【インタビュー】sleepyhead、スワッピングEP『NIGHTMARE SWAP』で追い求める刺激の在り処
■変な話、守る人もいないので捨て身でカッコいいことだけをやろう
■っていうのが出ている
——オファーも企画も含め、全部1人でやっているんですね?
武瑠:「もはやミュージシャンなんだろうか?」っていう領域に入ってきてますね(笑)。クリエイティブディレクター的な。実際、THE ORAL CIGARETTESのPVをクリエイティブディレクションしたりしているので。
——バンド時代から絵コンテも自分で描いて、PVの監督もしていたので自然な流れではありますよね。音楽だけでは表現しきれないタイプというか。
武瑠:それだけにバンドが終わった後に音楽をやろうか悩んだんですよね。自分の弱点はやっていることを説明するのに時間がかかるっていうことなんです。今回のアーティスト写真のバックの植物はPVでも照明が当たって出てくるし、自分のブランドの服にもデザインされている。連動している表現なのでわかりやすくはないんですよ。これが顔が隠れるような長髪でメガネでガリガリみたいなタイプだったら「こういうアートワークが好きなんです」って言っても説得力があるんでしょうけど、プレゼンすると「アイドルのコかと思った」とか「意外だ」って言われたり。
——先入観を持たれやすいっていうね。ちなみに出発点としてどういうアーティストとコラボしたいと思ったんですか?
武瑠:純粋に何か新しいものが生まれそうな人とやりたいと思っていました。SKY-HIの日高くんとはSuGの最後の武道館ライブの数日後に会ったんですけど、「音楽やったほうがいいよ」って言ってくれた中の1人ですね。「今日は話せてよかった」ってツイートしたら「助けるから頼ってきてよ」って返してくれて、当時は音楽やろうと思えてなかったんですけど、そう言ってくれた人と一緒にやりたいなって。
——「1 2 3 for hype sex heaven feat SKY-HI, TeddyLoid, Katsuma(coldrain)」はイントロのギターからしてカッコいいですよね。日高さんのラップも含め、今作の中でいちばん尖ってると思いました。
武瑠:全体にカッコいいですよね。ギターリフから作った曲なんですけど、それも自分の中で新鮮でした。ギターサウンドなのに踊れる曲が作りたくて、ラップ入れたかったので日高くんに声をかけたんです。「アレンジャー、誰がいいかな?」って聞いたら「Teddyくんとやってみたい」って。で、この曲は生ドラムにしたほうが面白いと思ったのでKatsuma(coldrain)くんに参加してもらったんです。共作も一瞬で出来てラップも言うことないし、さすがだなと。
——今作でいちばん社会に毒吐いてる曲でもあります。
武瑠:そうですね。常識と正解はイコールではないっていうのが命題としてあったんです。あなたが正しいと思っていることは時代によっては逆になるかもしれないっていう。そういうことを日高くんに伝えたらバッチリなリリックを書いてくれました。“カリカリしながらまた魔女狩り”とか“黒に白に黄色 どうでもいいよ 全員監視対象”とか、自分が言ったことのアンサーが詰まってる。きっと棘のある言葉を使ってくるだろうから、自分は抽象的な表現で書こうとか、共作のバランス感も良かったですね。メジャーシーンだったら、この曲をタイトル曲には選ばないんだろうなと思いましたけど。
——メジャーシーンなら、どの曲なんだろう?
武瑠:「DON'T YOU LET ME GO feat. AISHA 」か「INSIDE OUT KISS feat.MOMIKEN(SPYAIR)」かな。
——もっとメロディがキャッチーで切ない曲?
武瑠:そうですね。でも、「1 2 3 for hype sex heaven feat SKY-HI,TeddyLoid,Katsuma(coldrain)」を選べるのは自分がもはやミュージシャンという括りでは語れないという自覚があるからかもしれないです。今は変な話、守る人もいないので捨て身でカッコいいことだけをやろうっていうのが今作には出ているんじゃないかと思います。またPVが衝撃的なんですよ。
——どういう映像になっているんですか?
武瑠:まず、SKY-HIとTeddyくん、Katsumaくんとの4人の個性のぶつかりあいがハンパないです。俺がギター&ボーカルで日高くんがラップ、TeddyくんがDJ、Katsumaくんがドラムっていうバンドスタイルで撮影したんですけど、日高くんと同じ映像に映って「こんなに見せ方がすごい人がいるんだ? この引き出しの数は何だ?」ってパフォーマンスに驚きましたもん。4人のシーンだけでも十分成立するのにドラマとアニメーションも混ぜているんです。エグいシーンはポップなアニメで表現していて、かなりぶっ飛んだPVになっています。「ストリートゴシックって何? 上質な闇ってどういうこと?」って言われたら「2分半だけPV見てくれよ」って言いたいですね。予算も「闇雲」の倍ぐらいかかってるんですよ。
——1人でやってるから「予算かけすぎ」って止める人いないですものね。
武瑠:(笑)そうなんです。頭の中にあるものを純粋に表現しようって。だって、車が欲しいわけでもないし、やりたいことですからね。今年に入ってPV4本撮ってるんですけど、いい外車とか買えるぐらいお金かけてます。どう考えても冷静じゃないですね(笑)。
——はははは。
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