【対談】フルカワユタカ×安野勇太[HAWAIIAN6]、避けていたメロコアを盟友と共作「遅れて来た青春を謳歌している」

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■なぜここで二人称にするのかな?って
■“その一行がキモい”と思っちゃって

──実際、楽曲制作はどういう風に進めたんですか?

フルカワ:勇太が「「Me, Dogs And Mother Mary」(DOPING PANDA / 2001年発表)が好き」と言ってくれてて。その曲はシャッフルでロカビリーっぽい感じだから、「あのメロディの雰囲気を今のオマエが書いたら面白いんじゃない?」と。そういうヒントを貰って、弾き語りのデモを投げた感じですね。僕はメロコアは作れないし、勇太に2ビートのデモなんて送れないですから。

安野:はははは。それこそ当時、「Me, Dogs And Mother Mary」の話をしたんですよ。ライヴで初めて聴いたときに“なんていい曲を作るんだろう”って衝撃を受けたし、震えましたからね。だから、“そういう曲を今やってもいいんじゃないの”って。それから何度かキャッチボールして作りました。

フルカワ:正解がわからないので、逆算してメロコアになるようなメロディを狙ったりしちゃったんですよ、ぶっちゃけよく思われたいから。3曲ぐらい送ったけど、自分でも“これじゃないな”って思いつつ……やる気だけは伝えようと。その中で、マーちゃんのときもそうだったけど、鼻歌で浮かんできたメロディを録音したものが「クジャクとドラゴン」のBメロになって、そのときに勇太からリアクションが来たんですよ。

▲安野勇太[HAWAIIAN6]

安野:違う違う! その前もちゃんと返事してるからね(笑)。勝手に「自分でもうちょっと頑張ってみます!」って言うから。それで曲が研ぎ澄まされて、Bメロができたときに、これはイケてるなと。で、オレももう少し頑張らなきゃいけないなと(笑)。

フルカワ:はははは、そこから頑張ろうと思ったんだ? でもそのメールが来たときは嬉しかったですね。マーちゃんのときはメロディは全部僕が作りましたけど、今回はAメロとBメロが僕で、サビは勇太がカスタマイズしてくれて。だから、マーちゃんとやった曲以上にコラボ感はありますね。

安野:サビだけ勝手に変えちゃったんですよ。それで投げたら、意外と喜んでくれて。

フルカワ:自分でもサビは当たりきってないと思っていたから、“わかってるなー!”って。お互いに共通認識があるのは素晴しいことだから。そのメロディの感じがすげえHAWAIIAN6だったし。その後に2ビートのアレンジを乗せるんですけど、打ち込みのドラムにもかかわわらず、“はっちゃんじゃねえか?”と思うくらいの感じで、それも楽しかったですね。

──“メロコア=英語”というイメージがありますけど、「クジャクとドラゴン」は日本語で歌ってますよね?

フルカワ:日本語でやりたかったんですよね。POLYSICSのハヤシ君にも「英語のほうがいい」と言われたし、マーちゃんにもそういう風に言われたけど、このコラボシリーズは日本語詞でやりたくて。ハヤシ君とのコラボ曲「インサイドアウトとアップサイドダウン」は結果的に英語になったけど、関係性をちゃんと歌にしたかったから。あと、冒頭の歌詞が当初は“君と僕”を印象付ける内容になってて、そこにずっと勇太が引っ掛かってたんです。「“君と僕”だとエンタメになっちゃうから、そうじゃないほうがいい」と。それで歌詞をひねり出したら曲の雰囲気がガラッと変わりました。そこはほんとに勇太の意見を聞いて良かったですね。僕はロッキングオン的な場所を主戦場にやってきたから、どうしても“君と僕”みたいな歌詞になっちゃうんですよ。それはTGMX (田上修太郎 / FRONTIER BACKYARD)さんにも言われました。「オマエはすぐ恋愛やらエロい喩えやらを書いたりするけど、それじゃファンは付かないよ」って。歌詞を変えたことで、あの曲をパンクとかメロコアにしてくれたのかなと。

安野:メロコアとか関係なく、“なぜここで二人称にするのかな?”って、それがもったいなかったんですよ。“その一行がキモい”と思っちゃって(笑)。

フルカワ:人に言われて、歌詞で悩むのも面白くて。あのまま通してたら、locofrankの木下君からは「キモい!」と思われていたかもしれない(笑)。

▲安野勇太[HAWAIIAN6]

安野:ははは、そんなことはないだろうけど。フルカワユタカは今が一番楽しそうな顔をしてるんですよ。遅れて来た青春を謳歌しているおじさんみたいなところがあって(笑)。今は人の話をすごく聞くし、薦めたものは何でもやるし、おじさんとは思えないような純粋さがあるんですよ。すごく犬みたいに寄って来るし。

フルカワ:ははははは、“犬みたい”って。

──“つまずいて失って それだって歌えた”の歌詞も、今だからこそ書ける内容なのかなと。飾らない素直なフルカワさんが出てますよね。

フルカワ:歌詞を朗読するのはやめてください(笑)!

安野:オレもそこが好きなんですよね。

フルカワ:いい歳だし、カッコつけてもね。

安野:やっとそうなれたんですよ。ドーパンの頃もきっとそれはそれでカッコ良かったんだろうけど……う~ん、カッコ良かったかな?

フルカワ:わからない。たまに酔っ払ったときに昔の作品を聴くけど、めちゃくちゃ背伸びしてるからね。

安野:音楽的には素晴しいと思う部分が多いけどね。

フルカワ:咀嚼する暇もなく洋楽のマネをしたり、背伸びしまくってたけど……ふくらはぎがそんなにもたないっす(笑)! なんなら、しっかり座って歌いたい。

安野:はははは。だから、今はまた新しいことをやってるんだろうね。曝け出すというか、人間的な作業をね。これからどうなるんだろうね。

フルカワ:どうだろう、ヘンに浮かれることはないだろうけど。

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