【ライブレポート】Jin-Machine、Initial’L、Chantyが歩む、三者三様のスタイル

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続いてのInitial’Lは、ヴィジュアル系バンドからロックバンドへと変遷した経歴を持つ。ヴィジュアル系という特殊な世界にいたバンドが、別のシーンでいい変化を遂げることはある意味難しいこと。だがイベント前に行ったインタビューで彼らはそのリスクも充分承知した上で、「やりたいことをより自由にやりたかった」と語る。それゆえに、いま彼らが奏でる音には嘘偽りがない。

ファンのクラップで迎え入れられたメンバーは、「KINGS AND QUEENS」を投下。「こんな世界を愛するために」「こんな時代を愛するために」、と一曲目から彼らの伝えたいメッセージが胸に刺さる。以前彼らが作っていた楽曲とはガラッと雰囲気は変わっているが、確かな演奏力に裏付けされて説得力がある。二曲目「CALLING」、三曲目「Stop my heart」もとても聞きやすいストレートなロックだ。ファンは拳とクラップで音にノリ続ける。ヴィジュアル系バンドを見に来たファンも置き去りにしない、誰の耳にもまっすぐ届く楽曲が、いまのInitial’Lの魅力だろう。


よりスピード感を増す「All I WANTED」ではメンバーそれぞれがステージ前方に身を乗り出して演奏。サトシ(G)も「Everybody,crap hands!」と英語で煽り、フロアのテンションが上がり続けていく。Initial’Lとして始動して約一年半、方向転換した彼らがヴィジュアル系のイベントでどのように自身の魅力を伝えるのだろうか…と思っていたのだが、それは杞憂だった。既に完璧に己の盛り上げ方を確立している。そこからちょっと趣向を変えて、しっとりとした「All I WANTED」も披露。悠希(Vo)の繊細な声が、歌うことの意味を伝えてくれる。ヴィジュアル系という世界にいたからこその、この繊細な表現力。最初からロックバンドだったらこんな音楽性はなかったかもしれない。

MCでは「さっきからステージに100円玉落ちてて、いつ取ろうかと気になってて(笑)」という自由なトーク。こういうところも型にはまらないロックなスタイルか。そこからの終盤戦は盛り上がる曲を畳み掛けるように披露していく。「VISION」では折りたたみヘドバンも起こる。そして最後に「WAKE UP」。絶対に誰でもノレるとてもかっこいい一曲だ。その突き抜けるような爽快感でステージを締めてくれた。ラストに悠希が「この会場ひとりひとりに感謝します!」、サトシが「Thank you,enjoy tonight!」と男らしく叫ぶ姿も、とても気持ちが良かった。Initial’Lが自らの方向性を変えてシーンに再登場したのは、変化ではなく進化なのだと思い知らされた。

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