【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>ENTH、「目の前の景色が全然違う」
「(去年と)同じステージだけど、目の前の景色が全然違う。ほんとに(ENTHを)選んでくれてありがとう。かっこいいイベントで必要とされていることを光栄に思います」
◆ENTH画像
ラスト2曲を演奏する前、daipon(Vo, B)が感慨深げに言った、この言葉が今回のENTHのライヴを象徴していたと思う。SATAN STAGEの04 Limited Sazabysとマキシマム ザ ホルモンという強敵と絶妙に時間が重なっていたにもかかわらず、EVIL STAGEは、この1、2年、ライブハウス・シーンでめきめきと頭角を現してきたENTHを観るため集まった観客でいっぱいになった。
<SATANIC CARNIVAL>初参戦となった昨年17年と比べると、それから1年、バンドの状況が確実に変化していることがよくわかる。それは観客の反応にもはっきりと表れていた。
「ヤバい瞬間、一緒に作りましょう! 名古屋ENTH始めます!」──daipon
そんな掛け声とともにメタリックなリフが印象的なメロコア・ナンバー「HANGOVER」を投下。いきなり、ものすごい勢いでダイヴが始まる。いきりたった観客をさらに煽るように「幕張、調子どうですか? 後ろも元気か? 拳を上げろ! やろうぜ!」とdaiponが発破をかけながら、メロディック・パンクと言うには展開にクセがありすぎる曲を連打する。メンバーの気合が宿った爆音もさることながら、それぞれの曲が持つ魅力を際立たせられるようになった演奏からもバンドの成長が感じられる。
「マジで偏差値、ガン下げしていこうね。パンクのお祭りだからね。頭のネジを外して、俺たちに1個ずつくれないか。今日ぐらい俺たちのせいにして、マジでバカやっていいぜ」──daipon
そんな言葉からは、これからのシーンをひっぱっていくのは自分たちだという自信も窺えはしないか。
「来年はあっち(SATAN STAGE)かな。わからないけど、(来年もまた)会えるように今年1年、ぶちかまします!」──daipon
そう宣言すると、ステージの3人はラストスパートをかけるように「TEARS」「ムーンレイカー」の2曲を披露。daiponがバラード風に歌い上げ、そこから一気にテンポアップしていった前者、日本語で歌った後者ともにメロディーの魅力を印象づける、彼らには珍しいストレートな正調メロディック・パンク・ナンバーだが、とりわけ「ムーンレイカー」の起爆力が凄まじかった。
ステージ前のモッシュとダイヴがさらに激しくなったことは言うまでもないが、その熱気はそれまで「今年18年、ブレイク必至か?!」と注目されているENTHの演奏を遠巻きに見ていた観客にも伝わっていった。このクライマックスを楽しむチャンスを逃してたまるかと、そこにいる誰もが拳を振り上げ、シンガロングの声を上げた。
来年こそは。いや、来年のことはまだわからない。しかし、来年、同じステージに立ったとしたら、彼らはこの最後の熱狂を、1曲目から作り出すに違いない。ENTHの今後から目が離せない。さらなる期待を残して、熱演を終えたことには大きな意味がある。
取材・文◎山口智男
撮影◎本田裕二
【ENTH セットリスト】
02.“TH”
03.Crime in my mind
04.URCHIN PHANTOM
05.Get Started Together
06.NO FATE
07.Bong! Cafe' au lait! Acoustic guitar!
08.TEARS
09.ムーンレイカー
■<SATANIC CARNIVAL'18>
6月17日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
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