【インタビュー】sleepyhead、スワッピングEP『NIGHTMARE SWAP』で追い求める刺激の在り処

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sleepyheadが、ジャンルを飛び超えたゲストを迎えて制作された5曲入りのスワッピングEP『NIGHTMARE SWAP』を10月17日にリリースする。SKY-HIを筆頭にTeddyLoid、MOMIKEN(SPYAIR)、Tom-H@ck、AISHA、WHITE JAM、PLASTICZOOMSとコラボ、SuGのメインコンポーザーだったyujiも参加した作品はコラボレーションならではの刺激的な化学反応とスパイスが楽しめるものとなった。

豪華な参加メンバーはそこに至るまでの幅広いネットワークを物語るが、オファーにあたっては自らアートワークを含めた作品の企画書を全員に提出した上でアプローチしていったというから武瑠らしい。ドライでゴシックでストリートで踊り狂える世界観を究めたかったという本作について、武瑠の心境の変化を含めてたっぷり話を聞いた。なおsleepyheadは東名阪ワンマンツアーに続いて、12月29日、半月の夜に渋谷ストリームホールでライヴ<共存半月>を開催することを発表した。

◆sleepyhead 画像

■いろんな人とコラボしようと。
■それと、自分がどのジャンルにも属せないとわかった


——sleepyheadとしての初のツアーのファイナル公演で発表されたのが新たなプロジェクト『NIGHTMARE SWAP』でしたよね。同タイトルのEPはコラボ作品となりましたが、このプロジェクトを立ち上げようと思ったのは?

武瑠:まず、前回の1stフルアルバム『DRIPPING』はsleepyheadとしての第1歩ということもあって、作詞、作曲を全て自分でやろうって最初から決めていたんです。渋谷 TSUTAYA O-EASTでの初ワンマン(透明新月)のためにも新曲が必要だったのでアルバムのタイトル通り自分の美学を絞り出して作ったんですけど、その後、“どういうものが作りたいんだろう”って自分に問いかけた時に1人だけで作るんじゃなく違うアーティストとの感覚を掛け合わせて作りたいなと思ったんですね。バンド時代はほかのメンバーが書いた曲にもインスピレーションを受けて歌詞を書いたりしていたから、自分だけで完結したらつまらなくなるだろうと思って、いろんな人とコラボしようと。それと自分がどのジャンルにも属せないとわかったので。

——SuG時代以上にそういうふうに思ったんでしょうか?

武瑠:そうですね。今まで以上にどこにも居場所がないだろうなと。

——それは曲を通しての実感ですか? それともライブを通して?

武瑠:曲を作りながら実感しました。ヒップホップが好きというのもあって、ギターが入っていない曲もあるし。

——確かにそうですよね。

武瑠:『NIGHTMARE SWAP』はビートがダンスミュージックに寄っていると思うんですが、自分が好きなダンスミュージックって踊れるのに切ない音だったり狂っている音が入っているんですよ。日本でDJとかEDMっていうと、多くの人が<ULTRA>フェスみたいなものを想像するだろうし「クラブが好き」っていうと「パリピなの?」って言われるんですけど、どちらかというとダークなものが好きで、ベルリンのパーティに行ったりとか。

——ベルリンのクラブシーンってどういう感じなんですか?

武瑠:ディープテクノみたいな暗い音で、踊り狂ってるみたいな。いろんな国のクラブに行って思ったのはお酒飲んで、刹那的に楽しんでる感じなんですよね。俺が「クラブに行ってみたいな」と思ったのは中学の頃なんですけど、恵比寿のMILK(クラブ/ライブハウス 2007年に閉店)とかロックで踊り狂ってるイメージがあったんです。もちろん今も渋谷のWOMBとかありますけど、メインストリームではないんですよね。でも、sleepyheadのテーマは、そういうダークなダンスミュージックだと思っていて、闇の要素や狂っている要素、切ない要素があったら自分っぽくなるなって。

——『DRIPPING』のときにテーマは“上質な闇”だと話してくれましたが、そこは今作と共通した部分でしょうか?

武瑠:そうですね。“上質な闇”、“切なさ”という軸があれば音像が変わっても自分らしくなるなと思いました。曲調よりも曲の属性、表情のほうが大事だと考えています。

——ちなみに『NIGHTMARE SWAP』というワードは武瑠さんの中に最初から浮かんでいたんでしょうか?

武瑠:はい。まず、ハロウィンフェスをやりたいなっていうところから始まったんですけど、遊びというかお祭りっぽくするのか、作品を作るのか考えた結果、作品を持ってフェスを開催したいなと思ったんです。仮装イベントじゃない自分が思う新しいハロウィンの形を提示したかったので、ただのゴシックじゃないもの、ボタニカルなテイストを取り入れて異次元な感じにしたいというイメージがわいて。

▲sleepyhead『NIGHTMARE SWAP』アーティスト写真

——それが今回のアーティスト写真に繋がっているんですか? メイクもいつもと違う雰囲気ですよね。

武瑠:“上質な闇”って自分の中では“闇”に先端のヒップホップやストリートのエッセンスを混ぜているイメージなんですよ。それもあって、こういうアートワークになったんですけど、単純に以前からドロドロした暗さは自分の中にないんです。そこがヴィジュアル系の中で居心地が悪かった理由かもしれないんですけど。

——例えばミュージックビデオに血が出てくるようなグロい感じはあまり性に合わない?

武瑠:直接的に闇を表現するのが好きじゃないのかもしれないですね。その感覚を写真にするとこんな感じになるんですよ。

——なるほど。洋楽だとナイン・インチ・ネイルズだったりとか、ゴシックとクラブ系のビートが普通に融合していた音楽を聴いていた世代ですものね。

武瑠:そう。クレイジーで闇なんだけどメンヘラではない。ナインインチとかホールジーとかマイケミ(マイ・ケミカル・ロマンス)みたいなシーンが日本にはなぜないんだろう? ってずっと悩んでました。ホラー映画にしても血のりが出てくる感じになるじゃないですか。

——確かに情念とか怨念の世界になることが多いのかもしれない。

武瑠:俺はもっとカラッとした感じが好きで音もドライにしたいんですよ。

——じゃあ、新しいハロウィンイベントの形を作りたいなと思ったことから発展して、SKY-HI、TeddyLoid、MOMIKEN(SPYAIR)、Tom-H@ck、AISHA、WHITE JAM、PLASTICZOOMS、yujiとコラボしたEP『NIGHTMARE SWAP』に繋がっていったんでしょうか?

武瑠:そうですね。SKY-HIを筆頭にまわりから「こんなラインナップが参加してるって、レーベルが動いてるの?」って言われたんですけど、そうじゃないんですよ。ドライでゴシックで踊れる世界観を究めたいと思ったので、PVのヴィジョンまで含めて徹底的に詰めた企画書を全員に送ったら、みんな「面白い」って言ってくれたんです。

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