【インタビュー 前編】SUGIZO & 真矢、LUNA SEA30周年を語る「ロックバンドという形態で最高かつ唯一無二」

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■“やっとここから始まる”っていう
■感触を持ったのが30年前の今頃──SUGIZO

真矢:だって、もともと「プロになろう」って誘ってくれたのはSUGIZOだから。

SUGIZO:17歳のときだった。

真矢:あの日がなかったら、今の俺はここにいなかったかもしれない。

SUGIZO:でも、逆に言うと真矢がLUNACYに誘われたとき、「SUGIZOが一緒じゃないとやらない」と言ったっていうのがあったから。だから真矢がいなかったら、俺はLUNA SEAをやってない。

真矢:だから面白いよね。

──その頃に「プロになろう」っていう話をしたんでしたっけ?

SUGIZO:それより遥か前ですね。真矢のことはドラムを始める前から知ってるんだけど、ドラムを始めて1ヵ月ぐらいして、たまたま何かのタイミングで叩いているのを見たときに“コイツはすごい!”と。高校1年のときにバンドに誘って、数ヵ月後には「プロになるぞ!」って家まで説得しに行ったんですよ。

真矢:そうそう。

──バンド始めたばっかりで「プロになるぞ!」って言われても、“コイツ、どうしたんだ?”とか思いませんでした?

真矢:思った思った(笑)。“なに考えてんだよ?”と思ったんだけど、“もしコケたとしても、一回それに賭けてみようか”って感じだったね。

SUGIZO:真矢も最初は「バカ言ってるんじゃねーよ。なれるわけねーだろ」って言ってたんだよね。あと、よくこのメンバーが地元で集まったよね。

真矢:集まったねー。

SUGIZO:客観的に見てもLUNA SEAって各メンバーのスキルとか存在感が特別だと思うんですよ。そうなる素養は10代のやんちゃなガキんちょの頃からすでに持っていたと思う。例えば、学校の中でも異彩を放っているというか、目立っていたり、街にいてもなぜか注目されたり。たまたま、そういうヤツらが集まったんですよね。最初はINORANとJがLUNACYっていうバンドをやっていて、真矢と俺は違うバンドを組んでいたんです。この2バンドはよく対バンするような関係だったんだけど、大学に進学するとか社会人になるからっていう理由でバンドをやめていくヤツが多い中、音楽に賭けていたのが俺たちだけだった。で、真矢と俺がLUNACYに入って、当時、RYUICHIはまだ加入していなくて違うヴォーカルだったんだけど、彼がやめて本気のRYUICHIが入って、今の5人になった瞬間に、俺は初めてゼロ地点に立ったような気がしたんですよ。“やっとここから始まる”っていう感触を持ったのが30年前の今頃。

真矢:初めて音を出したときのインパクトはすごかったね。

SUGIZO:不思議なんだけど、その前のヴォーカルのときは音合わせてみたら、「ダメだ。こりゃ」って真矢と言ってたんです。

真矢:うん。言ってた。手応えが全くなかった。

SUGIZO:バンドの音はぐしゃぐしゃだし、歌が全然飛び込んでこない。前任ヴォーカリストは普通のバンド好きの10代というか、半分遊びみたいな音楽への接し方だったので、真矢と「一回ライヴをやったらやめよう」って言ってたぐらいだったんだけど。RYUICHIが合体した途端に豹変して「これが運命の組み合わせだ!」って。

真矢:本当にそう! これ読んでるみんなに、今、あの衝撃を感じてほしいぐらいにピタッときたんだよね。

SUGIZO:ちなみに当時、リハーサルは俺の家でやってたんですよ。自分の部屋を改造したんだけど、3分の2は真矢のドラムが占めてたもんね(笑)。

真矢:はっはは。デカいからね、ドラムセットは。

SUGIZO:そこで5人で合わせて“これだ!”って思ったのが、ちょうど30年前の5月の頭ぐらい。

──そもそもLUNACYのライヴをRYUICHIくんが町田プレイハウスへ観に来たんでしたっけ? たしかドーナツの差し入れを持ってきたんですよね?

真矢:あったね。

SUGIZO:当時、RYUICHIはRYUICHIで別のバンドをやってて、お互いライヴは観てたんですよ。で、お互いに一緒にやっているメンバーの音楽に対する姿勢に不満を持っていたんだと思う。さっき真矢も言ってたけど、“どこまでバカになれるか”だと思うの、“自分にはこれしかない”、“自分たちは絶対にやり遂げられる”って。普通の人から見たら「バカじゃね?」って言われるレベルかもしれないけど、そういう人間じゃないと頂点には立てないし、30年もやってないと思う。

──そうかもしれないですね。

SUGIZO:だからあの頃、30年後のことは想像してなかったけど、あの気迫とか狂ってるんじゃないか?ぐらいの思い入れがあって、そのまま30年が通過したんじゃないかと思う。

──なるほど。RYUICHIくんのヴォーカルや存在感も、“コイツ、ちょっとおかしいんじゃない?”ぐらいのレベルだったわけですね。

真矢:そうだね。RYUの前のバンド、見たことあったっけ?

SUGIZO:あるある。真矢、見てなかったっけ?

真矢:俺はビデオで見た。

SUGIZO:だから、さっき話した前任ヴォーカルみたいに趣味でバンドやってるメンバーがいたり、RYUのところのギターも半分暴走族みたいだったしさ(笑)。音楽に賭ける情熱っていうところで似た者同士だった5人がLUNACYになったわけですよ。

──そういう5人が奇跡的に地元・神奈川で集まったと。まわりのバンドはLUNACYを見て“すごい連中が出てきたな”って?

SUGIZO:たぶん、そう見てたと思いますよ。だって町田界隈の連中が音も見た目もやり方もウチらのマネし始めたもんね。もちろん狭いエリアなんだけど、それから数ヵ月後には目黒のライヴハウス(目黒鹿鳴館や目黒ライブステーション)に出るようになって。D’ERLANGERとかZi:Killとか先輩がいて、でも、ウチらはそのどこにも属さない新しい何かを持っていたと思う。LUNACYが結成した時期ってXが『BLUE BLOOD』でデビューした時期なんだけど、Xとも違っていたし、先輩たちとは違うことをやりたいって。

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