【ライヴレポート】J、恒例誕生日公演で「いちミュージシャンとして、夢を追いかけてきた人間として」

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マイナビBLITZ赤坂にて全国ツアー<J LIVE TOUR 2018 -rise above->のファイナル公演を迎えたJが、翌日8月12日に同会場でFC限定公演<F.C.Pyro.限定 J Birthday LIVE!!!>を開催した。参戦するファンにとって、この夜は特別だ。

◆J 画像

ハンドクラップと歓声の中、ステージに躍り出たJの第一声は「飛ばしていくぜ!!」──両耳に手を当てフロアの声に耳を傾けると笑顔を見せた。オープニングナンバーは「Verity」。一発目から起こるシンガロング、さらに「叫べるか?」と煽り、両者ともに気合いがみなぎる中、「Super High」が投下された。ここは、どこまでもハイになれる空間だ。



「会いたかったぜ! 東京! あいにく今日は誰かさんの誕生日で、この忌まわしい日にようこそ! 今日はとことん行こう! 行けるか!?」──J

“もちろん!”と言わんばかりの頼もしい声がこだまし、放たれたのはドライヴ感たっぷり、重心低めのサウンドとJのボーカルに本能を揺さぶらずにはいられない「Go Charge」だ。ゴッチンこと溝口和紀(G / ex.ヌンチャク)も前に出て右手を振り上げて客席を煽り、太いギターを鳴らすとフロアはモッシュ状態。エネルギーがどんどんチャージされていく感覚を覚える。

「オマエたちの歌だぜ!」──J

そう叫んで投下されたのは「PYROMANIA」。赤一色に染まった照明の中、Jが“退屈すぎる東京、全部燃やせ!”とアジテートし、みんなのライターの火が掲げられるおなじみの光景が広がった。いつもと違うのは数えきれない焔がJの生誕を祝福しているように見えることだ。「赤坂! やっちまえ!」の合図でフロアはクラウドサーフ続出。


「昨日もとんでもなく熱いライヴだったんですけど、今日はそれ以上にすげえライヴにしたいと思ってます。今日は誰かさんの忌まわしき日です(笑)。そして、ここにはファンクラブ“F.C.Pyro.”のメンバーしかいません。仲間しかいないんでね。じゃあ、ツアーでリリースした新曲、プレイしようと思います」──J

演奏されたのは本ツアー中に会場限定販売された新曲「Now And Forever」「Bad Dream」の2曲だった。先日ミュージックビデオも公開された「Now And Forever」はmasasucks (G / the HIATUS、FULLSCRATCH、RADIOTS)のメタリックなギターリフが印象的な熱いロックナンバー。“闇を抜け出す答えは自分の中にある”という力強いメッセージを全力で伝える姿に撃ち抜かれ、ダークなイントロからのAメロや歌い回しが新しいJを感じさせてくれる「Bad Dream」へ。昼と夜、光と影のようなコントラストを感じさせる2曲だが、キーワードは悪夢の向こう側に突き抜けていくことか? どちらの曲にもJの信念と魂が宿っていた。

昂ぶっていく中、有松益男(Dr / BACK DROP BOMB)の力強いドラミングから始まる「NEVER END」で焼けつくような演奏を届け、ほてった熱を冷ますようにステージに青いライトが照らされて「一緒に歌ってくれるかい?」と披露されたのは、Jの歩いてきた果てしない道のりを思わせる孤独と愛に満ちたミドルチューン「I know」。ベースの存在感もあいまって、いつ聴いてもズシッと沁みてくる。




「6月の終わりから全国廻ってきて、途中、天候で岡山と広島、行けなくなっちゃったんだけど、代わりの日も決まったんでね。想いをさらにぶつけに行こうと思ってます」──J

振替公演のことについて触れ、自身がやり続けてきたことをさらに推し進めていくツアーに付けたタイトル<-rise above->について話を続けた。

「来てくれたみんなにそれぞれある目標や夢に少しでもいいから近づいていけるような、そんなエネルギーに満ちた、チャージできるようなツアーになればいいなと思ったんだけど、どう? チャージできた? “私の電池古いから” “俺の電池、充電できないよ”っていう人、若干いませんか? そういうものは全部、今日ここに捨てて帰ってくれ! これだけ仲間がいるんだから、その意味を感じ取って思いきり大暴れしようぜ!」──J

鳴り止まない大歓声に賛辞の言葉を贈り、真夏にピッタリの鮮やかで躍動感あふれるナンバー「RECKLESS」では汗が飛び散るような小気味いいビートで魅了し、開放感に満ちた空間をさらに彩る「Vida Rosa」を投下。瞬く間にライヴは後半戦へと突入し、覚醒へと導く「addiction」ではJがベースを高く掲げ、ライヴを通して月日を重ねていく中、強靭で包容力のあるミドルバラードへと進化していった「NOWHERE」へ。爆音の中、届いてくる歌とメッセージ。その声量とパワーは年齢と反比例しているかのようだ。


「今日、最後の曲に全てを込めます!」──J

そう宣言し、台の上に乗ってミラーボールの光が反射する中で放たれた「Gabriel」は、完全に平常心を失わせるほど激熱なアクト。自身の全てを解き放つかのようなJのボーカルにただただ圧倒された。

そして、みんなが歌う「ハッピーバースデイトゥーユー」とJの名前を呼ぶ絶叫。やがてフロアにはロウソクのように火が揺れ、アンコールに登場したJはその声に嬉しそうに耳を傾け、拍手を送った。


「ホントに今日、どうもありがとう! 毎年、こうやって誕生日を祝ってもらえるっていうのは本当に幸せなヤツだと思います。いくつになったの? 俺?」──J

そう問いかけ、48歳という年齢に「みえない〜!」という声が飛び、照れながら今の心境を伝えた。

「みえないとか、そういう問題じゃなくて(笑)、自分が48歳になるなんてイメージを全然持っていなかったので。自分自身、時間の区切りの中で生きてきてないから……っていうのも変だけど。ものを創ったり、音楽を創ったりするのってゴールがないから、朝まで作業してたり、朝まで飲んでたりとか(笑)。俺にとっては日常的なことなんだけど、…まぁ、だいたい想像がつくか(笑)。そういう時間を過ごしてきてるから年齢に対する自覚みたいなものがあまりない生き物なんだと思います。ただ1年1年、こうやって毎年毎年、みんなと一緒に誕生日を過ごさせてもらって、いちミュージシャンとして夢を追いかけてきた人間として、より責任感が重くなってくるというか。それはプレッシャーでも何でもなくて、やりがいとか自分に課す目標であったりなんだけどね」──J

さらには、「今年は何年? 戌年? じゃあ、今日はオマエら、今から“ワン”しか言っちゃダメだ(笑)」とジョークを飛ばし、全力で「ワン!」と叫ぶフロアに相好を崩す場面もありつつ、誕生日の誓いも。

「年男という節目でもあったりして、自分自身、いろいろ思うところもあります。これからも全力でロックしていきたいと思います。軽い意味じゃなく、本心というか本質にどんどん近づいていけたら俺自身が目指すロックにたどり着くのかなって改めて思ってます。これからもみんなを揺さぶるような曲をガンガン作って最高のライヴをやって、みんなと一緒に素晴らしい時間を刻んでいければなと思ってます」──J


割れんばかりの拍手に続いてメンバーが呼びこまれ、トップバッターの有松益男は乾杯するためにJの大好物のコカコーラ(瓶仕様のビンテージ調コーラ)とプレゼントを持って登場。「これ、開けていいの?」とみんなの前で包みを開けると中身はネイビーのガウンだ。「そろそろ古くなったんじゃないかと思って」と言われ「俺、いつも楽屋でガウン着てるからね」と笑顔。そして、場内の「一気一気!」という声に応えて、なんとステージでコーラを軽々と一気飲みしてみせた。

驚きの中、続いて登場したゴッチンもまさかのコーラを2本持って登場(関係スタッフから当日200本のコーラの差し入れがあったとか)。笑いと歓声が上がる中、信じられないことに再びコーラを飲み干すJ。ふだんコーラを飲まないゴッチンが炭酸で涙目になっていることに余裕でツッコミを入れるが、場内は3人目のメンバーもコーラを持って来るのではないかと想像し、ますますどよめく事態に。Jも「嫌な予感がするな。ライヴ中、例えばだけどリバースした場合ね。奇跡は本当に存在するんだと思ってください(笑)」とまさかの予告まで飛び出した。

いくら好物といえども危うく罰ゲームになりかけるところだったが、masasucksがスタッフと共に運んできたのはバースデーケーキであった。「毎年、恒例の時間がやってまいりました!」とmasasucksが沸かせ、「どういうケーキか見たいよね。携帯持ってきた?」(J)と、しばし撮影タイム。バースディソングが歌われ、ロウソクが吹き消されてmasasucksからのプレゼントは楽屋で履くサンダル(ソロ始動以降、21年も同じサンダルを履いているらしい)。Jの物持ちの良さが判明したところで、いよいよ恒例の手づかみでのケーキぶちまけタイムの始まりだ。



今年はJから注意事項が発せられた。「毎年、俺の誕生日にはケーキが飛びます。ただ若干、心配なことがありまして、今年はいつも見かけるBLITZの支配人の方がいなかったんです。どうも替わっちゃったらしく。だから、怒られるかもしれない(笑)。なので、みなさん帰るときに“すみませんでした!”と一言ずつ言って帰ってください」──J

気を遣いつつ、いざ、投げ始めたらいつも以上に遠くまで派手にケーキの破片が飛んでいったのは気のせいか?「若干、客席の前方と後方との間に温度差を感じるんですけどね。来年はもっと後ろまでも飛ぶような仕掛けをつくろう。キャノン砲みたいに銀テープに紛れて生クリームが飛ぶような(笑)。そういうものを考えてこようと思います(笑)」、結果、全く反省する様子を見せていないJに場内、生クリームにまみれながらも大爆笑。

アンコールでは「Feel Your Blaze」が放たれ、「Endless sky」ではみんなの力強い声が響きわたった。そして2018年も年末恒例のライヴを12月30日と31日に開催することを告げてベースを高く掲げ、笑顔で去っていった。

Jコールは鳴り止まず、再びステージに姿を表して、「今日はどうもありがとう! また年末に会おうぜ!」と再会を約束。大歓声の中、最高で最狂の誕生日ライヴが幕を閉じた。

取材・文◎山本弘子
写真◎RINA ASAHI

■<J LIVE TOUR 2018 -rise above- FINAL>2018年8月11日(土)@マイナビBLITZ赤坂セットリスト

01. Verity
02. Super High
03. Go Charge
04. PYROMANIA
05. Now And Forever
06. Bad Dream
07. NEVER END
08. I know
09. here we go
10. Vida Rosa
11. addiction
12. NOWHERE
13. Feel Your Blaze
encore
en1. Evoke the world
en2. Endless sky

■<F.C.Pyro.限定 J Birthday LIVE!!!>2018年8月12日(日)@マイナビBLITZ赤坂セットリスト

01. Verity
02. Super High
03. Go Charge
04. PYROMANIA
05. Now And Forever
06. Bad Dream
07. NEVER END
08. I know
09. RECKLESS
10. Vida Rosa
11. addiction
12. NOWHERE
13. Gabriel
encore
en1. Feel Your Blaze
en2. Endless sky

■<J 2018 放火魔大暴年会>

12月30日(日) 渋谷TSUTAYA O-EAST
open17:00 / start18:00
▼チケット
前売¥5,300 (税込 / 当日ドリンク代¥600別途)
一般発売日:11月3日 (土・祝)
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999

■<J '18-'19 COUNT DOWN LIVE!!!>

12月31日(月) 新宿BLAZE
open22:00 / start23:00
▼チケット
前売¥5,300 (税込 / 当日ドリンク代¥500別途)
※ファンクラブ会員限定公演のため、一般発売はありません
会員チケット受付:8月13日(月)18:00~9月4日(火)23:59
F.C.Pyro. 03-5759-1488(平日14:00~18:00)
http://fancube.jp/fcpyro/

■<J LIVE TOUR 2018 -RISE ABOVE->振替公演

2019年1月5日(土) 岡山IMAGE ※2018年7月7日より振替
2019年1月6日(日) 広島CAVE-BE ※2018年7月8日より振替
(問)HIGHERSELF 082-545-0082
詳細 http://www.higherself.jp/news/detail.html?id=382



■「Now And Forever」配信情報

▼ダウンロード
iTunes https://itunes.apple.com/jp/album/id1397760221?app=itunes&ls=1
レコチョク http://recochoku.com/a0/j-nowandforever/
▼サブスクリプション
AppleMusic https://itunes.apple.com/jp/album/id1397760221?app=apple&ls=1
Spotify http://open.spotify.com/album/5pWYOM0DSfbdLB36xkuRHT
AWA https://mf.awa.fm/2tAwsxB
LINE MUSIC https://music.line.me/launch?target=album&item=mb0000000001685ad5&cc=JP

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