【インタビュー】「I'm a Pop」で溢れ漏れた、ちゃんみなの天才っぷり

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ちゃんみなが放った鮮烈なパンチ「I'm a Pop」が痛快すぎて、笑みが溢れる。“I'm a Pop”と言いながら日本におけるポピュラーミュージックの要素はゼロ、ヒットへの雛形という音楽ビジネスの道筋からも大きく外れ、そこにあるのは、リミッターを外し咆哮する様子をただただ刻み込んだアーティストの素顔である。

ちゃんみなというアーティストの主義主張を「是」とし、市場でどう受け入れられるかというビジネス面は「二の次」という「I'm a Pop」のあり方は、まさに現代社会が抱える「多様性」に対する明確なアンサーとも受け取れる。これが“万が一”ヒットすれば、日本の音楽事情もようやく米環境に追いついたことの証となるであろうし、評価の高まりは音楽芸術の成熟を顕すリトマス紙として機能することだろう。

まったくもって痛快、ちゃんみなの天才っぷりをそのまま世に提示したワーナーミュージック・ジャパンも、ずいぶんとイカレたレーベルである。

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■ 今の私には、闘争心みたいなものはないんです

──ワーナー・サイトのオフィシャルインタビューに「初日の出を見た時に、今年は勝つと思った」とありますが、あれはなんですか?

ちゃんみな:なんか、勝つ気がしたんです。その前は2018年が始まった瞬間、ちょっと気乗りがしなかったんですよ。直感で大変な1年になりそうって思ってしまったんです。で、2018年を過ごしてみたら、結果としてその年は準備期間だったわけですよね。

──本当に気乗りがしなかった?

ちゃんみな:というかズシッとしてた。内にこもって自分を成長させている時期だったので、「発散」というより「溜めていた」感覚があったんです。2018年はアルバムを出してないんですけど、それもあって溜めていた感覚で、2019年が明けて初日の出を見たらなんか涙が出てきてね、今まで準備してきたものを全部出していける年になると思って「勝つな」って直感で思ったんです。

──「勝つ」というのは、どういう意味ですか?

ちゃんみな:多分「自分に勝つ」とかですね。勝負をするわけではなくて「負けはしないだろうな」っていう意味です。「今日、ごはんあるらしいよ」「うわ、勝ったね」とか言うでしょ? そんな感じです。

──アーティスト活動の中で、不安に思うことや打ちのめされること、自信をなくすことはあるんですか?

ちゃんみな:それはしょっちゅうあります。ライブで失敗したことを思い出して「なんであの時できなかったんだろう」とか思う。「あの時できてたら、今はもっとよかったのかな」「あの時あんな発言しなかったら」とか後悔する時期がずいぶんありました。でもそれは「進化する直前だから」「進化しようともがいているから」なんだと思っています。やることが多すぎる時にそうなりがちなんですけど、今は全部を全力でやろうと思えているので、それの前兆だったのかな。

──まだ20歳ですが、幼少時からミュージシャンシップを重ねてきているでしょう? そのアーティスト気質をもってしても、ネガティブな気持ちというものはつきまとうものですか?

ちゃんみな:つきまとうと思います。多分「満足ができないから」っていうのが根本的にあって、生活でも音楽でも人って上を求めるものでしょう? でも上を求め過ぎるのもよくない…そういうことに気づいた時に、幸せってなんだろう?っていう哲学的な話になっていく。でもやっぱり自分を愛せるかどうかが一番幸せなことだし、私の1番深い部分は音楽とリンクしているので、やっぱり音楽には感謝をしなきゃ。だから今の私には、闘争心みたいなものはないんです。音楽を愛していることにはみんな変わりないから。

──なるほど、天才も迷ったりするのか。私はちゃんみな=天才と思っているんだけど。

ちゃんみな:本当ですか? びっくりした(笑)。

──バラードを歌うちゃんみな、ヒップホップを歌うちゃんみな、R&Bを歌うちゃんみな…とたくさんのちゃんみながいる中で、今作「I'm a Pop」はラッパーちゃんみなが前面にフィーチャリングされただけだと思っているんですが、そういう解釈でいいですか?

▲1st CDシングル「I’m a Pop」初回限定盤

ちゃんみな:本当に、まさにその通りです。ジャンルレスなものをやりたいと思っているし、それが当たり前なのは、昔から音楽が当たり前にあったし当たり前に好きだったし、音楽を仕事にするって本気で思っていたから。恋してる時も喧嘩してる時も、美味しいものを食べた時も、全てのシチュエーションに音楽があるんです。私、牛乳飲んでる時にも聴きたい音楽があるんですよ。すべての感情が音楽とリンクしていて「あの時の感情ってこういう音がする」っていうのがあるから、その時の感情による音楽を作りたいんです。だからいろんな私がいるし、まさにどの私をフィーチャリングさせるかっていうことなんだと思います。

──おそらくミュージシャンシップを高め続けていくことが最大の重要ポイントなのだと思いますが、今大切にしてるものは何ですか?

ちゃんみな:「本当に大切にしているものは何?」と訊かれたら、それは「愛」です。それだけは最後まで守りたい。音楽に限らず周りにいる人たちや家族をどれだけ素直に愛せるかということが、私の自信に繋がるんです。人に優しくされないことより、人に優しくできないことのほうがストレスだし、あとで「なんで優しくできなかったんだろう」って後悔につながる。後悔することは絶対にしたくないから、私はどんな人にも愛をもって接してあげたい。その分、愛を知らない人やひねくれた考えで愛を抱いている人とは仲良くなれないかもしれない。

──多様性の時代に入り、様々な価値観がありますからね。

ちゃんみな:そうなんです。今の時代だからこそ、価値観が全く違う人をよく見る気がする。誰でも顔を隠して発言できるネット社会なので、自分とこんなに違うんだって本当にびっくりすることがあります。その人たちはその人たちで別な何かを愛してるんだろうなとも思う。それもひとつの道だから否定はしたくないけれど、私はずっと愛だけは持っていたいなって思います。そこはずっと変わらないかな。

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