【インタビュー】THE NOVEMBERS、「ビジョンや予想を、どう裏切るか」
THE NOVEMBERSが、ニューアルバム『ANGELS』を3月13日(水)にリリースした。2017年9月に初のベストアルバム『Before Today』をリリースし、その後も新曲を収録したEPや教会ライブDVD&CDを発表するなど、勢力的に活動を行ってきた彼らだが、オリジナルアルバムの発表は前作『Hallelujah』から約3年ぶりだ。
THE NOVEMBERS自らが、「代表作」と位置付ける今回のアルバム『ANGELS』は、どのようにして生まれたのだろうか。今回BARKSでは、小林祐介(Vo/G)へのオフィシャル・インタビューを掲載する。
◆ ◆ ◆
── フル・アルバムとしては約3年ぶりとなりますが、昔と今で音楽を作る過程の変化はありますか?
小林祐介(Vo/G):曲ごとに、作品ごとに曲を作るプロセスが様々ですので、一概には言えないのですが、昔より具体的なビジョンをもって制作に臨むようになりました。それと同時に、そのビジョンや予想を、どう裏切るかを自ら実験することが多くなりました。
── このアルバムはいつ頃から制作しましたか? 限られた時間の中で楽曲制作をしたと伺いましたが、レコーディングをしてみて特に大変だった曲はありますか?
小林:具体的に制作に取り組み始めたのは2018年の10月くらいからだと思います。ただ、音楽を作ることがライフワークでもあるので、前作リリース後から毎日作り続けている、とも言えます。大変だったことは、曲の候補を減らすこと、テーマを絞ること、作品の目的に焦点を合わせること、などです。実際に手を動かしたりする作業は充実した良い時間だったと思います。
▲小林祐介(Vo/G) |
小林:“きっかけ”と“理由”を別に答えます。まず、『ANGELS』作品名にした“きっかけ”は、2018年11月11日の公演で「来春、新作をリリースする予定がある」ということを発表したかったことです。その発表にあたって、作品名を考えていた時、ふと『ANGELS』という言葉が浮かびました。なぜかはわかりませんが、「これだ」という確信のようなものがありました。結果的に、沢山の意味や想いのこもった『ANGELS』が仕上がりましたが、それは胸に秘めておこうと思います。
── タイトルは『ANGELS』ですが、先行トラックの「DOWN TO HEAVEN」、そして先日公開された「Everything」を聴くと、アルバムには天国と地獄が混在しているのではないか、という印象を受けました。今回、新曲をつくるにあたり、どういうことを考えながら制作したのでしょうか?
小林:はい、そういった対比がわかりやすい2曲を先行で発表しました。ちなみに、僕の中では、見方によっては天国と地獄は同じです。ユートピアとディストピアにも同じことが言えます。そしてそれは遠いどこかの話ではない、ということを描いてもいます。
── 制作中によく聴いていたアルバムなどがあれば教えてください。
小林:長いこと制作をしていたので、思い出せる範囲ですと、中村佳穂「AINOU」、David Sylvian「Gone to Earth」、Echo & the Bunnymen「Porcupine」、Swans「To Be Kind」、Alice in chains「Dirt」などでしょうか。もっといろいろ聴いていましたが。
── これまでにもライブでも披露しファンの間でも人気の高いカバー曲「Ghost Rider」を今回のアルバムに収録するに至った経緯はどのようなものだったのでしょうか?
小林:このカバーは、ライブで演奏をする度に自分たちにとってどんどん特別な曲になっていきました。その積み重ねもあって、メンバー共々とても気に入っていたので、自然と収録しようという流れになりました。
── 完成したばかりの今作『ANGELS』は、今現在THE NOVEMBERSにとってどのような作品になりましたか? アルバムを作り終えての感想をきかせてください。
小林:いままでで一番いい作品になったと思います。どんなミュージシャンでも代表作のようなものがあると思いますが、僕にとっては今作がそれです。
── ジャケット写真はこれまでにもコラボレーションを行っているtobirdさんが担当していますが、今作のアートワークのコンセプトなどがあれば教えてください。
小林:tobirdと作品についての会話をしただけで、コンセプトは特に設けませんでした。ただ、お互いにとって新しいことやチャレンジをしてみようというムードのようなものはあったかもしれません。
▲アルバム『ANGELS』 |
小林:あらゆる国に行ってみたいです。日本での活動はとても大事ですが、それ以上に海外に自分達の音楽を届けにいきたいです。もう何年も海外のファンから「ツアーにきてくれ」と言われ続けているのに答えられない状況が歯がゆかったので、実現させたいですね。
── アルバム発売直後には8都市を周るワンマンツアーの開催が決定していますね。久しぶりに訪れる地域もあると思いますが、『ANGELS』を引っ提げた今回のライブはどのようなものになりそうでしょうか?
小林:これまでの積み重ねの集大成と、新しさの共存するステージを作りたいと思っています。間違いなく過去最高のツアーになります。
── このツアーからはじまる2019年はどのような1年にしたいですか?
小林:思い切り楽しんで、過去最高の年にしたいです。駆け抜けます。
◆ ◆ ◆
■アルバム『ANGELS』
Magniph / Hostess
XQJH-1025 ¥2,800円(+税)
【トラックリスト】
1.TOKYO
2.BAD DREAM
3.Everything
4.plastic
5.DOWN TO HEAVEN 6, Zoning
7.Ghost Rider
8.Close To Me
9.ANGELS
■<ANGELS ONEMAN TOUR 2019>
新潟 3月17日(日) GOLDEN PIGS BLACK
愛知 3月20日(水) 名古屋CLUB QUATTRO
大阪 3月22日(金) 梅田CLUB QUATTRO
岡山 3月24日(日) 岡山IMAGE
福岡 3月26日(火) The Voodoo Lounge
北海道 3月31日(日) 札幌SPiCE(旧称: DUCE SAPPORO)
東京 4月6日(土) マイナビBLITZ赤坂
この記事の関連情報
The Novembers、3年半ぶり9thアルバムは二度目のセルフタイトル「こういうのが作りたかった」
【インタビュー】有村竜太朗、再起動作品に三者三様のギタリスト「単純にバンドで面白いことやろうみたいな気持ち」
【インタビュー】Petit Brabancon、高松浩史が語るEP『Automata』「挑戦というか、すごく新しい」
THE SPELLBOUND、<BIG LOVE>でJean-Ken JohnnyとBOOM BOOM SATELLITES楽曲共演
The Novembers、3年ぶり新曲配信リリース+15周年記念『全歌詞集』を限定販売
【ライブレポート】The Novembers、ワンマン<20221110>に今までを超えていく飛躍の瞬間
The Novembers、東名阪ワンマンツアーを2023年春開催
【ステージ楽器紹介】Petit Brabancon、高松浩史 Bass Sound System「初の挑戦も」
【インタビュー】Petit Brabancon、高松浩史が語るアルバム『Fetish』「このバンドでしかできないこと」