【インタビュー】DEZERT、ギターとの確執「音楽的なギタリストは、今、ヴィジュアル系をやらない」
■「これは永遠だ」って千秋くんが
■俺は永遠に付き合いますよ
──3分超えると、客席に近いのは不快でしょうがないんだね(笑)。“人間性が気に入った”と最初に言ってたものの、千秋とMiyakoの性格は真逆ですか?
千秋:真逆です。自分が一番普通だと思ってます。だから、この人と反発することも今まであったんでしょうけど、そうなったら僕は強いんです。絶対に理解してもらおうと思って、言葉の嵐を。
Miyako:だから、全て論破される(笑)。
──論破されるわ、ライブ中にギターを取り上げられることもあるわ、散々な目にあってますね。
千秋:普通は揉めたら“出てくわ!”みたいなことにもなるじゃないですか。そうならないんですよ。ちょっと理解し合おうみたいになって。でもムカついたことはいろいろあったと思いますよ。
Miyako:ありますよ(笑)。ムカつくというよりは、“悔しい”ってときがあった。でも俺は、真逆だからこそ羨ましいんですよね。ストレートに物事を言えることが。MCもけっこうストレートに言うじゃないですか。人間味があって、どんな人にもハッキリと物を言うし、でも意外にいろんなことを気にする。俺にはそういうことができないから羨ましいなって。
──意外にも好かれていた(笑)。
千秋:いや、好きにならないとやっていけないですよ、このバンド。最近、そう思い始めてきた。“メンバーのみんな、俺の言葉を聞いてくれるな”とか、“理解してくれるな”とか。コイツら、悟ってるんですよ。みんなが俺を、グローブをはめてリングに立たせてくれようとしてたんです。でも、立ちたくないと言ってたのが、前までの自分で。だけど、結成して3ヶ月とかのバンドじゃないから、“自分からリングに立って、責任を取らないとあかんな”と。だから、“『TODAY』は、責任を取るからこういう感じでいきたいんだ”って。“俺たちは変わるんだ”っていう。
Miyako:だから千秋くんから言われましたね。「これは永遠だ、永遠に付き合っていくものだ」って。永遠に俺は付き合いますよ。
▲Sacchan (B) |
千秋:今回は全然。もちろん言いたいことやコンセプトは最初に伝えて、“あとは任せる”と。“ドラムはドラムで、ベースはベースで、ギターはギターでやって”と。今回、初めてそういう形でやったかもしれない。
──それはメンバーに対する信頼感ですか?
千秋:いや、ギタリストとしては信頼してない。それこそ、自分自身に対しても信頼していない状態で始まっているから。信頼というより“信用しようとしている”という感覚かな。
Miyako:本当に今回のレコーディングは今までと違って。メンバーでいろいろ話したり、ちゃんとプリプロして、短い時間ではあったけど、毎日のようにみんなで話をしたんです。そして、各自が曲に向き合って責任を持ってそれぞれのパートを録るっていう。
千秋:“聴いて良ければ、いい”ってだけの話ですよ。
──今回、DEZERTサイドから持ち込まれた“ギターとの確執”というトークテーマは、逆説的なものだと捉えてたんですよ。『TODAY』は、これまで以上に表現力の高いギタープレイがそこかしこに散りばめられたアルバムだから。
Miyako:それについては一言、ありがとうございます(笑)。千秋くんが言ってたんです、「今回は曲が一番偉い」って。だったら、どうしたら曲が一番良くなるのかを考えて、いろいろなギターやアンプも使ったし。機材の数は今までで一番使って、本当にたくさんのサウンドで表現した。千秋くんの作るデモは、わりと完成された状態なんですよ。今まではそれをトレースするようにレコーディングする感じだったんですけど、今回は“ここはこういうアレンジ”、“こんな音でいこう”とか、メンバー間で綿密に話し合いながら、曲の細部まで組み立てて。
千秋:今までは“自分が作曲者だ”、“作曲の意図は”とか、いろいろ言っていたんですよ。今回は、“それはもういい”と。デモが上がった段階で、“この曲に対する一番いいアプローチをして”と。ボーカルを入れるときも、“これは俺の作った曲だから好きに歌おう”とは全く思わなかったし。仕上がったアルバムを聴いて、“ちょっと曲に申し訳なかった”というところも、実はいろいろ出てきているし。でも今回は、メンバーに対して細かいことはホントに言ってない。
──結果、音として返ってくるものが、自分が意図した最初の理想と違っても、それを楽しめる余裕が出てきたんですか?
千秋:そうですね、それを楽しんではいないですけど。“何か違う”と思えば、もちろん言いますよ。でも、“オイッ!”という感じではなかった。“ちょっと違うんじゃないか、こっちのほうがいいんじゃない?”って、普通の話し合い。それをしたほうがバンドもいいってことに気づけたんですよ(笑)。今まではデモ音源のほうが好きだったんです。“この曲を一番理解しているのは自分だ”って感じで。でもみんなで考えて作ったほうが楽曲のクオリティは上がるし、初めてデモよりいいものができたなって思いましたよ。
千秋:ギタリストですか? それともMiyakoのことですか?
──両方です。
千秋:相変わらずギタリストは好きじゃないですけどね。速弾きもいいとは思わないし、カッティングは好きだけど別にいいとは思わない。
──そう言いながら千秋はカッティングがうまいですけどね。
千秋:カッティングしかできないんですよ(笑)。でも、うちの曲にはカッティングが少ない。カッティングを打ち出してるわけでもないし。最近はあんまりやってないから、カッティングにキレがなくなってきた(笑)。
──布袋好きのMiyakoとしては、カッティングも十八番でしょ?
Miyako:最近は飲みに行って、酔っ払いながらBOOWYの「BAD FEELING」を弾くっていうことを楽しんでます(笑)。
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