【レポート】LUNA SEA、<SEARCH FOR MY EDEN>再現ライヴで「過去をすべて超えてみない?」

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LUNA SEAが12月23日、さいたまスーパーアリーナにて<LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary->の最終日となる公演“SEARCH FOR MY EDEN”を開催した。

◆LUNA SEA 画像

『EDEN』(1993年発表)は、バンド史上最もポップなメロディと疾走感のある初シングル「BELIEVE」発表後、間もなくリリースされたメジャー2ndアルバムだ。初日22日公演はデビューアルバム『IMAGE』を携えての全国ツアー<IMAGE or REAL>を再構築したもの。『IMAGE』がインディーズ時代からライヴで演奏している曲がメインだったのに対して、『EDEN』は書きおろしのナンバーが多く、当時、“ポップすぎる”という意見もあり賛否両論を呼んだ作品である。注目度が高まり、ライヴ会場のキャパシティが大きくなる中、LUNA SEAが試行錯誤していた時期に生み出された楽曲たち。もちろん現在のライヴの定番曲も収録されているが、RYUICHIが長かった髪をバッサリ切ったり、全員が白い衣装を着たりと、この時期のLUNA SEAはアクションを起こすたびにファンを驚かせていたと記憶している。


初日に引き続き、過去ライヴの再構築という貴重すぎる時が近づき、ハンドクラップで開演を待ちわびる場内。やがてステージを覆う沙幕にケイト・ブッシュのナンバーとともにアルバム『EDEN』の美しいジャケットが映し出されると大歓声。オープニングは終幕後もLUNA SEAのライヴのキラーチューンであり続ける研ぎすまされた「JESUS」だ。Jのコーラスとクールで太いベースのフレーズに太い声が上がり、特攻とともに「Dejavu」を投下する流れは興奮しないほうがムリというもの。「オマエたちの声を聴かせてくれ!」とRYUICHIが煽り、気持ちいいぐらいの大合唱が響いた。

「みんな元気ですか? 昨日もすごく懐かしくて新しいライヴだったけどね。今日もさらに進化したLUNA SEAを“SEACH FOR EDEN”と題してお届けしたいと思います」──RYUICHI

RYUICHIがライヴの模様をTV(『BSスカパー!』で生中継)で見ている人たちのことにも触れた後は、終幕後一度も演奏されていない『EDEN』収録曲を3連発。「ANUBIS」は今のLUNA SEAだからこそ、より洗練されたアプローチで鳴らされた。真矢の小気味いいドラミングに絡むJのセンスのいいフレーズ、SUGIZOのトリッキーなギターソロと聴きどころ満載である。そしてシャッフルナンバー「STEAL」は“これLUNA SEA?”と思う人もいるかもしれないほどレトロでジャジーな質感を持つ曲だ。RYUICHIが初めて女性目線で作詞した曲でもあり、SUGIZOがフレットレスギターを弾くのも当時と同じ。この曲から「LAMENTABLE」へと続く流れはアルバムでもライヴでもセットのようになっていて、真矢のドラム、Jのベース、INORANのギター、SUGIZOのギターと音が重なっていくのもオリジナルを再現。滅多に演奏されなかった曲たちが次々と今の5人の表現力で奏でられる展開はある意味、初日以上にレアである。


「来年でLUNA SEAも30周年を迎えるわけで。過去の自分たちの足跡をしっかり振り返るとすごい歴史があるんだよね。俺たちのやってきたことは無謀であったり、めちゃくちゃであったり。でもLUNA SEAっていう筋が通ってるっていうことを感じて、めちゃくちゃ楽しいんですけど。LUNA SEAの道をこれからも5人で行きたいと思います。みんな、しっかりついてきてね!」──RYUICHI

今回の試みを通して改めて感じたことを伝え、「これも久々かな」と前置きして披露されたのは、その後のLUNA SEAのメランコリックで浮遊感のあるミドルバラードに通じる「RECALL」だった。INORANがアコギを奏で、繊細に絡み合う演奏とRYUICHIの情緒的なヴォーカルが秀逸。再び紗幕がかかり、SUGIZOがヴァイオリンを奏でる姿がシルエットで浮かび上がった。蠟燭の炎が揺れ、バックスクリーンに教会のステンドグラスが浮かび上がる「Providence」の演出は当時のツアーを彷彿とさせ、涙した人も多かったのではないだろうか。LUNA SEAのライヴの中盤で数えきれないほど奏でられてきた名曲であり、『EDEN』のメッセージが込められたナンバーが時代を超えて胸を打つ。さいたまスーパーアリーナが感動に包まれる中、「BELIEVE」のカップリングに収録されていた曲「Claustrophobia」が披露されたのも思いがけないサプライズだった。初期SLAVEに熱狂的に支持されていたナンバーであり、ダークで深みのある世界観から、後半一気に爆発するRYUICHIのヴォーカル、初期のJらしいポジティヴパンク色の強いベースのフレーズ、美しくもの哀しいギターのフレーズも素晴らしく、拍手と絶叫が場内に響き渡った。


間合いも含めて見せて聴かせる入魂のプレイに息を呑む真矢のドラムソロでは“真矢コール”で場内が一体になり、JはEDMのバックトラックを陵辱するようなワイルドで強靭なベースをかき鳴らし、センターで何度もシャウト。会場をひとりで引っぱっていく強力すぎるリズム隊のセクションをはさんで、インディー時代から演奏され続けてきた「BLUE TRANSPARENCY」を投下するとスーパーアリーナはコール&レスポンスで熱狂の渦だ。SUGIZOとINORANが上手で向かい合い、RYUICHIも絶叫。30年近く演奏されているナンバーが世代を超えて今も見る人の我を失わせること自体が何というか凄すぎる。

そして「LUNATIC X'MASにこのナンバーを」と、初日同様に「White Christmas」に続いて「I for You」が届けられた。

「どうもありがとう! 今日、今までの過去をすべて超えてみない? 人間が本気になる瞬間、今、それをやってみない?」とRYUICHIが提案し、後半戦ではこれも復活後一度も演奏されていない『EDEN』収録曲の開放感のあるポップチューン「STAY」が演奏された。“やってくれた!”と言わんばかりの声援が飛び、SLAVEたちが手を振って幸せな空気が満ちる「IN MY DREAM」ではSUGIZOとJが向かい合い、JがSUGIZOのギターの弦を弾くお茶目なシーンも。このあたりからは場内、シンガロングの嵐。RYUICHIの歌も有言実行でどんどんパワーを増していき、「TIME IS DEAD」を投下。本編ラストナンバーは「BELIEVE」。みんなの全力の歌声にギターを奏でるINORANが感無量の表情になり、RYUICHIの目から涙が溢れそうになったブレイクのセクションはこの日の忘れられない場面となった。


アンコールではみんなが歌う「きよしこの夜」とスマホライトのイルミネーションがクリスマスムードを高め、RYUICHIは「すごい。今日も宇宙に浮かんでるようですね」とSLAVEたちを讃え、「5人の想いを届けたい」と2016年のさいたまスーパーアリーナ公演<LUNA SEA「The Holy Night -Beyond the Limit-」>で会場限定リリースされたオリジナルのクリスマスソング「HOLY KNIGHT」を演奏。ミラーボールはまるで宇宙の惑星のよう。ステージから舞う雪の演出も含め、夢を見ているような光景が広がった。レーザーが飛び交う中、SUGIZOのファンキーなカッティングで始まった最新アルバム『LUV』収録曲「BLACK AND BLUE」はツインギターの絡み、グルーヴするJのベース、屋台骨を引き受ける真矢のドラミングも曲調も最新型LUNA SEAであり、未来への光を引き寄せるスケール感。スーパーアリーナにみんなの歌う声が響きわたった。

メンバー紹介ではINORANが生声で「最高の愛をありがとう!」と叫び、初日に話さなかったJにRYUICHIがマイクを向けると「メリークリスマス!」とひとこと。SUGIZOも生声で「愛してるぜ!」と叫び、「先生、よろしくお願いします」とRYUICHIに振られた真矢は近年、おなじみのマイクスタンドを操るパフォーマンスで沸かせ、「僕は根っからのヴィジュアル系なので」と「赤鼻のトナカイ」をV系風におおげさに歌い、場内を爆笑させた。さらに前日に続いてRYUICHIはINORANとSUGIZOに悪ノリモードで紹介され、その悪ノリに巻き込まれそうになったJが「ひとこといい? ここからスカパー見始めた人、何だかわかんねーだろ?」とツッコミを入れるなど、メンバーのやりとりもレアすぎる展開に。そしてRYUICHIが30周年について告知した。


「久々に来年の5月29日にはZepp TokyoでSLAVE限定、フリーチケットのライヴをやりたいと思ってます。これは俺たちの感謝の気持ちなんだよね。たぶん、なかなかチケットは当たらないと思うんだけど、でも当たる人は必ずいるわけだから。当たらなくてもまたすぐやるし。だから、とにかく勝ち取ってきて。それと30周年のスペシャルなライヴをやりたいよね。5月31日と6月1日に日本武道館2daysやります。メニューとか含めて30周年の始まりのライヴになると思ってるので、特別な何かをみんなに届けられたらと思ってるから楽しみにしててください」──RYUICHI

この報告に悲鳴のような歓声が上がり、ラスト2曲は爆発力がハンパなかった「ROSIER」とハッピーエンディングの「WISH」。

RYUICHIは「愛してるよ」とステージを去り、真矢はスティックを何本も客席に投げ入れ、INORANは「スーパーアリーナ! 来年は30周年アニヴァーサリーイヤー、今日ここから始まったからな。みんなで俺ら5人と見たことない景色、見たことのない幸せな空間を作ろうぜ! また会おうな!」と告げ、Jは「スーパーアリーナ! 最高に熱くなった。ありがとう! 素晴らしいクリスマスを過ごしてください! メリークリスマス!」。ペットボトルを何本も投げ入れたSUGIZOは両手を広げ、深々とお辞儀。景色を目に焼き付けるようにステージを後にした。


終演のアナウンスが流れ、あちこちから聞こえてきたのはLUNA SEAの名前を叫び、喉が枯れそうなほど「ありがとう!!!」と絶叫するSLAVEたちの声だった。リアルタイムで観ていない人たちが多いにも関わらず、あの頃と全く同じ光景があった。余韻はまだ続いている。

取材・文◎山本弘子
撮影◎LUNA SEA Inc.

■<LUNA SEA LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary- SEARCH FOR MY EDEN>2018年12月23日(日)@さいたまスーパーアリーナSETLIST

01. JESUS
02. Déjàvu
03. ANUBIS
04. STEAL
05. LAMENTABLE
06. RECALL
07. Providence
08. Claustrophobia
09. Dr.Solo & Bass Solo
10. BLUE TRANSPARENCY
11. White Christmas〜I for You
12. STAY
13. IN MY DREAM
14. TIME IS DEAD
15. BELIEVE
encore
en1. HOLY KNIGHT
en2. BLACK AND BLUE
en3. ROSIER
en4. WISH

■<LUNA SEA LUNATIC X'MAS 2018 -Introduction to the 30th Anniversary- IMAGE or REAL>2018年12月22日(土)@さいたまスーパーアリーナSETLIST

01. Déjàvu
02. MECHANICAL DANCE
03. IMITATION
04. IN MIND
05. Image
06. SANDY TIME
07. WALL
08. VAMPIRE'S TALK
09. Dr.Solo & Bass Solo
10. FATE
11. White Christmas〜I for You
12. SYMPTOM
13. PRECIOUS...
14. TIME IS DEAD
15. WISH
encore
en1. MOON
en2. Hold You Down
en3. ROSIER
en4. TONIGHT



■<LUNA SEA The 30th Anniversary SLAVE限定GIG 5.29 Zepp Tokyo>

2019年5月29日(水) Zepp Tokyo
※SLAVE会員限定無料LIVE
※詳細はSLAVE OFFICIAL WEBにて順次公開
https://www.lunasea-slave.jp

■<LUNA SEA The 30th Anniversary Special Live 日本武道館 2days 2019. 5.31, 6.1>

2019年5月31日(金) 東京・日本武道館
OPEN17:30 / STAR18:30
2019年6月01日(土) 東京・日本武道館
OPEN16:00 / START17:00
▼チケット
全席指定 ¥9,800(税込)
2階後方立見 ¥9,800(税込・整理番号付)
ファミリーシート 大人¥9,800(税込)・高校生以下¥2,200(税込)
SLAVE VIPシート ¥50,000(税込) ※一般発売はございません
SLAVEシート ¥21,600(税込) ※一般発売はございません
※3歳以上有料 ※座席はステージ横、後方を含みます
一般発売日:2019年4月20日(土)
(問)キョードー東京 0570-550-799
【SLAVEチケット先行販売】
2018年12月25日(火)正午よりスタート
https://www.lunasea-slave.jp

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