<JOIN ALIVE>がミュージシャンシップを加速させるワケ
<JOIN ALIVE 2018>は、熱く濃密でひたすら楽しい2日間だったが、同時にいろんな気付きを得ることができた充実のフェス体験でもあった。
初日は好天気、2日目は雨というメリハリ極まる2daysだったけれど、それ以上に振れ幅を感じたのは出演アーティストの個性の強さ。そして同時に感動的だったのは、そのどのアーティストも<JOIN ALIVE>に特別な感情を寄せていた点だ。
日常とはかけ離れた広大な大地に開放感を感じたのか、整備された園内施設を利用しながらも雄大な北海道に根ざしたいわみざわ公園というロケーションが癒やしを与えるのか、多くのアーティストがその気持ちよさをMCで伝え、笑顔と伸びやかなパフォーマンスでそれを示していた。BARKSが設置した「AIR-G’×BARKS JOIN STUDIO」にやってきたアーティストたちも、口々に「<JOIN ALIVE>だけは特別」と、ホームのような心地よさを訴え、自然体で屈託のないフリートークを繰り広げてくれていた。
▲ヤバイTシャツ屋さん@AIR-G’×BARKS JOIN STUDIO
ステージに立つミュージシャンも会場を埋め尽くすオーディエンスたちも、<JOIN ALIVE>に最大限のリスペクトを払い全力で楽しみ、そのハッピーなバイブスが大きなうねりとなって会場を包んでいるようでもある。
どうやら<JOIN ALIVE>は、アーティストが持つピュアなミュージシャンシップを加速させるようで、いつも以上にアーティストの個性がより際立って見えるのも<JOIN ALIVE>が起こすマジックのひとつだ。ステージは大小5つに分かれており、それぞれに個性とカラーがあるけれど、アーティストの個性がそれぞれにブーストして見えるのは、自己解放がスムーズに働いているからなのだろう。それは、自然たっぷりな環境のもとで、新鮮な空気が錆びついてしまった自然回帰のスイッチをONにしてくれるから、なのかもしれない。
そんな<JOIN ALIVE>ゆえに、印象的なシーンにもたくさん出会えた。音出しチェックの時点から、思いっきりエンターテイナーっぷりを垣間見せ、本番前にしっかりと会場を温めてしまったのはOfficial髭男dismだった。リハーサルという場で突発/交差するバランスチェックや音出しをも、気遣いと機転の良さを発揮して、集まったお客さんをぐっと引き込む魔法のツールに変えてしまった。本番への期待を起爆させる導火線へと転化させたのは、ボーカル&ピアノ藤原聡の才であり、一瞬で顕になったエンターテイナーとしての力量は、間もなく始まるライブの大成功が明白であることを示していた。
▲極上のエンターテイメントを見せてくれたOfficial髭男dism。飛行機遅延で「BARKS JOIN STUDIO」出演に間に合わなかったのは残念だったけど、ステージは最高でした。
一方で、FUTURE FLOWERSのステージに立った岸谷香も、レジェンドのような圧を放つ存在感を漂わしていた。もはやトラディショナルでクラシカルとでも言うべきスタンダードなステージングを見せつけ、歌、楽曲、演出、MC…全てのパフォーマンスをもってして、鉄壁のオーセンティックJ-ROCK/POP完成形が構築されている。奇をてらず高潔なミュージシャンシップだけでステージを構成させるとこうなるのだと言わんばかりの貫禄と凄み。今の時代だからこそ、稀有となりつつある気高い輝きは、ステージ上でもとても眩しかった。
そして好対照な存在感を放つのが、ヤバイTシャツ屋さんだ。作詞/作曲にとどまらず、セットリストからステージでのたちふるまい、そしてMC、細かい表情やあおり/セリフも含めて、彼らが織りなすステージング構成力の爆発力と、トータルプロデュースの高さは、まさに新世代のミュージシャン像の鑑にみえた。ヤバイTシャツ屋さんのステージを観て釘付けになっている状態は、まるで激烈に面白い人気YouTuberやTikTokerの動画を観ている感覚と、見事にオーバーラップする。彼らの存在自体がもはや作品なのだということを、<JOIN ALIVE>は明確に描き出していたわけだ。
▲ヤバイTシャツ屋さん@ROSE STAGE
もちろんもっとプリミティブで、閃きが音楽の色彩を決定させるような初期衝動を前面にまとった、例えばReiのパフォーマンスも素敵だった。各ミュージシャンの音色がまるで立体的に絡み合い、目が離せなくなる鮮やかな音空間が目の前に現れる。「観る」のでもなく「聴く」だけでもない、Reiが発する音楽エネルギーを「体感」するのが、MIRACLE LEAFで繰り広げられた極上なるフェス体験というものだ。
北海道岩見沢というロケーションが素敵なのか、それとも主催者の思いとこだわりが強く凝縮されているからなのか…もちろん全てが有機的に絡み合っての<JOIN ALIVE>だろうが、単なるフェス・ライブにあらず、アーティストのコアに触れるような清廉で濃密なパフォーマンスに出会える感動があった。ヘッドライナーやメインステージだけに求心力が偏ることもなく、様々な景色と匂い・色彩が、思い思いのスタイルで楽しめる自由度の広さ、そしてストレスを最小限に抑えるホスピタリティの高さこそが、<JOIN ALIVE>の魅力の一端なのだと確信した。
文:BARKS編集長 烏丸哲也
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