【レポート】<RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2019>、「新鮮で面白い体験! ローラースケートでデイム・ファンクの音を楽しむ」

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毎年恒例となった<RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2019>。昨年はJR山手線をジャックしてクラブ化するなど、これまでに都内のさまざまなヴェニューで趣向を凝らした音楽イベントを数多く開催している。今年予定されているイベントなかでも、個人的にも最も注目していたのがここで紹介する<DāM-FunK - A Roller Skate Affair>だ。

1970年代〜80年代に海外で流行したローラースケート・ディスコを日本に再現することをコンセプトにしたこのイベントだが、ダンス・ミュージックのファンならムーディーマンが主催するローラースケートのパーティ<Soul Skate>をきっかけにローラースケート+ダンスミュージックに興味を持った人もいるかもしれない。近年、アンダーグラウンドで再び注目を集めるローラースケートだが、<Soul Skate>でディスコやハウスに合わせてスケートする映像を見た筆者は、“なにこれ、楽しそうじゃん”と思っていたので、これは願ったり叶ったりのイベントが開催されるぞと、意気込んで会場へと向かった。



<DāM-FunK - A Roller Skate Affair>の会場は、都内最大のスケート場、東京ドームローラースケートアリーナ。ドームやシティホールといった音楽好きにとって行き慣れた場所ではなく、“黄色いビル”を目印に行く進んでいくと、ローラースケート場へと辿り着く。まだ、DJの開演前の時間帯だったが、スケートリンクを見るとすでに多くの人がローラースケートを楽しんでいた。スケート自体は参加自由だが、サウンドシステムはスケートリンクを囲むように設置されていて、どう考えてもあそこがメインフロアであることに違いはない。筆者自身、ローラースケートは未体験だったが、これはやるしかない!と、シューズ・レンタルの受付へと行き、靴を履き替えた。



最初はおっかなびっくりで歩くことしかできなかったが、だんだんと滑れるようになっていく。スケートの個人練習をしているうちに、FORCE OF NATUREのKZAのDJがスタート。滑るのに必死な時点では音があまり耳に入ってこなかったが、スケートに慣れるにつれて、リンクの四隅をスピーカーで囲んだ音響がとても新鮮であることに気がついた。グルグルと周回していると少し音が離れたり近くなったりして、滑っている感じがあって面白い。途中、KZAがバレアリックに盛り上げていくと、こちらもテンションが上がってスピードも(ビギナーなのでちょっとだけ)上がる。4つウチとローラースケートのスピード感のマッチングは、ちょっと中毒性があるくらいにハマれて、楽しい。



真剣にスケートを滑っていると汗もかく。このイベントは、スケートリンク内はアルコール禁止となっているので、途中でリンクを出て休憩がてらにレッドブルを乾いた喉に流し込む。休憩中にリンクへと目を向けると、筆者のようなビギナーから滑れるヤング、青春時代にローラースケートに明け暮れたであろう百戦錬磨な方々まで、さまざまな客層の人々が滑っていた。DJタイムが進むにつれて滑る人も増え、リンク内は人で溢れかえった。ときどき人同士が接触しようになっても、お互いに笑顔を交わし合っていたりと、会場にはピースな雰囲気に溢れていた。



休みととったところで、第二ラウンドのスタート。DāM-FunKへとDJが交代すると、音楽も4つウチからブギーなファンクへと変わる。ハウスの安定したスピード感も良いが、ファンクやヒップホップのビートもこれまたゴキゲンで、スケーティングとピッタリ合う。さらに自分自身もスケートも慣れてきたせいもあって、余計に楽しい(笑)。とは言っても、調子にのって普段フロアで踊っているようなモーションをすると、バランスを崩してコケそうになる……でも、滑っていると、やっぱり楽しいのだ。



リンクのセンターではプロのローラースケーターのみなさん(rollerz)がフォギュアスケートのようなダンスを披露していた。音が盛り上がってくると、そのプロの方々が先導してトレインを作り、みんなで一緒に滑ったりするうちにリンク内のテンションも上がり、リンクから自然と歓声が沸き起こる。DāM-FunKになってからはリンクの前のほうではスケート靴を履きながらも、その場で踊っている人も増えて、いろんな楽しみ方をする人が増えていった。



滑りはじめてから3時間近くが経ち、さすがに足が悲鳴を上げてきたので、スケート靴を脱ぐ。バーカウンターで念願のアルコールを頼み、DJブースの前へと行き、音を楽しむ。レコード・ディガーでもあるDāM-FunKは、プレイしているレコードのジャケットを毎回見せてくれて、プレイする音楽同様に終始ゴキゲンな様子だった。ラストに近づくと和モノをプレイして、DJブース前のフロアとスケートリンクを煽る。最後にはレコードをかけながら自身の歌を披露(意外と巧かった!)。音が止まるとアンコールの声が飛ぶが、さすがに23時を回っていたこともあり、パーティは幕をとじた。



いつものようにダンス・ミュージックを聞いてクラブのフロアを踏みしめるのとは違い、そこにローラースケートというアミューズメントが介在することで、こんなにも新鮮で面白い体験ができるとは、自分にとっても新たな発見だった。このパーティを通して、筆者はすっかりローラースケート・ディスコの虜になってしまった。これを機に、日本でもローラースケート&ダンスミュージックのイベントが開催されるようになってほしいし、そうなったら是が非でも足を運びたい。なぜなら、このイベントは筆者のようなスケート初心者でも、誰でも楽しむことができるから。スケート靴を履いて、リンクに立つことさえできれば、ダンスミュージックの新たな楽しみ方に必ずや気付くことができるはずだ。

取材・文:伊藤大輔
写真:Yusuke Kashiwazaki / Red Bull Content Pool
Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool
Suguru Saito / Red Bull Content Pool

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