グラミー賞受賞アーティスト、ダニエル・ホーとのコラボによるウクレレ新モデルがロメロ・クリエイションズより登場
ウクレレ、ギターブランドのRomero Creations(ロメロ・クリエイションズ)から、グラミー賞受賞アーティスト、ダニエル・ホーとのコラボレーションモデルを含むウクレレの新製品2モデルが登場。ヤマハミュージックジャパンより9月15日に発売される。9月10日に行われた発表会には、ダニエル・ホーが出演し、自ら新モデルの魅力を語った。
▲左からぺぺ・ロメロブランドの手工モデル4品番、ロメロ・クリエイションズの「The Replica」4モデル、「ST Concert」3モデル。
ロメロ・クリエイションズは、世界的なクラシック・ギター奏者Pepe Romero Sr.(ぺぺ・ロメロ シニア)を父に持つ新進気鋭のギター作家Pepe Romero Jr.(ぺぺ・ロメロ ジュニア)が立ち上げたブランド。自身のウクレレ、ギターをより多くの人に弾いてもらいたいという思いから誕生し、彼の手工モデルのコンセプトを生かした普及品を中心に展開。製造はベトナムの工房での伝統的工法のハンドメイドにより行われている。国内ではヤマハミュージックジャパンが2017年より取扱を開始、今回の新モデルが第2弾の製品となる。
▲「ST Concert」は、Spalted Mango、Premium Koa、Mahoganyの3モデル。それぞれトップ、サイド、バックに単板の木材を採用している。小ぶりのヘッドにはダニエル・ホーのロゴ。
ダニエル・ホーとのコラボレーションによる「ST Concert」は、ロメロ・クリエイションズでは初となるコンサートサイズのウクレレ。ダニエル・ホーが監修した同ブランドの代表モデル「Tiny Tenor」(テナーのワンサイズ下)と「XS Soprano」(ソプラノのワンサイズ下)の中間の大きさで、演奏性と携帯性、音の豊かさを一つに集約したモデルとなっている。木材はマホガニー、ハワイアンコア、マンゴーを用意する。
ダニエル・ホーは、「3つのサイズのウクレレ、テナー、コンサート、ソプラノの一番魅力的なところをすべて1本に入れた特別なモデル」と紹介。「私とぺぺ・ロメロさんがTiny Tenorを一緒に作った時に17インチのテナーウクレレをコンサートウクレレのギグバッグに入れて持ち運びやすいようにしようというのがコンセプトだったんですね。それをさらに一歩進めたST Concert。これはテナーのサウンドが出るんですね。ボディはTiny Tenorとまったく同じサイズなんです。中のブレーシングも同じ。スケールが15インチと少しだけ短くなっているので、小さなお子様から大人まで弾きやすいサイズになっています。一方、全長はソプラノサイズ。ヘッドを短くしたりすることで全体的にポータブルになっています。なので、ST Concertはソプラノウクレレのサイズでありながら、テナーのサウンドが出るというウクレレです。」
▲コンサートスケールながら非常にコンパクトなサイズのST Concert(Mahoganyモデル)を、ダニエル・ホーみずからが演奏。
進行役からの「どのようなプレイヤーにオススメでしょうか?」との質問には「Me!」と一言。場内が笑いに包まれると「もう1年以上ぺぺ・ロメロ ジュニアさんがデザインしている時からプロトタイプを弾いていました。」と続けた。「新しい道具はなんでも一緒だと思うんですが、たとえばテニスのラケットでもゴルフクラブでも、新しいものを手にするとその瞬間はすごく気に入ったりしません? でも本当に自分が気に入るか、自分に合っているかは長い間弾いてみて初めてわかるものだと思うんですね。ST Concertを手にする前はTiny Tenorがすごく好きだったんですね。コンパクトで弾きやすいですし。でもST Concertはさらに弾きやすいと感じます。2インチ短いことでフレットも近くなりますし、弦高も低くなって、毎日3、4時間弾いててもつかれない。飛行機での移動中も弾いてたくらいです。だから、(ウクレレを)始めたばかりの方でもプロの方でも、みなさんにとっていいと思う楽器です。」
▲手工ウクレレのDNAを再現した「The Replica」は4モデル。左からSpruce/Mahogany、Spalted Mango、Premium Koa、Mahogany。
もう一つの新製品「The Replica」は、ぺぺ・ロメロ ジュニアの手工ウクレレの仕様やデザインを、ロメロ・クリエイションズで再現した普及モデル。クラシックギター製作家としての経験をベースに、アヴァロン貝のロゼッタ、パーフリング、GOTOHのプレネタリーチューナーなどを採用した、テナーサイズのウクレレだ。木材はマホガニー、ハワイアンコア、スポルテッドマンゴーにスプルーストップ(サイド・バックはマホガニー)を加えた4種類。
▲ぺぺ・ロメロ ジュニア氏が「The Replica」について「テナーで最高のサウンドを出すことを念頭に開発しました」と紹介。
「The Replica」の特徴を紹介したのは、設計者であるぺぺ・ロメロ ジュニア氏。「The Replicaに関しては持ち運びやすさはあまり気にせず、テナーで最高のサウンドを出すということを念頭に作りました。ウクレレではどうしても作る時に硬くなりすぎるというか、サスティンやトーンが伸びなくなってしまう傾向があるんですね。Replicaの場合は弦を弾くとそのエネルギーが楽器全体を振動させることをコンセプトに作っています。楽器全体が振動しているので深く暖かい音になり、響きもさらに良くなるということなんです。」
▲The Replicaも演奏はダニエル・ホー。The Replica(Premium Koaモデル)ではよりふくよかで暖かみのあるサウンドを聴かせてくれた。
このほか発表会では、ぺぺ・ロメロ ジュニアがサンディエゴの工房で製作する手工製のウクレレおよびギターの国内での取扱を2018年11月1日より開始することも発表された。ぺぺ・ロメロブランドの手工モデルは、ロメロ・クリエイションズブランドの上位に位置づけられ、ウクレレ9機種、クラシックギター2機種をラインナップする。詳細は受注方法とあわせてア後日ナウンスされる。
▲11月より発売となるぺぺ・ロメロブランドの手工モデルはギター2点、ウクレレ2点が展示された。
「私がクラシックギター、ウクレレを作る時に一番大事にしていることは、私自身がすばらしいミュージシャンからインスピレーションをいただいたように、私の楽器で奏でられる音を通じてミュージシャンの方やオーディエンスの方にインスピレーションを与えたいと思って作っております。」とはぺぺ・ロメロ ジュニア氏。続いてダニエル・ホーがその魅力を語った。「このハンドメイド・テナーから私とぺぺ・ロメロさんとの関係が始まりました。このブラジリアン・ローズウッドとスプルーストップの楽器を幸運にも持つことができ、この6年間ほぼすべてこのウクレレで弾いています。6歳でウクレレを始めて人生でさまざまなウクレレを弾いてきましたが、このウクレレはホントにすばらしくてインスピレーションを与えてくれますし、音楽的な面でもサポートしてくれます。ぺぺ・ロメロ シニアさんの曲とかウクレレでは弾けないんじゃないかとそれ以前は思っていたものまで、この楽器だったら弾けるほどすばらしいです。」
▲ハワイ語でハーモニーが流れるという意味の「アウカヒ」というトラディショナルソングをPEPE ROMERO手工モデルの「Series 5 KOA」で演奏。
発表会のラストには、スペシャルゲストとしてぺぺ・ロメロ ジュニアの父であり、クラシックギターの巨匠であるぺぺ・ロメロ シニアが登場。ジュニアが作ったギターとウクレレのデュオを、ダニエル・ホーとともに聴かせてくれた。
▲「アルハンブラの思い出」をぺぺ・ロメロ シニアのギターとダニエル・ホーのウクレレで演奏。
▲最後にもう1曲。「私の父が書いたキューバン・ファンタジーを演奏したいと思います。私の父であるセロドニオ・ロメロが書いた曲を私の息子が作ったギターで弾きます。」とぺぺ・ロメロ シニアがギター・ソロを披露した。
製品情報
仕様:トップ・サイド・バック:マホガニー単板/ネック材:マホガニー/全長:550mm
価格:83,000円(税別)
◆ST Concert Premium Koa
仕様:トップ・サイド・バック:ハワイアンコア単板/ネック材:マホガニー/全長:550mm
価格:103,000円(税別)
◆ST Concert Spalted Mango
仕様:トップ・サイド・バック:スポルテッドマンゴー単板/ネック材:マホガニー/全長:550mm
価格:103,000円(税別)
◆The Replica Mahogany
仕様:トップ・サイド・バック:マホガニー単板/ネック材:マホガニー/全長:655mm
価格:110,000円(税別)
◆The Replica Spruce/Mahogany
仕様:トップ:スプルース単版/サイド・バック:マホガニー単板/ネック材:マホガニー/全長:655mm
価格:110,000円(税別)
◆The Replica Premium Koa
仕様:トップ・サイド・バック:ハワイアンコア単板/ネック材:マホガニー/全長:655mm
価格:150,000円(税別)
◆The Replica Spalted mango
仕様:トップ・サイド・バック:スポルテッドマンゴー単板/ネック材:マホガニー/全長:655mm
価格:150,000円(税別)
この記事の関連情報
【インタビュー】「演奏データを未来へ残す」という、規格外れのヤマハのイノベーション
【コラム】BARKS烏丸哲也の音楽業界裏話033「ライブの真空パック」
【俺の楽器・私の愛機】1689「公立高校への進学を条件に」
Guild、トラベルサイズのアコースティックギター『TRAVELER』が登場
ヤマハ、アコギのフラッグシップモデルにコンサートスタイルが登場
2024年の楽器・作品・プレイヤー」を決定する<楽器店大賞 2024>スタート
島村楽器、ヤマハ電子ピアノ『SCLP-8450』『SCLP-8350』のオリジナルカラーを9/5発売
【俺の楽器・私の愛機】1622「ヴィンテージ」
【俺の楽器・私の愛機】1619「母に借金して買ったレブスター」