【インタビュー】カノエラナ、キュートでロックなキャラクターを併せ持つ新進気鋭のSSWが放つ1stシングル「ダンストゥダンス」
エモーショナルな音楽性と優れた歌唱力、キュートさとロックっぽさを併せ持った個性的なキャラクターなどが話題を呼び、新進気鋭のシンガーソングライターとして大きな注目を集めているカノエラナ。そんな彼女の1stシングル「ダンストゥダンス」が、3月13日にリリースされる。同作は真逆ともいえる方向性の2曲が収録されていることがポイントで、彼女の幅広さやポテンシャルの高さなどを実感させる一作となった。初のシングル・リリースを機にさらなるスケールアップを果たすことを予感させるカノエラナをキャッチして、彼女の音楽的なバックボーンや「ダンストゥダンス」について語ってもらった。
■2曲でどれだけ振り幅を出せるかが重要
■全然テイストが違う2曲を入れました
――今日のインタビューでは、カノエさんの音楽的な背景などもお聞きしたいです。まずは、音楽やロックに目覚めたのはいつ頃でしたか?
カノエラナ(以下、カノエ):小さい頃から歌うことが好きだったし、幼稚園くらいの時に祖母のアップライトのピアノを触って、聴いたことがある曲をなんとなく弾いたりするようになったんです。でも、ずっと習わせてもらえなくて、結局小学校3年から習い始めたんですが、自分の好きなように弾けないことが苦痛になったんですよね。楽譜もあまり好きじゃなかったし、課題曲も先生が決めた曲のCDを聴いて弾くみたいな感じだったし(笑)。
――それは、中々しんどい状況ですね。
カノエ:しんどかったです。ピアノの発表会の時も、みんなフリフリした格好をしているんですけど、私はそれがすごく嫌で、ジーンズで出たり。それで、「あの子はなんだ?」と言われるという。中学生になると制服というものがあるので、制服は便利だなと思っていました(笑)。そうやってずっとピアノをやってきて、ちょっと声楽もやってみようかとピアノの先生に言われてやってくうちに、事務の人が“そっちやればいいじゃん”と言いだして、“ええっ?”みたいな(笑)。私は小学校の頃から事あるごとに、先生やいろんな人に“音楽やりなよ”“歌やりなよ”と言われていたんですよ。あまりに言われるので、ちゃんとやったほうがいいのかなと思うようになったんです。それが中学生くらいの時で、中学2年生の時に地元の音楽祭に友達7人くらいで応募してみようぜということになって。そうしたら私だけ1次審査に通っちゃって、本選で歌うことになって。それがきっかけになって、音楽の塾みたいなところに通うようになって、そこからシンガーソングライターとしての勉強を始めました。なので、本格的に音楽を始めたのは中学3年生の時からですね。
――子供の頃から周りの人達を惹きつけるものを持っていたことがわかります。中学生の頃は、どんなアーティストが好きでしたか?
カノエ:小さい頃からいろんな人の曲が好きで、この人だけが本当に好きというのがなかったんです。だから、その質問をされるといつもどう答えようと思うんですけど、音楽の勉強をし始めてから洋楽とかも聴くようになって、スタイルだったらアヴリル・ラヴィーンやミッシェル・ブランチ辺りで、歌い方はクリスティーナ・アギレラに惹かれるという感じでした。ガッツリした曲が好きで、KTタンストールをカバーして、自分のスタイルに合うものはないかなと模索したりしました。
――誰かのソックリさんではなく、自分のスタイルを確立したいと思っていたんですね。シンガーソングライターの勉強を始めた時点で、ギターも弾くようになったのでしょうか?
カノエ:はい。元々ピアノで弾き語りをしていたんですけど、見た目が全然似合ってないという話になり(笑)。それで、ギターをやれと言われたんです。自分でもまぁそうだよなと思っていたので、ギターを教えてくださいといって、1から教わりました。
――アコースティック・ギターの弾き語りなら、ストリートでもできますしね。
カノエ:そうなんですけど、私の地元の佐賀ではストリートをやっている人は全然いなかったんですよ。レッスンの時に福岡まで通っていたんですけど、福岡でライブをする機会もなくて。高校生の頃まで、ずっとそういう感じでした。
――どうやってシーンの中で頭角を現していったのでしょう?
カノエ:高校を卒業するくらいの頃に、事務所に所属することになったんです。通っていたレッスンの校内オーディションに参加したら、事務所の方がいいなと思ってくださって。それで、高校を卒業してから上京して、右も左もわからないまま1年くらい曲作りをして過ごして、19才くらいの時からライブ活動をしましょうかという話になって。そこからいろんなライブに出させてもらったり、それこそ路上ライブを新宿でやったりするようになりました。
――短期間で、大きな注目を集めるようになられたんですね。では、ここまでの話を踏まえて最新シングル「ダンストゥダンス」の話をしましょう。本作を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?
カノエ:今までミニ・アルバムを連発してシングルは出したことがなかったんです。シングルというと大体2曲入りなので、その2曲でどれだけ振り幅を出せるかなというのはありましたね。同じような曲でも良かったんですけど、私は本当にいろんな人のいろんな曲が好きなので、自分で作る曲も幅が広いんですよ。それを感じ取ってもらえるシングルにしたくて、全然テイストが違う2曲を入れようというのがまずあって。それに、1曲は自分の原点に戻った曲を絶対にやりたいなと思っていて、いい機会なので、ここは自分らしい世界に振り切ってみようという気持ちもありました。そういう思いのもとに作ったのが、リード曲の「ダンストゥダンス」です。
――カップリングの「猫の逆襲」が私の原点ですと言われたらどうしようかと、ちょっとビクビクしました(笑)。
カノエ:それは、ないです(笑)。「猫の逆襲」は結構前からあって、ずっとライブで温めてきた曲なんですよ。「ダンストゥダンス」が今回のシングルのために書いた曲で、自分の原点に戻りつつシングルのリード曲にふさわしいものを…ということを考えていっぱい曲を作っていく中で出てきて、これをリードにしようということになりました。で、「ダンストゥダンス」の対極となると、「猫の逆襲」しかないんじゃないかという話になったんです(笑)。
――本当に真逆といえる2曲で驚きました。まずは、リード曲の「ダンストゥダンス」について話しましょう。
カノエ:この曲を作ったのは、去年の10月頃です。花粉症で死んでいる中で書いていて、元の音源は“ジュルジュル・ゲホゲホ”でした(笑)。結構ヤバい音源だなと思いながらスタッフに送ったんですけど、「メッチャええやんか!」みたいな返事がきて、“ええっ?”みたいな(笑)。
――「ダンストゥダンス」はジャズのテイストを活かしたシャッフル・チューンで、すごくカッコいいです。
カノエ:ありがとうございます。今まで、こういうふうにカッコいい方向に振り切った曲はなかったんですよね。でも、元々私がオーディションで歌っていたのはEGO-WRAPPIN'さんの「くちばしにチェリー」で、ああいう曲調がすごく好きなんです。今回そういう匂いがあるものにしたいなということで、“ツーッツツ・ツーッツツ”というリズムをずっと頭の中で思い描きながら、ベースがデンデン鳴っているんだろな…みたいな(笑)。それに、ギターを弾きながら作りつつピアノも少し触っていました。私はピアノで曲を作るとギターよりも複雑な感じになりがちというか、冒険をしたくなるところがあって、この曲はそれがすごく出ている気がしますね。ギターとピアノで同時進行で作ったのは、初めてじゃないかなと思います。そうやってイメージを固めて、GarageBandですごく簡単なデモを作ったんですよ。それをアレンジャーさんに投げて、きれいにしてもらったのが今回の音源です。
――独自のロック感が光っています。ちょっとマニアックな話になりますが、全く違うことを弾いている2本のギター・ソロを同時に鳴らすというアイディアも秀逸です。
カノエ:「ダンストゥダンス」は、東京のことを歌っているんですよね。なので、ギター・ソロのところは、東京のカオスな雰囲気を表現したいねという話になって、こういうアレンジになりました。2本のギターがバラバラでいながら、いい感じに絡んでいる瞬間もあって、すごく気に入っています。
――今話が出たとおり、「ダンストゥダンス」の歌詞は上京してきた方から見た東京を描いていますが、“浮世感”が漂っていることが印象的です。
カノエ:東京の中で迷っているんだけど、遊んでいるみたいな、ちょっとフワフワした浮遊感を漂わせたいというのがあったんです。そもそもこの曲の歌詞は、私が東京駅で出口がわからなくて迷ってしまったというエピソードが元になっているんです。東京駅が、もうダンジョン過ぎて(笑)。これは攻略できないと思って、悲しい気持ちで明太子おにぎりを買って、駅の中で食べていたという(笑)。
――東京駅は、東京人でもわからないことが多いです(笑)。
カノエ:本当ですか? ちょっと安心しました(笑)。そんな体験がありつつ私は元々「東京」という曲を作ったことがあって、その時に遊んでいるわけでもなく、フラついているわけでもなくという微妙なラインの東京を描いてみたいなと思ったんです。今回の「ダンストゥダンス」の歌詞は、その進化バージョンです。
――上京されてきた方が東京を描くと批判的な目線だったりすることもありますが、この曲は違っていますね。
カノエ:私自身、東京がメッチャ好きなので。東京という街を楽しんでいるから、“フフッ”と笑いながら書けたかなという気がしますね。
――ネガティブな歌詞ではないことも魅力になっています。それに、セクシーさと硬派な雰囲気が同居したボーカルは一番の聴きどころといえます。
カノエ:この曲の歌は、すごく難しかったですね。自分の中では、元々得意なところではあったんですよ。素の私は粘っこくモッチリ歌いがちで、どちらかというと「ガンガン、ロックだぜ!」みたいなタイプではないので、それを今まで封印してきたんです。ずっと閉じ込めていた分、今回「ダンストゥダンス」を歌う時に、どこまで出してもいいんだろうとウロウロしましたね。録りの時も「こっちのほうがいいですか?」とか「裏声にいったほうがいいですか? 地声のほうがいいですか?」みたいにいろいろ聞いたり、意見を戦わせたりして、落としどころを探っていきました。滑舌も難しかったし、「猫の逆襲」とのギャップを出すとはいえ、かわいらしい部分が全くないと殺伐とした印象の歌になってしまうので、どの程度かわいらしさを残さないといけないかということも考えたし。いろいろ研究しました。
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