【ライヴレポート】HYDE、<黑ミサ BIRTHDAY -TOKYO->初日「みなさんの気持ちが最高の誕生日プレゼントです」
HYDEが1月23日、幕張メッセイベントホールにて<HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黑ミサ BIRTHDAY -TOKYO->の初日公演を開催した。自身の誕生日である1月29日に地元・和歌山 ビッグホエールで行われることが当初発表された同公演だが、ファンの声に応える形で、1月23日および24日に幕張メッセイベントホール2DAYS、1月29日および30日に和歌山ビッグホエール2DAYSという規模に拡大。結果、前夜祭として行われるHYDEIST会員限定公演を含め、<黑ミサ BIRTHDAY>という名目で全5公演が開催される。
◆HYDE 画像
その初日となった幕張メッセイベントホールには、ドレスコード“スマートカジュアル”に身を包んだオーディエンスが集結。ジャケット姿の男性やワンピースやツーピース姿の女性たちが客席を埋め尽くし、開演時刻となる6時66分を待っている。ステージに目を移せばイベントロゴが入ったレッドカーペットを中心に、幾重にも配列された燈台が淡く灯っていた。これらの光景が場内を厳かなムードに染め上げる。
<黑ミサ>とはもともと、冬の北海道・富良野で行なっている恒例のディナーショーだ。2017年12月23日および24日には幕張メッセ国際展示場4・5・6ホールにて<HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO->と題し、17名のオーケストラとバンドに加えてKen (L’Arc-en-Ciel)をゲストに一般開催。また、昨年春には<HYDE ACOUSTIC CONCERT TOUR 2018 -黑ミサ ASIA->でアジア圏を感動の渦に巻き込んだことも記憶に新しい。
しかし今回は、HYDE自身の誕生日に行われる特別なもの。事前のBARKSインタビューでHYDEはこう語っていた。「大きな会場での<黑ミサ>はもう少し開催の間隔を空けたかったんです。僕の中ではあんまり恒例化させるつもりはないし、どこか貴重なライヴであってほしいなとも思ってて。ただ今回、自分の誕生日っていうタイミングではやりたいなと思って。そうしたらどんどん膨らんでいったっていう」。前回の国内開催から約1年1ヵ月ぶりに行われる<黑ミサ BIRTHDAY>はレアなものであることに間違いない。
場内に流れていた賛美歌がSEに切り替わった6時66分、17名のバンドメンバーが登場。今回の<黑ミサ BIRTHDAY>もオーケストラを従えたアコースティックコンサートとして届けられることは事前に明かされていた。そして、HYDEがステージ上に姿を現すと、客席から自然発生的な拍手が沸き起こる。ヘヴィでダークな原曲が壮麗にオーケストラアレンジされたオープニングナンバーからして圧巻だった。壮大でドラマティックなオーケストレーションはあまりにも見事で、その中心には堂々たるHYDEの歌声がある。
<黑ミサ BIRTHDAY>は幕張公演2日目ほか、和歌山公演を残しているので、具体的な楽曲の詳細は後日改めてレポートするが、ストリングスアレンジが施された楽曲の再構築には、その曲が本来持つ、新たな側面を垣間見ることもできた。セットリスト自体は集大成的なナンバーの揃い踏み。HYDEソロはもとより、VAMPSやL'Arc-en-Cielの楽曲を含めて約2時間半、充実の空気が場内を満たした。序盤のMCでHYDEは今回の<黑ミサ BIRTHDAY>についてこう語った。
「今回は“BIRTHDAY”っていうこともあって、これまでの音楽人生を振り返り、僕が歌いたい曲を歌おうと思っています。なので、永遠に暗い曲が続きますけど(笑)、覚悟して、最後まで座ったままご覧になってください。よろしく。次の曲は、ロンドンの暗い空の下でレコーディングしました。あれから18年が経ってしまいました」──HYDE
といった具合にMCは、楽曲制作やレコーディングにまつわる当時の思い出を振り返りながら紹介されるシーンが見どころのひとつになっていた。それら楽曲背景をイメージしながら聴くHYDEの歌声が聴く者の心を揺さぶる。ステージ上のHYDEはハイチェアに腰を掛けながらだったりと同じ場所から動くことなく、ひたすら歌を届ける。そこには煌びやかな演出も客席を煽るようなパフォーマンスもない。しかし、その声と旋律はあまりにも繊細で表情豊か、膨大なエネルギーすら感じさせるものだった。ただただ想いを歌詞に託し、メロディーに乗せて。
だが、1曲だけ、HYDEがサックスを吹く場面もあった。コアファンはこの一文でピンと来るだろう。それまで静かに楽曲に集中していた場内に歓喜のざわめきが広がり、短い嬌声も轟いた。久しぶりにライヴで聴くことのできるナンバーはもちろん、最新曲もそれらと並んで披露されるわけだが、どの曲もまるで長年親しんできた楽曲のような愛着感を、HYDEの歌とオーケストレーションが演出していた部分も特筆すべきポイントとなっていたようだ。
初日のハイライトはコンサート終盤にあった。MCの途中で、マイクのコードの絡みを直したり、ヒザをさすったり、水を飲んだり、なかなか言葉を発しなかったHYDEが、「まいったな。次の曲、歌う自信がない。思いのほか高まり過ぎた」と告白。誤解のないように記しておくが、この夜のHYDEの歌声は凄まじいものだった。ノドの調子は万全だ。小さなジャンプを繰り返したり、しゃがみ込んだりしたHYDEが、会場にこう告げる。「次の曲は、もちろん曲もいいけど、歌詞がこのコンサートにぴったりだと思って選んだんです。けど、気持ちが高ぶって」。そして披露されたナンバーの歌詞と歌声に、ファンのすすり泣きが聞こえる。HYDE自身もステージ上で何度か目を拭う場面があったように見受けられた。
前述したように<黑ミサ BIRTHDAY>は、教会的なムードやゴシック的な様式を伴うものだ。しかし、この夜のステージには生身のHYDE自身、もっと言えばこれまで歩んできた音楽人生を感じさせるような、温かさも潔さも深みも包容力もあった。奇をてらった演出に頼ることなく、言葉や衣装を大上段に構えることなく、的確にストレートに伝える表現力。その感情の起伏を大観衆とともに本能的に共有した奇跡的な夜だったと思えてならない。
最後のMCでHYDEは、「すごくいろいろな出来事がありました。良いことも悪いことも。だけど、投げ出さずにここまでこれたのは、みんながいたからに他ならない。愛すべき人たちに支えられて、今日という日を迎えることができました。みなさんの気持ちが最高の誕生日プレゼントです」と感謝を語った。
初日にはある種の緊張感も、それを和らげる爆笑のトークもあった。<黑ミサ BIRTHDAY>は本日1月24日に幕張メッセ イベントホール、1月29日および1月30日に和歌山ビッグホエールで行われる。果たして、そこではどんなシーンを観られることになるのか。ぜひともファンは足を運んでほしい。
取材・文◎梶原靖夫 (BARKS)
撮影◎田中和子
◆<HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY -TOKYO->
2019年1月24日(木) 幕張メッセ イベントホール
open18:00 / start19:06
▼チケット
SS席 ¥30,240
S席 ¥16,200
A席 ¥12,960
※全席指定
※6歳未満入場不可、6歳以上要チケット
※ドレスコードがございます。“スマートカジュアル”の装いでご来場ください
一般発売:2019年1月05日(土)10:00~
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
◆<HYDE ACOUSTIC CONCERT 2019 黒ミサ BIRTHDAY -WAKAYAMA->
2019年1月30日(水) 和歌山ビッグホエール
open18:00 / start19:06
▼チケット
SS席 ¥30,240
S席 ¥16,200
A席 ¥12,960
※全席指定
※6歳未満入場不可、6歳以上要チケット
※ドレスコードがございます。“スマートカジュアル”の装いでご来場ください
一般発売:2019年1月12日(土)10:00~
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
■2019年第一弾シングル「ZIPANG」
【初回限定盤A】UICV-9298 2,800円(税抜)
CD+撮り下ろし12Pコンセプトブック (EPサイズ:7インチ四方)
【初回限定盤B】UICV-9299 2,000円(税抜)
CD+DVD (DVD収録内容:ZIPANG Music Video+MVドキュメンタリー)
【通常盤 (CD)】UICV-5078 1,200円(税抜)
▼CD収録曲 ※3形態共通
・ZIPANG
・ORDINARY WORLD (Duran Duranのカバー楽曲)
UNIVERSAL MUSIC STORE https://store.universal-music.co.jp/artist/hyde/
VAMPROSE STORE https://store.vamprose.com/hyde
■2019年第二弾シングル「MAD QUALIA」
【初回限定盤A (CD+撮り下ろしコンセプトブック)】
UICV-9304 2,800円+税
※コンセプトブック収録内容:12ページ・EPサイズ(7インチ四方)
【初回限定盤B (CD+DVD)】
UICV-9305 2,000円+税
※DVD収録内容:MAD QUALIA MV+MVドキュメンタリー
【デビル メイ クライ盤 (CD+DVD) ※初回限定】
UICV-9306 2,000円+税
※表紙:ゲーム描き下ろしオリジナル
※DVD収録内容:デビル メイ クライ 5とのコラボMV
【通常盤 CD】
UICV-5079 1,200+税
▼CD収録曲
1. MAD QUALIA
※CAPCOM「デビル メイ クライ 5」イメージソング
2. HONEY
※L’Arc-en-Cielの楽曲をHYDEバージョンとしてセルフカバー
※MONSTERS CHANCE:6月発売予定アルバムとの連動企画も
【CAPCOMスタイリッシュアクションゲーム『デビル メイ クライ 5』概要】
3月8日(金)発売予定▼通常版:Xbox One、PlayStation(R)4、PC ※ダウンロード版のみ販売
【パッケージ版】6,990円+税
【ダウンロード版】6,480円+税
▼デラックス エディション(ダウンロード版のみ販売)
Xbox One、PlayStation(R)4 7,400円+税
PC(Steam) 7,436円+税
http://www.capcom.co.jp/devil5/
(c)CAPCOM CO., LTD. 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
この記事の関連情報
THE LAST ROCKSTARS、新曲「MASTERY」と格闘ゲーム『鉄拳8』とのコラボMVを公開
【速レポ】モンパチフェス<WWW!!24>HYDE、「めんそーれ!台風は曲げときました」
【ライヴレポート】HYDE、<HYDE[INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA->最終日に強烈なドラマ「現実を楽しもうぜ!」
【インタビュー】HYDE、『HYDE [INSIDE]』の圧倒的表現力と攻撃性「不思議な、日記みたいなアルバム」
HYDE、マイファスのHiroも登場したツアー最終日「クレイジーな僕の芸術を愛してくれてありがとう」
HYDE、<HYDE [INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA->幕張メッセ公演を生配信
HYDE、原宿のPOP-UP STOREにサプライズ訪店+隠れイラスト描画
HYDE、ヴォーカリストとしての理想像を語る
HYDE、神戸公演でオーストリアのオリジナルハット着用