【インタビュー】加藤和樹、AL『Ultra Worker』発表「“やればできる”を証明していきたい」
加藤和樹の自身名義9年ぶりとなるフルアルバム『Ultra Worker』が7月18日にリリースされた。昨年2017年10月に発表したロック色の強いミニアルバム『SPICY BOX』から更に進化し、バラエティ豊かなバンドサウンドが炸裂する今作『Ultra Worker』は、タイトルが示すように“日々頑張っている全ての人”に贈られる1枚だ。加藤自身がリードトラック「HERO」、「Ultra Worker」、「Butterfly」の3曲を作詞しており、シンプルながらリアルな言葉の数々にも注目してほしい。近年は声優としての活動も多く、俳優・声優・音楽のフィールドで目まぐるしい活躍を見せている加藤ならではの豊潤な表現を存分に味わうことができるアルバムと言える。アルバムについて、そして加藤の人生哲学についても迫ったインタビューをお楽しみいただきたい。
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■ 自分なりのエール、メッセージを音楽で届けたい
▲アルバム『Ultra Worker』初回限定盤 |
加藤和樹:リリースイベントなどでファンの方たちと触れ合うと、みなさんそれぞれに生活があるということを改めて感じるんです。日々満員電車に揺られながら会社勤めをしている人もいれば、お母さんとして奮闘している人、「夜勤明けで来ました!」って言ってくれる人もいたりして。そういう忙しい中でも僕のために時間を割いて会いに来てくれるファンの方に向けて、自分なりのエール、メッセージを音楽で届けたいなというところから、今回の作品作りが始まりました。
── 通りで、背中を押してくれる愛も感じられるはずです。しかも、光だけでなく、日々の生活にある影の部分からも目をそらしていないところが、とてもリアルだなと感じました。
加藤:まさに言っていただいた通りで、僕たちが送る日々には光もあれば影もあるし、前向きに進むだけではなく、もしも迷った時には立ち止まって自分を見つめ直す時間も必要なんじゃないかなと思うんですよ。自分自身、長く活動してきた中で立ち止まる瞬間も多々あったし、本当にこのままでいいのかなと葛藤したこともあったし……それこそ、音楽をやめようかなと思った時期もあって。
── そうだったんですか!?
加藤:ありましたね、実は。そういう経験があるからこそ歌えること、伝えられることがあると思うし、このタイミングじゃないと『Ultra Worker』という作品はできなかったと思います。自分で歌詞を書いた曲に関しては、自分の想いや実体験をもとに、今自分が思うことを素直に書けましたから。
── 加藤さんご自身が作詞されたのは、リードトラック「HERO」、「Ultra Worker」、「Butterfly」の3曲。「HERO」では“憧れていたヒーローのようじゃなくても”“想い描いた未来とは違っても”と歌った上で、“誰もが皆 自分の夢を叶えるHERO”とメッセージを届けています。「Ultra Worker」でも、“憧れた未来じゃなくても 今を生きる”と力強く宣言していて、胸が熱くなります。
加藤:「HERO」は、誰もが自分の人生の主人公であることを忘れないでほしいという想いを込めて歌詞を書きました。ひょっとしたら誰かの人生の支えや主人公になっているかもしれないという、希望や可能性がありますからね。僕自身、“ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト”をきっかけにデビューが決まった当時は、明確な目標があったわけではなく、芸能人になってテレビに出られたらいいなというくらいにしか思っていなくて。半年間、役者の仕事をさせてもらったものの、自分がなんのためにこの仕事をしているのかということがわからなくなってしまって、一度芸能界を離れたんですね。そんな中で音楽に出会い、初めてこれこそが自分がやりたいものだ!と突き動かされたからこそ、誰かが変わるきっかけを与えられる存在になりたいとも思うようになって。そうやってアーティスト・加藤和樹としての道が拓けた。歩んでいく中でなにが起こるか、どんなものに出会うかわからないのが人生だと思います。自分が思い描いていた未来ではないとしても、そこを歩んでいくのは自分だし、どう歩んでいくかという生き方を決めるのも、自分自身しかいないですから。
── 大事なのは、どの道を選ぶかではなく、選んだ道でどう歩いていくか、生きていくかということですよね。
加藤:僕自身、本当にそう思うんですよ。過去には自分を見失いそうになる瞬間もあって、いただく仕事をただこなしていくだけという状況になってしまっていた時期もあるんですね。でも、どの仕事をするときも自分が誰よりも楽しむ気持ちを忘れないようにしようと決めてからは、達成感もあるし、日々が充実していって。今となっては、音楽活動、俳優活動、声優活動と、すべての表現に全力で向かうことが楽しくて仕方がないんです。
── そういう加藤さんが書くからこそ、前向きな歌詞に説得力が生まれるのだとすごく納得できました。
加藤:僕の場合、イメージだけで歌詞を書くというのは難しくて。曲を聴いて受けたインスピレーションを大事にしながら、自分の経験に基づいて自分の言葉をシンプルに綴ろうっていう、それが歌詞を書くときの大きなテーマでもあります。「Ultra Worker」にしても、キャリアなんか関係ないじゃん、大事なのは気持ちであって、どれだけ意欲があるかなんだっていうことを、経験ゼロから音楽活動をスタートさせた僕だからこそ伝えられると思うんですよ。
── どうしても、やってみる前から自分で可能性を否定してしまったりもしますが……。
加藤:いや、わかりますよ。僕自身、できないことを避けてきた過去もあって。ダンスなんかは、そんなに得意ではなかったりするんですね。でも、去年くらいから時間があるときにはダンススクールに通って、少しずつですけど楽しくなってきたりしていますから。できなさそうに思うことだってやってみなくちゃわからない。“やればできる”を座右の銘に、それを自分自身が証明していきたいという気持ちもあります。
── “やればできる”、そう思っていたら、本当に人生は豊かになりますね。
加藤:だと思っています、僕は。先日、僕がかつて出演させていただいた舞台『テニスの王子様』の原作者である許斐剛先生のライヴ(<許斐 剛✮パーフェクトLIVE〜一人オールテニプリフェスタ2018〜>)にゲスト出演させていただいたんですけど、最後に許斐先生が「僕は誰よりも挑戦し続けたい」とおっしゃっていて。その挑戦心は本当にすごいなと思ったし、僕も負けていられないな、まだまだいろいろな表現をしていきたいな、とあらためて思ったりもしました。
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