【インタビュー】倉木麻衣、初コンセプトアルバム完成「夢を重ねてきた20年間だと思ってるんです」

ポスト

■日本人だからこそ表現できる
■サウンドや詞の世界観を

──アルバムの中で一番新しい曲は、「今宵は夢を見させて」。これはどんなふうに?

倉木:昔からあるものをこれからも大切にしていこうという思いと、恋愛とをミックスして作らさせていただいた曲です。NHKの『つくもがみ貸します』というアニメは、お江戸が舞台のとても面白い作品なんですけど、古いものに精霊が宿って“つくもがみ”として活躍する、そのエンディングテーマを担当させていただいてます。原作の小説を読まさせていただいて、イメージをふくらませて、幼い頃から大切にしている思い出からストーリーが展開していって、ものの大切さと恋愛のストーリーを絡ませて書いていきました。すごく急ピッチで作ったんですよ。お話をいただいてから時間がなかったんですけど、“これだ”と思える楽曲だったので、歌詞を書くのも早かったです。

──一気にピースがハマった。

倉木:はい。「今宵は夢を見させて」というタイトルもこれまでとは違って、今までは英語のタイトルが多かったんですけど、ここまで和を感じさせるタイトルはなかったと思うので、新しい感じになったと思います。


──今回、特にそうですね。「渡月橋~君 想う~」「花言葉」「真っ赤な傘~京都の雨~」も、昔ながらの歌謡曲風と言いますか。

倉木:そうですね。「渡月橋 ~君 想う~」をリリースさせていただいてから、和というものをより大切にお届けしたいなって、日本人だからこそ表現できるサウンドや詞の世界観をお伝えできたらいいなという思いが強くなったので。

──「真っ赤な傘 ~京都の雨~」は素敵な曲で。京都の秋のもの悲しい風景と、切ない恋愛模様が美しく描かれている。

倉木:京都にはいろんないいシーンがあるんですが、雨の京都はすごく情緒があって。路面に夜露がキラキラ光っていたり、すごく神聖な雰囲気があって素敵だなと思うので。そういう京都の風景と、恋愛の思いをプラスして書けば、素敵な作品に仕上がるのかな?と思って書いていきましたね。

──実際にそこに住んで、それを感じた人にしか書けない世界だと思います。“貴船の結び”という言葉も出てくるし。

倉木:貴船神社は、恋愛の神様ですね。ここに来たら縁結びの願いが叶うということで有名なんです。渡月橋にも、“カップルが橋を渡る時は振り返ってはいけない”という言い伝えがありますよね。あと、ウェスティン都ホテル京都の中に螺旋階段があって、下から見上げるとハートの形に見えるんです。そこがカップルの名所になっていたりします。

──縁起が良さそうな場所がたくさん。京都は、古いものと新しいものが常に共存している街というイメージがあります。

倉木:京都にはいいところがたくさんあって、観光本には載っていないような、裏の京都があるんです。

──裏の京都って、ちょっと怪しいんですけど(笑)。

倉木:どんどん新しくなっていくので、一本裏路地に入ると、“こんなところにこんな素敵なカフェができてたんだ”とか、あるんですよ。行くたびに発見があって、すごく楽しいです。


──全体的にバラードやミドルが多いですけど、「WE ARE HAPPY WOMEN」と「Do it!」はアップテンポで乗れる曲です。どっちも女性への応援歌ですね。

倉木:「WE ARE HAPPY WOMEN」は、イベントで、男性の方に「男が聴いてもいいですか?」と言われて、「もちろんです!」と答えたんですけど(笑)。「Do it!」は、走りながら作った楽曲なんです。体力作りのためにランニングをやってるんですけど、走りながら歌詞を考えて、ランナーになった気持ちで書いた曲ですね。「走りながら聴いてます」という方もいらっしゃって、すごくうれしかったです。

──この曲もそうですけど、やっぱり倉木さん、“夢”という言葉が多いですね。ほとんどの曲に出てくる。パワーワードな気がします。

倉木:夢があるから明日があるし、頑張って生きていけると思うので。夢というのは人それぞれで、明日叶うかもしれないし、すごく遠いかもしれない。いろんな人の夢をあてはめて、詞の世界観を楽しんで聴いていただきたいので、大きなテーマとして、これからも出し続けていきたいと思います。私はみなさんと、夢を重ねてきた20年間だと思ってるんですよ。まだまだいろんな夢がありますので、それを形にできるようにしていきたいなと思います。つらい時があっても、音楽の力で一緒に前に進んでいけたらなと思います。


──そして最後は「渡月橋 ~君 想う~」で、しっとりと締めくくる。

倉木:曲順は、聴いていくうちに四季の移り変わりが体感できるように考えました。「渡月橋 ~君 想う~」を最後に持ってきたのは、この曲からできあがっていったアルバムということと、今の季節にぴったりだと思ったので。「渡月橋 ~君 想う~」はとても大切な曲で、去年から何度も歌わせていただいて、みなさんと繋がれた1曲でもあるので。振付があるんですけど、幼稚園の子が踊ってくれたり、ブラスバンドで演奏してくださったり、ピアノの発表会で弾いてくださったり、いろんなところで広がっているのがうれしいです。

◆インタビュー(3)へ
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報