スティーヴ・ルカサー、「皆を驚かすような曲も考えている」
Photo by Scott Richie
TOTOの来日公演<40 Trips Around The Sun 2019 JAPAN TOUR>を前に、スティーヴ・ルカサーのオフィシャル・インタビューが公開された。
◆TOTO 関連動画、画像
今回の日本公演は2018年2月から世界各地を巡ってきたデビュー40周年記念ツアーの一環として行なわれるもので、2月14日(木)の広島から27日(水)の仙台まで、全国で計8公演の開催が決定している。
年末年始にかけてのオーストラリア/ニュージーランド・ツアーの最終公演を前に敢行されたというルカサーの電話インタビューでは、40周年ツアーの手応えや31枚組ボックス・セット『All In』について、さらに日本公演の見どころや来日予定メンバーについても明かされた。
◆ ◆ ◆
■スティーヴ・ルカサー インタビュー
ルカサー:40周年記念ツアーももう2年目に入っているけれど、とてもファンタスティックだよ。オーストラリアではフェスティヴァルに出て、ジェファーソン・スターシップなんかとも一緒になったけど、どこもこっちが驚くほど熱狂的な賑わいだ。中でも一番嬉しいことの一つは、若い層がたくさんライヴを観に来てくれて、皆がオレたちに大きな興味を持ってくれている、ということだね。ストリーミングも、YouTubeだ、Spotifyだ、いろいろ合わせると10億(回再生)に達するし。バンド自体、この5年で大きくジャンプ・アップしている。ここに来てさらに新しいキャリアを築いている、そんな気運に乗っているんだ。それも60代になってからだぜ(笑)。夏にやるアメリカのツアーはすでに全てソールド・アウトだし、ブドーカン(日本武道館)も完売だ。とてもエキサイティングな時代で、とにかくバンドが凄いんだ。デイヴ(・ペイチ)の代わりにキーボードを務めるゼイヴィアー(ドミニク・“ザヴィエル”・タプリン)がまた素晴らしいプレイヤーなんだ。以前はプリンスのキーボードをやっていたんだけど(バンド:NPG-Qに参加)、若いのに本当に良いミュージシャンだよ。
今回は昔のレアなレパートリーを入れたり、また、アコースティック・セットも用意しているよ。<40 Trips Tour>、40周年を記念するツアーだから、全てをフレッシュなものに、って考えている。セットリストもずっと同じ、ではなく、少しずつ変えているんだ。
──今回のツアーでは1stに入っていた「Angela」、それから「Miss Sun」もやっていますね。その2曲、是非日本でも聴きたいです。
ルカサー:「Angela」か~!(笑) 「Miss Sun」はちょっと難しいかな。今回はデヴィッド(・ペイチ)がいないから…。まぁ、その分、新しいものが入るからそれを楽しみにしてほしいな。とにかく曲はたくさんあるし、皆が聴きたい絶対にやらなくてはならない曲もあるけど、皆を驚かすような曲も考えているから。今までライヴでやっていなかったような曲とか。
──海外ではウィーザーの曲をアンコールでやっていたようですね。
ルカサー:ああ、それに関して説明すると、ウィーザーが「Africa」をカヴァーして、それでオレたちのオリジナル版も改めて注目されるようになったんだ。だから、コール&レスポンスで、オレたちが彼らの曲をやるのも面白いんじゃないかと思ったんだ。去年の夏にリンゴ(・スター)とヨーロッパをツアーしていたんだけれど、その時、スティーヴ・ポーカロが教えてくれて、じゃぁ、何かやるか、って話になって彼らの曲をいくつか聴いて、結局「Hash Pipe」をやるのが音楽シーン的に一番だろうなってなったんだ。それで2コードの曲でもオレたち印のスタンプを押したようなものにしようと思い、スティーヴがクールなトラックを作ってくれた。それを(ウィーザーも所属したレコード会社)Universal Republicに渡したんだけれど何の反応もなかったから、じゃぁ自分たちで発表するかってなって。なんのプロモーションもしないで100万回再生されたよ。だから、オレたちは彼らのカヴァーを快く受け入れたんだけれど、彼らはオレたちからの愛情を受け取ってくれなかった。全く良い話じゃないぜ(笑)。
──今回の日本公演のメンバーを教えてくれますか?
ルカサー:オレ、スティーヴ・ポーカロ、ジョセフ・ウィリアムス、それから、シェム・ヴォン・シュロック(B,Cho)、ゼイヴィアー(Key)、レニー・キャストロ(Perc)、シャノン・フォレスト(Dr)、ウォーレン・ハム(Cho,Sax,Flute)だ。
──ありがとうございます。ベースのシェムはどういう経緯で参加したんですか?
ルカサー:スティーヴ・ポーカロが見つけたんだ。以前はケニー・ロギンスのミュージカル・ディレクターをしていて、スーパー・ハイ・テナー・ヴォイスの持ち主なんだ。ベーシストとして素晴らしく、人間的にもとても良いヤツで、音楽的なバックグラウンドもとても広く、N.Y.でアレンジャーとしても活躍している。今、オレたちにはヤツのようなベーシストが必要だったんだ。
──今回のツアーではボックス・セット『All In』に収められた新作『Old Is New』からの曲も数曲披露されていますね。そのアルバムや『Live In Tokyo 1980』をボックスの中の一部だけでなく単体のCDで発表する予定はなかったのですか?
ルカサー:レコード会社の戦略的なこともあるけれど、ボックス・セットは完売してコレクターズ・アイテムになりつつある。それなので、今度は安価で手に入るCD数枚だけ、っていうのも考える時期に来ているのは確かだ。ところで、オレたちミュージシャンに入る金がどれくらいとか考えたことはあるかい? ツアーやグッズはちゃんとした額になるし、ツアーでもしっかりとV.I.P.待遇を受けられるようになった。でも、百万回ストリーミングされたってレコード会社に3,000ドル、ソングライターに3,000ドル、そして他にいくらか払って、タックスを差し引いて、オレに入って来るのは5ドル。これはジョークでも何でもない、本当の数字なんだ。年に200日とかツアーに出ているからファミリーを養うことはできるし、この仕事を愛しているから続けてはいられるけれど、テクノロジーの進歩によって人生が変わり、同じ生活を送るためにはよりハードに働かなくてはならなくなっているよ。ビジネスそのものが変わってきているから。
──そうですね。
ルカサー:若い連中はまた違った捉え方をしているだろうけれど、それだと2年くらいのキャリアで終わってしまうよ。誰もオレたちのような45年のキャリアは築くことはできないだろうな。ガレージ・バンドで即席のソングライターになれて、コンピューターのボタンを押すだけで「オレはプロデューサーだ!」とか言っていられる時代だけど、オレなんかは12歳の時に1日8時間の練習をして今の自分の基礎を作ったんだ(笑)。それに、今、No.1レコードってなんの意味があるんだい? 1983年に『TOTO IV』は500万枚のセールスに達したけれど、今はどうだい? 2,500枚CDが売れたらNo.1になれるんじゃないか? そんなの全く意味がないよ。オレが若い時はヒットするレコードは1週間に100万枚売れたもんさ。今は1週間で100枚とか当たり前だろ?(笑) ミュージック・ビジネスがそれだけ変化した、ということなんだ。
──『Live In Tokyo 1980』は昔からの日本のファンにとって最高のプレゼントになりましたが、5曲だけ、というのが少し残念です。
ルカサー:それしか収録しなかった理由かい? それは他の曲でのヴォーカルと、それからミックスが良くなかったからだよ。それに、オレのギターの弦が切れた曲も1曲あったし。だから、そんな良くないものをアルバムに入れたいとは思うやつはいないだろ。そういうことさ。
──では最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
ルカサー:ハロー、ハロー、親愛なる日本の皆、ルークだよ。長年にわたる応援、本当に心から感謝しているよ。日本には毎年行っているけれど、日本に飛ぶ度に故郷に戻ったような気分になれるんだ。優しい人々、美しい文化、日本に関する全てのことに心を打たれる。かれこれ43年も近くにいてくれて、本当に光栄に思っている。約束するよ、死ぬまで毎年一度は日本に足を運ぶ、と。
取材・文◎中田利樹
2月14日(木)広島・広島文化学園 HBGホール
2月16日(土)石川・金沢歌劇座
2月18日(月)福岡・福岡市民会館
2月20日(水)東京・日本武道館
2月21日(木)大阪・大阪城ホール
2月23日(土)岩手・岩手県民会館
2月25日(月)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2月27日(水)宮城・仙台サンプラザホール
詳細: https://udo.jp/concert/Toto
※スティーヴ・ルカサー出演
番組オフィシャルサイト:https://www.bs-asahi.co.jp/usa/
出演者:
スティーヴ・ルカサー(G)
デヴィッド・ペイチ(Key)
アル・シュミット(レコーディング・エンジニア)
ジョー・ポーカロ(マリンバ担当、ポーカロ兄弟の父)
レニー・カストロ(コンガ担当)
番組オフィシャルサイト:https://www.bs-tbs.co.jp/songtosoul/onair/onair_82.html
TOTOの来日公演<40 Trips Around The Sun 2019 JAPAN TOUR>を前に、スティーヴ・ルカサーのオフィシャル・インタビューが公開された。
◆TOTO 関連動画、画像
今回の日本公演は2018年2月から世界各地を巡ってきたデビュー40周年記念ツアーの一環として行なわれるもので、2月14日(木)の広島から27日(水)の仙台まで、全国で計8公演の開催が決定している。
年末年始にかけてのオーストラリア/ニュージーランド・ツアーの最終公演を前に敢行されたというルカサーの電話インタビューでは、40周年ツアーの手応えや31枚組ボックス・セット『All In』について、さらに日本公演の見どころや来日予定メンバーについても明かされた。
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■スティーヴ・ルカサー インタビュー
ルカサー:40周年記念ツアーももう2年目に入っているけれど、とてもファンタスティックだよ。オーストラリアではフェスティヴァルに出て、ジェファーソン・スターシップなんかとも一緒になったけど、どこもこっちが驚くほど熱狂的な賑わいだ。中でも一番嬉しいことの一つは、若い層がたくさんライヴを観に来てくれて、皆がオレたちに大きな興味を持ってくれている、ということだね。ストリーミングも、YouTubeだ、Spotifyだ、いろいろ合わせると10億(回再生)に達するし。バンド自体、この5年で大きくジャンプ・アップしている。ここに来てさらに新しいキャリアを築いている、そんな気運に乗っているんだ。それも60代になってからだぜ(笑)。夏にやるアメリカのツアーはすでに全てソールド・アウトだし、ブドーカン(日本武道館)も完売だ。とてもエキサイティングな時代で、とにかくバンドが凄いんだ。デイヴ(・ペイチ)の代わりにキーボードを務めるゼイヴィアー(ドミニク・“ザヴィエル”・タプリン)がまた素晴らしいプレイヤーなんだ。以前はプリンスのキーボードをやっていたんだけど(バンド:NPG-Qに参加)、若いのに本当に良いミュージシャンだよ。
今回は昔のレアなレパートリーを入れたり、また、アコースティック・セットも用意しているよ。<40 Trips Tour>、40周年を記念するツアーだから、全てをフレッシュなものに、って考えている。セットリストもずっと同じ、ではなく、少しずつ変えているんだ。
──今回のツアーでは1stに入っていた「Angela」、それから「Miss Sun」もやっていますね。その2曲、是非日本でも聴きたいです。
ルカサー:「Angela」か~!(笑) 「Miss Sun」はちょっと難しいかな。今回はデヴィッド(・ペイチ)がいないから…。まぁ、その分、新しいものが入るからそれを楽しみにしてほしいな。とにかく曲はたくさんあるし、皆が聴きたい絶対にやらなくてはならない曲もあるけど、皆を驚かすような曲も考えているから。今までライヴでやっていなかったような曲とか。
──海外ではウィーザーの曲をアンコールでやっていたようですね。
ルカサー:ああ、それに関して説明すると、ウィーザーが「Africa」をカヴァーして、それでオレたちのオリジナル版も改めて注目されるようになったんだ。だから、コール&レスポンスで、オレたちが彼らの曲をやるのも面白いんじゃないかと思ったんだ。去年の夏にリンゴ(・スター)とヨーロッパをツアーしていたんだけれど、その時、スティーヴ・ポーカロが教えてくれて、じゃぁ、何かやるか、って話になって彼らの曲をいくつか聴いて、結局「Hash Pipe」をやるのが音楽シーン的に一番だろうなってなったんだ。それで2コードの曲でもオレたち印のスタンプを押したようなものにしようと思い、スティーヴがクールなトラックを作ってくれた。それを(ウィーザーも所属したレコード会社)Universal Republicに渡したんだけれど何の反応もなかったから、じゃぁ自分たちで発表するかってなって。なんのプロモーションもしないで100万回再生されたよ。だから、オレたちは彼らのカヴァーを快く受け入れたんだけれど、彼らはオレたちからの愛情を受け取ってくれなかった。全く良い話じゃないぜ(笑)。
──今回の日本公演のメンバーを教えてくれますか?
ルカサー:オレ、スティーヴ・ポーカロ、ジョセフ・ウィリアムス、それから、シェム・ヴォン・シュロック(B,Cho)、ゼイヴィアー(Key)、レニー・キャストロ(Perc)、シャノン・フォレスト(Dr)、ウォーレン・ハム(Cho,Sax,Flute)だ。
──ありがとうございます。ベースのシェムはどういう経緯で参加したんですか?
ルカサー:スティーヴ・ポーカロが見つけたんだ。以前はケニー・ロギンスのミュージカル・ディレクターをしていて、スーパー・ハイ・テナー・ヴォイスの持ち主なんだ。ベーシストとして素晴らしく、人間的にもとても良いヤツで、音楽的なバックグラウンドもとても広く、N.Y.でアレンジャーとしても活躍している。今、オレたちにはヤツのようなベーシストが必要だったんだ。
──今回のツアーではボックス・セット『All In』に収められた新作『Old Is New』からの曲も数曲披露されていますね。そのアルバムや『Live In Tokyo 1980』をボックスの中の一部だけでなく単体のCDで発表する予定はなかったのですか?
ルカサー:レコード会社の戦略的なこともあるけれど、ボックス・セットは完売してコレクターズ・アイテムになりつつある。それなので、今度は安価で手に入るCD数枚だけ、っていうのも考える時期に来ているのは確かだ。ところで、オレたちミュージシャンに入る金がどれくらいとか考えたことはあるかい? ツアーやグッズはちゃんとした額になるし、ツアーでもしっかりとV.I.P.待遇を受けられるようになった。でも、百万回ストリーミングされたってレコード会社に3,000ドル、ソングライターに3,000ドル、そして他にいくらか払って、タックスを差し引いて、オレに入って来るのは5ドル。これはジョークでも何でもない、本当の数字なんだ。年に200日とかツアーに出ているからファミリーを養うことはできるし、この仕事を愛しているから続けてはいられるけれど、テクノロジーの進歩によって人生が変わり、同じ生活を送るためにはよりハードに働かなくてはならなくなっているよ。ビジネスそのものが変わってきているから。
──そうですね。
ルカサー:若い連中はまた違った捉え方をしているだろうけれど、それだと2年くらいのキャリアで終わってしまうよ。誰もオレたちのような45年のキャリアは築くことはできないだろうな。ガレージ・バンドで即席のソングライターになれて、コンピューターのボタンを押すだけで「オレはプロデューサーだ!」とか言っていられる時代だけど、オレなんかは12歳の時に1日8時間の練習をして今の自分の基礎を作ったんだ(笑)。それに、今、No.1レコードってなんの意味があるんだい? 1983年に『TOTO IV』は500万枚のセールスに達したけれど、今はどうだい? 2,500枚CDが売れたらNo.1になれるんじゃないか? そんなの全く意味がないよ。オレが若い時はヒットするレコードは1週間に100万枚売れたもんさ。今は1週間で100枚とか当たり前だろ?(笑) ミュージック・ビジネスがそれだけ変化した、ということなんだ。
──『Live In Tokyo 1980』は昔からの日本のファンにとって最高のプレゼントになりましたが、5曲だけ、というのが少し残念です。
ルカサー:それしか収録しなかった理由かい? それは他の曲でのヴォーカルと、それからミックスが良くなかったからだよ。それに、オレのギターの弦が切れた曲も1曲あったし。だから、そんな良くないものをアルバムに入れたいとは思うやつはいないだろ。そういうことさ。
──では最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
ルカサー:ハロー、ハロー、親愛なる日本の皆、ルークだよ。長年にわたる応援、本当に心から感謝しているよ。日本には毎年行っているけれど、日本に飛ぶ度に故郷に戻ったような気分になれるんだ。優しい人々、美しい文化、日本に関する全てのことに心を打たれる。かれこれ43年も近くにいてくれて、本当に光栄に思っている。約束するよ、死ぬまで毎年一度は日本に足を運ぶ、と。
取材・文◎中田利樹
<40 Trips Around The Sun 2019 JAPAN TOUR>
2月14日(木)広島・広島文化学園 HBGホール
2月16日(土)石川・金沢歌劇座
2月18日(月)福岡・福岡市民会館
2月20日(水)東京・日本武道館
2月21日(木)大阪・大阪城ホール
2月23日(土)岩手・岩手県民会館
2月25日(月)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2月27日(水)宮城・仙台サンプラザホール
詳細: https://udo.jp/concert/Toto
BS朝日『ベストヒットUSA』
※スティーヴ・ルカサー出演
番組オフィシャルサイト:https://www.bs-asahi.co.jp/usa/
BS-TBS『SONG TO SOUOL ~永遠の一曲』 #82 「アフリカ/TOTO」
出演者:
スティーヴ・ルカサー(G)
デヴィッド・ペイチ(Key)
アル・シュミット(レコーディング・エンジニア)
ジョー・ポーカロ(マリンバ担当、ポーカロ兄弟の父)
レニー・カストロ(コンガ担当)
番組オフィシャルサイト:https://www.bs-tbs.co.jp/songtosoul/onair/onair_82.html