【インタビュー】きいやま商店、結成10周年「今年こそ“シャレオツ”で行きます」

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■ガットギターを始めたのはきいやまから
■弾きすぎて、穴が空いちゃったんです

──しかも、3人の仲の良さが伝わるステージですから。兄弟や親戚という血のつながりも大きいですか? 「頑張れ!スミオおじぃ」とか「離れてても家族」とか、身内のストーリーが歌詞になってるから、3人の共感ポイントだらけでしょうし。

だいちゃん:子供の頃から観るもの聴くもの、全部同じだったので。おもしろいとか、いいと思えるポイントも一緒なんでしょうね。リョーサとは同じ歳だし、マストはひとつ年下だから同世代ですし。それぞれの友達も共通だから飲み会に行けば3人がいる(笑)。


──共感をリスナーに求めるようなメッセージソングでもないというところも、きいやま商店のおもしろいところで。

マスト:曲を聴いて「カッコいい!」と言ってくれたりするんですけど、歌詞の内容は“犬に追いかけられてる歌”だったり(笑)。

──それこそ、三線をマシンガンのように抱えて客席を煽る奏者なんて見たことないですからね、リョーサさん(笑)。

リョーサ:はははははは!

マスト:しかもあの三線、ヘッドの部分にレーザービームが点いてるんですよ。<WWW!! 18>のときは昼間だったからわからなかったかもしれないけど、夜はスモークを焚くと光線が見える(笑)。

リョーサ:三線を投げたりして、壊したことも何度かありますからね。ホント、三線の先生に怒られます(笑)。

──そんなパフォーマンスは琉球民謡の巨匠、知名定男(<WWW!! 18>出演)さんには絶対見せられない(笑)。

リョーサ:はははははは!

マスト:いや、定男さんは逆に喜ぶかもしれない(笑)。

▲MONGOL800主催フェス<What a Wonderful World!! 18>11月3日+4日@沖縄・美らSUNビーチ

──ははは、確かに(笑)。それと、マストさんのガットギターですよ。あれ、ボディートップに穴が空いてるように見えるんですが?

マスト:ガットギターを始めたのはきいやま商店からなんですけど、弾きすぎて、穴が空いちゃったんです。

──表面板を叩くことで、その打撃音がリズムに活かされるフラメンコギターならではの奏法ですよね。

マスト:そうです、そうです。きいやま商店の初期は僕もリョーサもアコースティックギターだったんですけど、BOOMの宮沢(和史)さんが、「弾いてみて」ってプレゼントしてくれたんですよ。

リョーサ:えっ、そうだったの!?

──メンバーも知らない逸話(笑)。宮沢さんとのお付き合いも深いんですね。

マスト:宮沢さんが作ったユニットのサポートギタリストとしてツアーを廻ったこともあったので。そのとき、ちょうどガットギターに興味を持ち始めていた頃だったから、宮沢さんに「難しいですか?」とか訊いてたら、それを覚えててくれて、わざわざ楽器店で買ってきてくれたんです。で、きいやま商店で使ってみようと。

リョーサ:はっ!? 使わなくなったお古じゃなくて、新品を買ってくれたんか(羨)?

マスト:そうそう(笑)。しかも、ガットギターってネックの幅が広いじゃないですか。だから“アコースティックギターからガットギターに移行しやすいように”って細いネックのガットギターを買ってくれたんです。そこから練習をして、慣れてきたところで自分で買ったスペインのモデルが今のガットギターです。

──かなり練習を重ねないと、あそこまでの穴は空きませんよね?

マスト:ロドリーゴ・イ・ガブリエーラっていうメッチャすごい男女ギターデュオがいるじゃないですか。YouTubeを観て、“すごい!”と思って毎晩公園に行って練習してました。あんなにギターを練習したのは久しぶりでしたね、そうしたら穴が空いたという(笑)。あれ以上、広がったらヤバいらしいので、今はその穴の上に透明のプラスティックを貼ってます。実は二代目のガットもあるんですけど、それにも穴が空いてて調子を崩しているので、今は初代をまた使ってる感じです。

▲MONGOL800主催フェス<What a Wonderful World!! 18>11月3日+4日@沖縄・美らSUNビーチ

──ガットにしても三線にしても、だいちゃんを中心にしたハーモニーにしても、サウンド&プレイ的な側面から、きいやま商店を語るべきポイントはたくさんあると思うんですが、あえてそっち方向でのアピールはしないですよね(笑)。

だいちゃん:ははははは! 出しどころがわからないんですよ、苦手ですね(笑)。

リョーサ:カッコウの付け方がわからない(笑)。

だいちゃん:それよりも、ここをこうしたらお客さんがワッと盛り上がるだろうなとか、そういうことをイメージしていたほうが楽しいですし。

リョーサ:どうパフォーマンスするかとかね。

──ダンスパフォーマンスもきいやま商店には欠かせないもののひとつですが。

マスト:そうですね。オープニングのダンスがまさにそうで。どうやったらお客さんをつかめるか。最初に“おもしろそう!”って思わせないといけないので。

──そのあたりは、場所を選ばずにライブ活動を重ねてきた経験の強さがありますし、フェスに映えるユニットだと<WWW!! 18>を観て思いました。ツカミがいろんなところにある(笑)。黒ハット、白の半袖シャツ、黒ネクタイ、黒ハーフパンツ、島ぞうりというお揃いの衣装は?

リョーサ:最初はアロハを着て、麦わら帽子をかぶってやっていたんですよ。レッグウォーマーをバンダナ代わりに巻いてみたり。

マスト:極めつけは上がアロハで、下がタイパンツだったな。

だいちゃん:ヒドかったな、なんだったんだろうな、あれ(笑)。

マスト:で、2度目のライブの時に、だいちゃんの母方の祖母が亡くなったんだよな。

だいちゃん:そう。葬式があったので、ライブを行うかどうか迷ったんですけど、ばあちゃんはずっと音楽が好きだったので、「レクイエムとしてライブをやったほうがいいんじゃないかな」って。喪に服すという意味も込めて、この衣装が始まったんです。

──だから黒ネクタイなんですね。

リョーサ:そうです。そのライブは、ジーパンと普通の靴だったんですけど、後に短パンと島ぞうりになり。

だいちゃん:僕ら『ブルースブラザース』が好きだったこともあって、黒い帽子を被ったり、少しずつ進化していった感じですね。

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