【インタビュー】みきなつみ、大きな進化を遂げ幅広さや深度を増した最新2ndミニ・アルバム

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■本当に自分が思ったことや感じたことしか歌えない
■それが沢山の人に響くといいなと思っています


――大人っぽいテイストを採り入れた「ごめんねって言ったら君はまた許してくれるかな」も注目です。

みき:今回のアルバムの中で、ちょっと浮いた曲かなと思いますけど(笑)。

――アルバムのいいフックになっていますよ。

みき:そう感じてもらえたなら良かったです。この曲を作ったのは結構前なんですよ。今回の他の6曲を聴いたときに、この中に「ごめんねって言ったら君はまた許してくれるかな」があったら面白いんじゃないかなと思って入れました。アレンジ的にも他の曲とは違うアプローチになっていて、初めて男性の歌声を入れることにしたんです。真空ホロウの松本(明人)さんが、一緒に歌ってくれました。それに、普通に二人で歌ったり、ハモったりするんじゃなくて、最初は松本さんが私のオクターブ下で歌っていて、そこから高いところに行ったりしているんですよ。そんなふうに、ちょっと面白いツイン・ボーカルにできたなというのがあって。この曲じゃなかったら、ああいうアプローチは出てこなかったと思います。

――松本さんとのツイン・ボーカルが、楽曲の世界観を一層深めています。それに、大人っぽい曲を、キュートに歌っていることもポイントですね。

みき:私は、そういうイレギュラーなバランス感覚みたいなものが癖になればといいなと思っているんです。1stミニ・アルバムを作ったときにスタッフの皆さんと話しあっていたことのひとつに、甘さとしょっぱさが混ざったようなもの…“甘じょっぱい”みたいなところを狙っていきたいというのがあって。言われたとおり、「ごめんねって言ったら君はまた許してくれるかな」は、もっと都会的だったり、R&Bに寄せた感じで歌うこともできるんですよ。でも、そうしてしまうと、みきなつみじゃない気がして。自分らしく歌うということを大事にした結果、こういう歌になりました。

――この曲は恋人と喧嘩してしまいがちな自分を反省している心情を描いた歌詞もいいですね。

みき:この曲の歌詞は、ちょっとヒネくれている感じというか。プンプンした歌詞ですよね(笑)。


――でも、かわいいです。それに、20才前後くらいの女性は、こういう人が多いような気がするのですが?

みき:結局、自分勝手なんですよ(笑)。みんな自分のこと、自分のこと…という感じ。女の子は恋愛になると自分勝手。若いとか、大人とかに関係なく(笑)。そう思いませんか?

――“自分勝手なんですよ”と言えるということは、そういう自分をちょっと客観視できる年齢になったともいえませんか?

みき:それも、あるのかなぁ……。この曲は自分勝手な自分が出ちゃっている曲ではあるけど、恋や愛がよくわからないというのがあって。恋愛は自分勝手だと言ったけど、たとえば結婚したりすると、また違うのかなと思ったりするし。最近周りで結婚した子とかがいるんですよ。結婚したら自分勝手なだけではいられなくて、お互いに責任を負い合う必要があるじゃないですか。だから、こういう曲は今しか作れないものかなという気はしますね。

――終わってしまった恋を思い返すせつない心情を歌っている「ラストラブレター」は、究極の赤裸々ソングといえます。

みき:そう、この曲の歌詞は本当に、ありのままの心情を書いています。「ラストラブレター」はそこまでの6曲が終わって、ちょっと間が空いてから入っている曲で、しかも1曲だけ弾き語りなんですよね。この曲は、作ったときから絶対に次のアルバムに入れようと決めていて。それも一番最後で、絶対に弾き語りで入れようと、誰にも話していなかったけど、自分の中で思っていました。

――内面をありのままに描くことで、プライベートな歌でいながら、多くのリスナーに響くものになっています。それに、この曲は一発録りでしょうか?

みき:一発録りです。しかも、実は家で録りました。レコーディング・スタジオで2回録ったんですけど、なんか違うなと思って最終的に家で録ったんです。

――部屋で一人で歌っている空気感が絶妙です。

みき:私はいつも家で曲を書いていて、そこでできあがる。そういう原点じゃないけど、生々しさがこの曲には合うなというのがあって。だから、一発録りしようと決めていたし、家で録ることになったのは曲がそれを呼んでいたんだと思います。


――音楽の面白みを感じます。さて、「ラストラブレター」も含めて『とけたアイスの味は青かった』は、みきさんが虚像ではなく、生き様を見せていくシンガーソングライターだということを、あらためて印象づける一作になりましたね。

みき:そうなると、いいなと思います。私は、本当に自分が思ったことや、感じたことしか歌えないんですよ。ずっとそうしていきたいし、それが沢山の人に響くといいなと思っています。あとは、『とけたアイスの味は青かった』はパッとできた曲もあれば、すごく悩んで作った曲もあって。前回の1stミニ・アルバムは、そこまでの自分の活動の集大成だったけど、今回はあのアルバムから後の短期間のみきなつみを詰め込むということが、自分の中の課題としてあったんです。ストックしてある曲もあるけど、それを入れるのはすごく嫌だったんですよね。今の自分を見てほしかったし、“みきなつみは、がんばっているんだぞ!”ということが言わなくても音楽で伝わるといいなと思っているから。そういう作品を聴いて、がんばろうという気持ちになってほしいし。だから、昔の曲は入れないことにして、その結果“ああ、どうしよう…”という焦りみたいなものが曲に出ていたりとか、だからこそできた曲もたくさんあって。歌詞も前回とは違って、恋愛に対する見方がちょっと変わっていたりしていて、そういうところを楽しんでもらえたらいいなと思います。それに、今回のミニ・アルバムを作って、私の曲はライブで聴いてほしいと、改めて感じました。生で聴いてもらったほうが音源以上に伝わる気がするんですよね。

――ライブといえば、12月に大阪と東京でワンマン・ライブが開催されます。

みき:大阪は人生初の大阪ワンマンだし、今度の2本のライブはバンドセットでやろうと思っています。そういう初めてのことが揃ったので、成人式になぞらえて<大人の階段一緒にのぼるよツアー~“青”人式~>というタイトルをつけました。成人式の“成”を“青”にして、アルバムとも関連づけたんです。20才でのワンマンはこの2本が最後になると思われるので、1stミニ・アルバムを出して、47都道府県ツアーをして、今回の2ndミニ・アルバムを出してという動きを経て、“みきなつみ、カッコよくなってるじゃん!”と思ってもらえるライブにしたいですね。12月の2本のライブは、私自身がすごく楽しみにしているんです。私はずっと一人でライブをしてきたけど、最近はポイント、ポイントでバンドセットでのライブを入れていて、バンドの楽しさを知ったというのがあって。バンドは、すごく楽しいんですよ。その日によって、音の感じが全然違うんですよね。音に全部出るから、“今日はみんな、やる気あるのか?”みたいに感じるときとかもあって(笑)。でも、そういうのは、私が原因だったりするんですよね。結局、自分が良くないから、みんなもついてこれなかったりするんです。つまり、バンドを引っ張るのは、私の責任なんですよね。なので、私が熱量を出して、サポートの皆さんも私と同じ熱さになってもらえるようにしたい。それがお客さんにも伝わって、会場全体が盛り上がるライブをしたいなと思っています。

取材・文●村上孝之


リリース情報

2nd ミニアルバム
『とけたアイスの味は青かった』
2018年11月7日 Release
FOCD-0050 \1,852(+税)
1.明日も私はワタシだし
2.ボクらの叫び
3.セブンティーンアイス
4.ごめんねって言ったら君はまた許してくれるかな
5.シャイニーガール
6.またね
7.ラストラブレター

ライブ・イベント情報

みきなつみワンマンライブツアー
<大人の階段一緒にのぼるよツアー~“青”人式~>
・12/1(土) 大阪・アメリカ村BEYOND
・12/16(日) 東京・渋谷eggman
※両会場ともに17:30 open/18:00 start

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