【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>SCAFULL KING、「最前線じゃないけど、最年長です」
2017年、デビュー20周年を迎えたSCAFULL KINGが<SATANIC CARNIVAL>に初参戦。このライブが彼らにとって2018年の初ライブになるという。世のバンドが周年記念にかこつけ、リリースにイベントにあれこれやっている昨今、いわゆる周年ビジネスにはこれっぽっちも色気を出さないマイペースぶりが逆に頼もしい。彼らは、ただ、このメンバーで集まりたいからやっているだけなのだろう。
◆SCAFULL KING 画像
毎年、必ず1つはあるベテラン枠は、もはや<SATANIC CARNIVAL>の裏ハイライト、もう1つの見どころだ。SCAFULL KINGのメンバーたちもそれを理解しているのか、SYUTA-LOW“TGMX”TAGAMI(ヴォーカル、トランペット)、AKIRATT KURIMOTO(トロンボーン、コーラス)、NARI(サックス、コーラス)ら、ホーン隊の3人がステージをエネルギッシュに動き回り、飛び跳ねながら、スカコア、スカパンク、ホーンが鳴るロック・ナンバーの数々を演奏しながら、曲間のMCでは、「ラウド・シーンの最前線で活躍しているバンドが集まっている中、俺たち、全然、最前線じゃないけど、1つ言えるのは最年長です。どんどん俺たちが弱っていく姿をみてもらってもいいかな?(笑)」(TGMX)と自虐ネタを織り交ぜ、笑いを誘い、観客の気持ちをなごませる。
客席がひと際盛り上がったアイリッシュ風のロック・ナンバー「WHISTLE」で激しいアクションを見せたAKIRATTが、演奏が終わったとたん、足を攣ってステージにひっくりかえると、TGMXがすかさず一言。
「SATANICで足を攣った姿が見られるなんて! (その姿を)映像に抜いてください。ハイライトにしよう(笑)」──TGMX
わかってるぅ~(笑)。いや、もちろん見どころは、それだけじゃない。思いっきり歪みませたKENZI MASUBUCHIのギター、ぶんぶん唸る4106のベース、ドカドカドカと連打するTADAAKI“TDC”FUKUDAのドラム。楽器隊の演奏には多分にハードコアの名残が感じられる一方で、「最新シングルと言っても7年前だけど、「doubt!」からの曲をやります」(TGMX)と演奏した「Searching For」以降の曲がアピールしたポップな魅力は、1曲目から熱狂ぶりを見せたステージ前の観客のみならず、遠巻きにステージを見ていた観客の気持ちも引き寄せていった。
そんな彼らのライブを、ステージ前でモッシュしたり、スペースのあるところでダンスしたり、床に座ってのんびりと眺めたりと、誰もが思い思いに楽しんでいる。ああ、あそこではお父さんと小さな女の子が向かい合って、楽しそうに踊っているじゃないか。親子連れが多いのは、ベテランならではだ。
Hi-STANDARDが日本の文化に広義のパンクを根づかせてからもう何年経った? もはやパンクは、ただ暴れるためだけの音楽に止まらない。そんなシーンの成熟もしっかりと受け止めるには、SCAFULL KINGのようなベテランの存在と、彼らのようなバンドが出演できる枠が欠かせない。
そこにはピースフルかつ自由な空間があった。客席に下りるTGMXの熱演がラストを飾ったアンセム「IRISH FARM」を聴きながら、筆者はそんなことを実感していた。
取材・文◎山口智男
撮影◎Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)
【SCAFULL KING セットリスト】
02.Beetle knows himself
03.THE SOUND WAVE
04.BRIGHTEN UP
05.Searching For
06.NEEDLESS MATTERS
07.SAVE YOU LOVE
08.WHISTLE
09.NO TIME
10.YOU AND I, WALK AND SMILE
11.6 cycles
12.IRISH FARM
■<SATANIC CARNIVAL'18>
6月17日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
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