【インタビュー】XERO FICTION、Jun Gray Recordsより2年ぶりアルバム発表「耳にこびりつくポップ」

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■変わる第一段階じゃないですけど
■“開けたかな”って感じがしてます

──2人は以前のバンドでハードコアをやっていましたが、自分自身の音楽的ルーツはポップなものが軸になっているんですか?

ハルカ:そうですね。ハードコアをやっていたんですけど、私はハードコアのなかでもメロディラインがあるのが好きで。ハードコアバンドをやりながら、その一方で70'sパンクとかパワーポップにもハマっていて、次にやるならそういう感じでもいいなと思っていたんです。それで「ポップ寄りでやってみよう」ってXERO FICTIONを始めたので。

──解放感も味わいながら?

ハルカ:そうですね。ハードコアから離れたことで、こだわりを作らなくてもいいかなと思ってましたね。鍵盤も入れているので、サウンド的にも楽曲的にも大きく変わって。

コウイチロウ:今でも基本的にはハードコアばかり聴いているんですけど、昔からポップな音楽も大好きなんですよ。特に女性ボーカルのバンドが好きで。ハードコアと並行してずっと聴いてますね。だからハードコアバンドをやりながら、女性ボーカルのバンドに憧れてはいました。

──その夢を実現させたのがXERO FICTIONということに?

コウイチロウ:僕はそうですね。

ハルカ:私も女性ボーカルのバンドが好きなんですけど、綺麗な声というよりは、ハスキーな声の女性ボーカルが好きで。本当はそういうのを理想としていたんですけど、自分ではそういう声が出ない(笑)。だから「理想か?」と聞かれたら、ちょっと違うかな(笑)。もっとカッコよく歌いたいって憧れがあるんですよ。でも、どうしても自分の声質とは違って。

▲XERO FICTION

──曲作りのとき、自分の声のキーやレンジ、得意なメロディラインなど、お互いにやり取りしながら進めました?

ハルカ:そうですうね。キーは合わせてもらうんですけど、ギリギリの高さで歌ってるのがメンバーは好きなんですよ。だから、けっこうキツいキーです。メンバーは無茶させたがり(笑)。

──そこはハードコア出身なので、無茶が好きってことでしょう。

ハルカ:そういうことなのかな(笑)?

コウイチロウ:そうですね(笑)。声を張ってギリギリのところで歌ってもらうほうが好きなんです。聴いていても突き抜けていく気持ちよさがあるので。

ハルカ:だから、いつも無難な音程は許してもらえなくて(笑)。

──今回の洗練されたポップ感は、ライブの勢いそのまま出せばいいというものではなく、アレンジの完成度が決め手になりますよね。かなり細かい部分まで気を使いました?

コウイチロウ:アレンジ面では、いつも悩みに悩んで作っていますね。そこが一番時間が掛かるところです。前作でレコーディングのいろいろな方法も覚えて、録り自体は慣れた感じでできましたけどね。

ハルカ:ボーカルは前作まで2本録り(ダブルに)していたんですけど、今回から1本にして。日本語詞になったので、より抜けを良くさせて、言葉も伝わりやすくするために。それで歌録りはけっこう大変でしたね。

コウイチロウ:前作までは80's感を出したかったので、ボーカルもダブルにしていたんですよ。今回はコンセプトが違うっていうか、日本語詞になるし、80's感とかも意識せずにやってみようと。それでボーカルは1本になりましたね。

ハルカ:私的には変わる第一段階じゃないですけど、“開けたかな”って感じがしてます。あと上モノでシンセもかなり入れ込んだので、曲やサウンドの雰囲気も変わったと思いますね。

コウイチロウ:こだわりがいい意味でなくなったので、さらに自由になったんです。メンバーの成長もレコーディング過程で感じて、やっとこんな感じでできるようになったんです。


──いろんな引き出しを持っているバンドですよ。様々な表情を見せてくれるところが、通常のポップとは違うところですね。

コウイチロウ:パンクやハードコアをやってきた過去があるのに、同じ人間だけど、今はこんな感じのこともできますよと。そういうのを見せたくてしょうがなかったんです(笑)。ハードコアやってきたのにXERO FICTIONみたいな音のバンドになる人たちって、あんまりいないと思うんですよ。

──でも、決して単調なポップ感ではないと思います。流れてしまうポップさじゃなくて、引っかかりがある。

コウイチロウ:ありがたいです。レコードを買うとき、店頭ポップに“ポップ・ライクの人はマスト!”とかよく書いてあって、それに惹かれて買ったりするんですよ。でも聴いてみたら、“そうじゃないだろう”って思うこともあるから(笑)。XERO FICTIONは、人の耳につくことを重点に、曲やアレンジを考えていますね。ヒダカ (トオル / THE STARBEMS / 元BEAT CRUSADERS)君にも僕はすごくお世話になっているんですけど、気が合うというか、僕らがやろうとしていることをすぐに分かってくれましたね。「できるんだからやりなさいよ」と言ってくれて。すごく応援もしてくれていますね。

──5曲目「SEVENTEEN(remix ver.)」には、ケイタイモ(元BEAT CRUSADERS / WUJA BIN BIN / ATOM ON SPHERE)の姿が見え隠れするシンセフレーズもあったりして、ニヤッとするポイントでした(笑)。

コウイチロウ:そうです、影響は受けていますね。BEAT CRUSADERSのようなスタイルにも共感できます。見た目は違いますけど(笑)。

──2曲目「The Voice」は、リズムの多彩さや展開などが相当入ってます。その聴きごたえから、もっと長い曲かと思ったんですけど、コンパクトな再生時間なんですよね。

コウイチロウ:そこはハードコア出身なんで、曲の時間が長いのは苦手なんですよ(笑)。それで3分以内とか3分半とか最初から決めて、そこに収まるようにアレンジを調整していくこともけっこうありますね。「The Voice」はもっと長かったんですけど、どんどんそぎ落としながら展開を付けていった感じです。

──3曲目「Round and round」は、ボーカルにオートチューンも掛かっていて、ポップ感を増強させた振り切り方だと感じました。

コウイチロウ:“ちょっと違うアレンジの曲があったらいいな”と思って試しにオートチューンを掛けてみたら、これはこれでいいなと。それで採用しました。今回から歌詞が日本語になったのも大きいんですよね。英詞では雰囲気が作りづらかったアレンジも、日本語だったらハマるようになったのかなと思います。

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