【ライヴレポート】BAROQUE、ツアーファイナルで「最高だろ？ 2019年は外に行こうか」

BAROQUEが12月25日、東京･渋谷ストリームホールにて＜BAROQUE TOUR 2018「FALLING FOR // YOU」＞のツアーファイナルにして、恒例のXmas公演を開催した。前ツアー＜BAROQUE TOUR 2018「IN THE ATMOSPHERE」＞から1ヵ月もインターバルを開けずにスタートさせた同ツアーが、新たに覚醒したBAROQUEの今を明確に映し出して終了した。

◆BAROQUE 画像

2人体制初のアルバム『PLANETARY SECRET』リリース以降、ある意味、世の中のトレンドやシーンからかけ離れた“孤高のポジション”を確立していった感があるBAROQUEは、エレクトロニカやアンビエント、シューゲイザーな音感と充分な余白を感じさせる静謐なサウンドで、精神的な内的宇宙を密室で体験するようなライブを構築してきた。そして、2018年に行なった2本のツアーでバンドとして覚醒。ツアーファイナルとなったこの夜は、サポートメンバーとともに強靭なバンドのグルーヴを生み出し、これまで内包していた宇宙を外に向かって熱量高く解放することに成功した。ステージ上のパワフルなパフォーマンスはフロアのオーディエンスをも解放して歌い踊らせ、これまでのライブでは想像できないほどの高揚と興奮を共有、人間味溢れる幸せな空間を作り上げたのだ。


青白い幻想的な照明に包まれたステージは、オープニングから圭のギターソロが始まり、ファンを驚かせる。哀愁をまとったフレーズを体をそらして弾く圭。ボタンを開けたシャツから見える白い肌が実に妖艶だ。フロアがじわじわと熱を帯びてきたところで、バンドメンバーが定位置につき、「SKY FITS HEAVEN」「DREAMSCAPE」「BLACK BANE」とアッパーチューンを連ねて、今のBAROQUEの肉感的なグルーヴを会場に一気に放出する。

曲の要所要所で耳に飛び込んでくる圭のギターの説得力といい、バンドのグルーヴと共鳴するように時折シャウトを入れる怜のボーカルといい、1年前の彼らとは別人のようなエネルギッシュなステージングだ。怜が短い挨拶に続けて、「最高を更新しよう！」と伝えたあとは、最新シングルのカップリング曲としてリレコーディング収録したJ-POP風味の「何千何万億の君への想い」を演奏。怜が歌で観客のハートをキュンキュンさせる横で、圭はフレーズ、ストローク、ギターソロなどの存在感が際立つプレイで、観客を魅了していく。


これまでの音像、音響の透明感、美しさはそのままに、そこにバンドが放つ熱量を加えることで、さらなる緩急を描き出していったのが中盤のパフォーマンスだ。アンビエントなサウンドのなか、ディレイをかけたヴォーカルがゆったりと浮遊していった「SKY WALKER」、再構築された「ヒトのイロ」は小気味いいアンサンブルが途中から轟音に変わり、神がかったエモーショナルな演奏を叩き込んで陶酔感へとフロアを誘う。「exit」では圭が清涼感ただようギターフレーズでオーディエンスを海へと連れ出し、後半はシューゲイザーな音で深海へと心地よくダイヴさせていくようだ。

深海の静寂を切り裂くように始まるアッパーなロックチューン「SWALLOW THE NIGHT」はバンドのエモさと凶暴性を増幅させたほか、静から動への急転直下でリスナーを魅了する「SILENT PICTURE」はドラム、ベース、ギター、キーボードが立体的に交わって、最後はクラップを重ねるオーディエンスと怜のシャウトを引き連れてエンドレスに高揚させる。さらに、熱量をキープするように、ステージではバンドセッションが始まった。曲間を躍動する生音でつなぐBAROQUEも、これまではなかったスタイルだ。

そして、圭がシャツのボタンを全開にすると、最新曲の前に同時発売した2枚のシングルを立て続けに披露。幻想的で壮大なスケール感を持ったバラード「AN ETERNITY」は、アウトロで圭がギターソロをとことんエモーショナルに弾いて、観客の感情を揺さぶる。疾走感たっぷりの「FLOWER OF ROMANCE」に乗せた開放感はぶっちぎりの気持ちよさ。これまでライブアンセムとして欠かせなかった「ガリロン」や「我伐道」がなくても、オーディエンスはこの曲で飛んだり跳ねたり、どんどん熱狂の渦を広げていったのだ。


終盤はポップチューンを連発して熱狂を広げ、本編ラストはメロディーがとびきり美しい3連のバラード「CELEBRATE」を会場中が合唱して、体も心も浄化されたように本編のフィニッシュを迎えた。

アンコールは、圭のカオティックに攻めたギターソロを冒頭に、生命力が溢れ出す「MEMENTO」への展開で緊迫した場面を作り出していく。そこから新曲の一部を披露。オーディエンスが白い光を灯す新曲「PLANETARY LIGHT」が場内に希望感溢れる明るい世界を広げた。怜が手にしたブーケをフロアに投げ入れた明るくダンサブルな「GIRL」、同じ旋律を繰り返すことで生まれる壮大な愛で聞き手を抱擁していく最新シングル「YOU」を連発。集まったファンと人間味溢れる幸せに満ちた空間を作り上げ、ライブを締めくくった。

最後に、笑顔で埋め尽くされたフロアを見渡して自信に満ちた表情で「いまのBAROQUE最高だろ？」と観客に語りかけた怜。「俺ら、そろそろ外に行こうか？　いろんなところで、もっと強くなろうぜ」と、今後のBAROQUEの活動を予感させるような言葉も飛び出した。

覚醒後のバンドの好調ぶりを証明するように、最新シングル「YOU」でオリコンのデイリーチャート9位を獲得したBAROQUEは2019年1月13日および14日の2日間、東京･新木場COASTで開催されるイベント＜Free-Will SLUM＞の2日目に登場する予定だ。