【ライブレポート】Jin-Machine、Initial’L、Chantyが歩む、三者三様のスタイル

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BARKS主催ライブイベント<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>が、5月23日(水)に渋谷・GARRET udagawaで開催された。

◆ライブ画像(25枚)

普段はインディーズシーンで活躍する若手ヴィジュアル系バンドを5~6バンドほど招いて開催されている本イベントだが、今回は趣向を変えてキャリアのある3バンドに出演してもらった。1バンド40分というたっぷりの持ち時間も含め、各バンドの魅力を目いっぱい楽しむことができるイベントであった。この日の模様を、写真とレポートで振り返ってみる。

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イベントのトッパーを飾ってくれたのはChanty。演奏とともに幕が上がり、ライブは「貴方だけを壊して飾ってみたい」からスタートした。繊細なギターリフのイントロから、言葉が真っ直ぐ伝わる芥の歌声。「縛り付けて」「逃がさない」などちょっと特殊な恋愛を歌った曲だが、ゆったりしたリズムも聴きやすく、すっと耳に馴染む。続いての「フライト」も野中拓(B)が弾くベースのフレーズが面白いのだが、とてもクリアで、2曲通して目の前には朝焼けを見ているときのような清廉な情景が浮かぶ。そこから「インピーダンス」で踊ったあとは、「Chantyの世界へようこそ!」と一言。確かにここまでの3曲で、しっかり自分たちの“世界=音楽性”を魅せつけている。


中盤戦は「繚乱という文字は入り乱れるという意味だからさ、会場全体飲みこんで暴れていこうぜ!」と始まった。イベント主催者としての目線で見れば、イベント名に触れてくれるのは、とても嬉しいことだということも記しておく。ちょっと懐かしいメロディの「冤罪ブルース」では「冤罪冤罪冤罪冤罪」というコールが印象的。感情が高まったのかジャケットを脱ぎ捨てた芥、叫んで5曲目「魔がさした」へ。この2曲は少しの狂気をはらんでいて、前半とは違った世界を作り出す。そこへ投下された6曲目「今夜未明」は、千歳(G)と野中のうねりまくる演奏からサビのまっすぐなドラムのリズム、ブレイクがあったりと緩急が激しく独特なサウンドだ。未明という言葉がさす時間帯のように、どこか不安定で不思議な曲。実にChantyらしい。

終盤に披露された「不機嫌」も面白い。マイナー進行の曲に負の言葉が並ぶのだが、どす暗い嫌な気持ちにならないのはChantyのメロディセンスと、伝わりやすい芥の声の力だと思う。ちなみにChantyは歌詞も面白い。わかるようでわからない、わからないようでわかる、なんとも絶妙な言葉使いで歌詞が綴られているのだ。特にラストの「おとなりさん」は、シンプルな楽曲に歌詞で味付けがされており、言葉選びのセンスが顕著に現れている。芥はこの曲の初めに「いつだって信頼し合っている友達も親も兄弟も恋人も蓋を開けばわからないことばっかり。だけど、それでも寄り添っていれば何かが見えると思ってこんな曲を届けていきたいと思います」と述べていた。40分のステージを通し、美しい楽曲から激しい楽曲までたくさんの姿を見せてくれたChanty。いずれの楽曲も素敵だが、レポートを書くにあたり「Chantyはどんなバンドなのか」と一言で表せないことに気付いた。もっと寄り添っていければ、その答えが見えるのだろうか。もっと知りたい、そう思わせてくれる吸引力が彼らにはあった。

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