【ライブレポート】a flood of circle主催<A FLOOD OF CIRCUS>、「生きててサイコー!」
a flood of circle主催イベント<A FLOOD OF CIRCUS 2019>が4月13日、渋谷TSUTAYA O-EASTにて開催された。結成10周年を超えたタイミングだった初回、アオキテツ(G)加入が発表された第2回、このイベントはa flood of circleの歩みとともに進化を続けてきた。第3回目となる2019年は過去最高に“ロックバンド”が集結、今のa flood of circleの意志をロックシーンに強く刻みつける祝祭となった。
◆<A FLOOD OF CIRCUS 2019>画像
フラッグで彩られたライブハウスO-EAST内は多くの人で賑わい、ムードはまさにサーカステント。まず青いカーペットが敷かれたステージにa flood of circleのメンバーが登場した。佐々木亮介(Vo・G)が「<A FLOOD OF CIRCUS>のルールはとにかく自由にやることなんで、好きに騒いで帰ってください、よろしくどうぞ!」と挨拶し、2ステージ全7バンドによるイベントがいよいよ開幕だ。
ELEPHANT STAGEの一番手は爆弾ジョニー。a flood of circleのSEでお馴染みの「Superstition」とともに姿を現し、「終わりなき午後の冒険者」の軽快なメロディで観客の心を一気に掴むと、りょーめー(Vo)は骨折して腰にコルセットを巻いていることなどお構いなしに、ステージを縦横無尽に動き回る。
a flood of circleのサポートを務めていたキョウスケ(G)は、セッションバンド“The Hosomes”で前回に出演したことを振り返りながら、「東京でa flood of circleと共演するのは初めて」と感慨を口にする。ラストは“ありがとう”の合唱が響き渡った「かなしみのない場所へ」と「イミナシ!の優しいメロディに想いを託して、 ステージをあとにした。
続いてTIGER STAGEには佐々木(Vo)、新井弘毅(G)、田淵智也(B / UNISON SQUARE GARDEN)、鈴木浩之(Dr)からなる新バンド、THE KEBABSが登場。オープニングのセッションから極太のサウンドをうねらせ、「THE KEBABSのテーマ」を放つ。
のちに佐々木が「友達と組んでるみたいなバンド」と紹介していたが、クセ者たちのスキルが容赦なく絡み合う驚異的な音圧とグルーヴに緩さは一切ない。一方でキャッチーなメロディがきらめく「Cocktail Party Anthem」や、遊び心溢れる歌詞が印象的な「台風ブンブン」など多彩な楽曲で場内を魅了し、バンドの自由さと可能性を存分に見せつけた。
すっかり火がついた空間をさらに燃えあがらせたのはELEPHANT STAGEのTHE BAWDIES。1曲目から「NO WAY」「SING YOUR SONG」とキラーチューンを連打し、すぐさまハッピーなロックンロールパーティ空間を作り上げてしまう。
MCではROY(Vo)が<FUJI ROCK FESTIVAL 2007>のROOKIE A GO-GOステージで初共演し、メジャーデビューアルバムの発売日が同じだったというa flood of circleとの縁深さを語り、「YOU GOTTA DANCE」「EMOTION POTION」と当時の楽曲を披露。休む隙を与えることなく、恒例の小芝居で『STAR WARS』ネタが炸裂した「HOT DOG」からどんどん加速。すべてのオーディエンスを巻き込むパワーでジャンプ&コールを巻き起こし、心も体も踊らせるさすがのパフォーマンスだった。
手強いバンドが続いた同イベントに殴り込みをかける勢いでTIGER STAGEに現れたのは、平成世代のロックンロールを鳴らすclimbgrowだ。杉野泰誠(Vo・G)が「俺たちが日本のロックンロールバンド、climbgrowです!」と威勢よく名乗りをあげ、最新ミニアルバム『CROSS COUNTER』から「LILY」を投下。荒削りながらソリッドなアンサンブルを叩きつけ、「音楽に歳なんて関係ねえから!」と終始前のめりな姿勢に、オーディエンスも熱で応えていく。
ラストは「風夜更け」に乗せた言葉と歌がまっすぐ胸を打った。それにしても、ここまで生身のバンドサウンドと嗄れ声のシャウトを浴び続けるフェスは他にない。
ギラついたclimbgrowに対し、結成30周年イヤー真っ只中のthe pillowsが風格たっぷりにELEPHANT STAGEへ登場した。大歓声で迎えられると、1曲目の「Rebroadcast」から、キレのいいギターとビートに乗せて突きあげられる一面の拳。ビール片手に山中さわお(Vo・G)が「50代ロックバンドのテンションの低さを見せつけてやるよ」と笑いを誘いつつ、30年を経て、なお高まるロックの衝動と色気に満ちたサウンドで、一気に空気を染め変えてみせる。
珠玉のメロディが切ない「この世の果てまで」やイントロで歓声があがった「サードアイ」など堂々たる佇まいで鳴らされる名曲の数々に酔い痴れた。
TIGER STAGEのトリを飾ったのは、当日まで伏せられていたシークレットゲストのDOESだ。会場に少し漂う緊張感を壊すように、「明日は来るのか」のギターリフと力強いドラムが鳴り響く。鉄壁のスリーピースから放たれるその音は活動休止中とは思えない力強さだ。続く「曇天」のイントロが始まると、フロアはもはや狂騒状態へ。
前回は“The Hosomes”で出演したYasu(B)が、「“去年、(佐々木に)DOESで出ろバカヤロー”って言われたから、出てやったよバカヤロー!」と煽り、「バンドっていいな! やりたくなっちゃうなあ」と氏原ワタル(Vo・G)も笑顔。ラストはキラーチューン「修羅」「バクチ・ダンサー」を放ってオーディエンスを全力で踊らせる。この続きを期待してしまう圧巻のステージだった。
そして、ロックンロールバンドたちの熱演を受け、満を持してa flood of circleがELEPHANT STAGEに登場。「サーカスへようこそ!」と佐々木が叫ぶと、相応しい「Flyers Waltz」でライブがスタート。イントロから爆発するような音圧で会場を飲み込み、すべてをなぎ倒して転がるようなグルーヴで「ミッドナイトクローラー」「Dancing Zombiez」を連打。呼応して沸点をあげ続けるフロアの熱狂がすさまじい。
アオキの鋭いギター、HISAYOの踊るベース、渡邊一丘の全身全霊のドラミングで加熱一方のまま、「Sweet Home Battle Field」では佐々木が観客の上にダイブして渾身のシャウトを響かせた。
MCでは佐々木が、「次は象を呼びたい」と冗談を交えながら、「今日は今までで最高にすごい」と噛み締める。そこから1年前のアオキ加入を振り返りつつ、さらに次へ向かう一歩として、壮大に広がるミドルテンポの新曲「The Key」を歌いあげた。
ラストは4人4様の暴れっぷりが再び襲いかかった「ハイテンションソング」「美しい悪夢」でフィニッシュ。がむしゃらに走っているようでいてブレないアンサンブルに、今のa flood of circleのフィジカルな完成度が伝わってくる圧倒的なアクトだった。
アンコールでは、「生きててサイコー!」と佐々木が満面の笑顔を見せ、「ここにいるあんたに捧げます」と、最新アルバムのタイトル曲「Center Of The Earth」を真摯に届ける。ロックンロールを信じ、バンドというものを信じて歩んできたa flood of circleの想いの強さが、このサーカスを実現させ、出演バンドとの縁を繋いで今日がある。会場にいる全員がその奇跡を体感したことだろう。
サーカスを締めくくるべく投下されたのは明日の歌“「シーガル」。途中キョウスケが乱入するシーンも挟み、サビを大合唱するオーディエンスの声で熱狂は頂点へ。残響の中、「転がりまくっていくんで、よろしくどうぞ!」という頼もしい言葉を残し、3度目のサーカスが幕を下ろした。
取材・文◎後藤寛子
撮影◎新保勇樹
■a flood of circle presents<A FLOOD OF CIRCUS 2019>4月13日(土)@渋谷TSUTAYA O-EASTセットリスト
01. 終わりなき日々の冒険者
02. KEN・KYO・NI・ORA・TUKE
03. アメリカンマッスル
04. キミハキミドリ
05. HOPE
06. MELODY
07. メドレー(123 356~緑~賛歌)
08. 悲しみのない場所へ
09. イミナシ!
【THE KEBABS】TIGER STAGE
01. THE KEBABSのテーマ
02. すごいやばい
03. メリージェーン知らない
04. Bad rock'n roll show
05. ピアノのある部屋で
06. Cocktail PartyAnthem
07. 台風ブンブン
08. ガソリン
【THE BAWDIES】ELEPHANT STAGE
01. NO WAY
02. SING YOUR SONG
03. YOU GOTTA DANCE
04. EMOTION POTION
05. HOT DOG
06. IT'S TOO LATE
07. JUST BE COOL
08. TWISTIN' ANNIE
【climbgrow】TIGER STAGE
01. LILY
02. RAIN
03. SCALET
04. mold Hi
05. ラスガノ
06. 風夜更け
【the pillows】ELEPHANT STAGE
01. REBROADCAST
02. Blues Drive Monster
03. MY FOOT
04. About A Rock'n Roll Band
05. Funny Bunny
06. この世の果てまで
07. サード アイ
08. ハイブリッド レインボウ
09. Locomotion,more!more!
【DOES】TIGER STAGE
01. 明日は来るのか
02. 曇天
03. KNOW KNOW KNOW
04. 三月
05. レイジ―・ベイビー
06. 修羅
07. バクチ・ダンサー
【a flood of circle】ELEPHANT STAGE
01. Flyer’s Waltz
02. ミッドナイトクルーラー
03. Dancing Zombiez
04. Sweet Home Battle Field
05. Honey Moon Song
06. The Key
07. The Beautiful Monkeys
08. ハイテンションソング
09. 美しい悪夢
encore
en1. Center Of The Earth
en2. シーガル
■アルバム『CENTER OF THE EARTH』
【初回限定盤 (CD+特典CD)】TECI-1621 ¥3,800+税
※特典CD:佐々木(Vo)&アオキテツ(G)による新ユニット“サテツ”の3曲入りシングルCD
【通常盤 (CD)】TECI-1622 ¥3,000+税
01. Flood
02. Vampire Kila
03. 光の歌
04. Backstreet Runners
05. Youth
06. ベイビーそれじゃまた
07. 美しい悪夢
08. ハイテンションソング
09. Drive All Night
10. スノードームの夜
11. 夏の砂漠
12. Center Of The Earth
▼「サテツ」デビューシングル収録曲 *初回盤のみ
01. Champagne Free Flow
02. LALILA(あるいは気を失うまで)
03. Golden Dead Cigar
■シングル「The Key」
TECI-678 ¥1,300+税
01. The Key
02. Backstreet Runners Ⅱ
03. 群青日和(東京事変のカバー楽曲)
04. The Key -群青のマグメルver.-
※「The Key」:4月期放送のTVアニメ「群青のマグメル」のエンディングテーマ
■<a flood of circle Tour CENTER OF THE EARTH 〜アーユーハイテンション?〜>
6月13日(木) 高松DIME
6月14日(金) 大阪梅田TRAD
6月16日(日) 福岡CB
6月21日(金) 名古屋CLUB QUATTRO
6月23日(日) 大分club SPOT
6月25日(火) 岡山PEPPERLAND
6月28日(金) 札幌cube garden
6月30日(日) 仙台CLUB JUNK BOX
7月06日(土) 長野J
7月07日(日) 水戸LIGHT HOUSE
7月13日(土) 東京マイナビBLITZ赤坂
※全公演前売り ¥3,900(D代別)
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