制だったらしい)と主張するRYUICHIと2個だったと主張するメンバーに未だ意見が分かれている中、詰め寄られた真矢が「確かに僕が受け取ったときは4つでした。30年経ったからいいと思うんですけど、僕が隠れて2つ食べました(笑)」とオチをつけた。
そして、SUGIZOは「『ガンダム』という最高のタッグを得ることができ、スティーヴ・リリーホワイトという最強のプロデューサーと仕事をすることになり、要は『ガンダム』とスティーヴという僕らにとって最高の翼を得ることができました。30年経って、LUNA SEAは始まったばかりです。これからさらに高みを目指してみんなを連れていくよ」と宣言。
湧きに沸く武道館の中、「Hold You Down」ではハンドクラップで盛り上がり、鉄板の「TONIGHT」からラストは銀テープが舞った「WISH」でRYUICHIもバックヤードを走って大団円。30年経って、LUNA SEAは始まったばかり。その言葉になんの濁りもないことを5人と集結した新旧のSLAVEたちが証明したライヴであった。
取材・文◎山本弘子
撮影◎田辺佳子/橋本塁
◆【レポート】LUNA SEA、30周年記念ライヴ武道館2日目へ
■<LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days->2019年5月31日(金)@東京・日本武道館セットリスト
02. PRECIOUS…
03. JESUS
04. DESIRE
05. SHINE
06. 宇宙の詩 ~Higher and Higher~
07. gravity
08. Providence (Acoustic Ver.)
09. GENESIS OF MIND ~夢の彼方へ~
〜Drum Solo & Bass Solo〜
10. FATE
11. I for You
12. IN SILENCE
13. STORM
14. ROSIER
15. BELIEVE
encore
en1. 悲壮美
en2. Hold You Down
en3. TONIGHT
en4. WISH
■<LUNA SEA 30th anniversary LIVE -Story of the ten thousand days->2019年6月01日(土)@東京・日本武道館セットリスト
02. TONIGHT
03. Rouge
04. END OF SORROW
05. TRUE BLUE
06. 宇宙の詩 ~Higher and Higher~
07. FACE TO FACE
08. RAIN
〜Drum Solo (乱序) & Bass Solo〜
09. BLUE TRANSPARENCY
10. I for You
11. BLACK AND BLUE
12. IN MY DREAM
13. TIME IS DEAD
14. ROSIER
encore
en1. 悲壮美
en2. Dejavu
en3. WISH
en4. FOREVER & EVER
■<LUNA SEA 30th Anniversary LIVE LUNATIC X’MAS 2019>
open15:30 / start17:00
12月22日(日) さいたまスーパーアリーナ
open14:30 / start16:00
▼チケット
一般発売:9月28日(土)~
【オフィシャルファンクラブ先行受付】
受付開始:6月3日(月)~
https://www.lunasea.jp/
■ダブルAサイドシングル「宇宙の詩 ~Higher and Higher~ / 悲壮美」
▲初回限定盤A
【初回限定盤A (CD)】UPCH-7493 ¥1,389+税
※安彦良和“機動戦士ガンダム THE ORIGIN”イラストジャケット仕様
▲初回限定盤B
【初回限定盤B (CD)】UPCH-7494 ¥1,389+税
※安彦良和“LUNA SEA”イラストジャケット仕様
▲通常盤
【通常盤 (CD)】UPCH-5961 ¥1,389+税
【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤A】D2CJ-6282 ¥7,000+税
CD:安彦良和“機動戦士ガンダム THE ORIGIN”イラストジャケットLPサイズ仕様
DVD:「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」Music Video”機動戦士ガンダム THE ORIGIN“Ver.
Tシャツ:安彦良和“機動戦士ガンダム THE ORIGIN”イラスト絵柄 ※フリーサイズ
https://store.universal-music.co.jp/product/d2cj6282/
【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤B】D2CJ-6283 ¥6,000+税
CD:安彦良和“LUNA SEA”イラストジャケットLPサイズ仕様
Tシャツ:安彦良和“LUNA SEA”イラスト絵柄 ※フリーサイズ
https://store.universal-music.co.jp/product/d2cj6283/
▲UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤A 付属Tシャツ
▲UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤B 付属Tシャツ
※Tシャツサイズ:着丈 72cm / 身幅 52cm / 肩幅 45cm / 袖丈 20cm
※予約期間:4月15日(月)18:00~ ※予定数に達し次第終了
▼CD収録曲 ※全形態共通
1. 宇宙の詩 ~Higher and Higher~ (そらのうた)
2. 悲壮美 (ひそうび)
▼配信情報
LUNA SEA「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」ダウンロード&サブスクリプション配信中
https://umj.lnk.to/S92QZ
■デビュー以降のオリジナルアルバム全8作品をアナログレコード化
『IMAGE』
UPJH-9064/5 ¥4,630+税
※1992年作品 / 45回転 / 2枚組
『EDEN』
UPJH-9066/7 ¥4,630+税
※1993年作品 / 45回転 / 2枚組
『MOTHER』
UPJH-9068/9 ¥4,630+税
※1994年作品 / 45回転 / 2枚組
『STYLE』
UPJH-9070/1 ¥4,630+税
※1996年作品 / 33回転 / 2枚組
『SHINE』
UPJH-9072/3 ¥4,630+税
※1998年作品 / 33回転 / 2枚組
『LUNACY』
UPJH-9074/5 ¥4,630+税
※2000年作品 / 33回転 / 2枚組
『A WILL』
UPJH-9076/7 ¥4,630+税
※2013年作品 / 45回転 / 2枚組
『LUV』
UPJH-9078/9 ¥4,630+税
※2017年作品 / 33回転 / 2枚組
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