【インタビュー】Rani、ソロ2年目の大解剖。「本当の自分を曝け出しています」
2017年にソロデビュー活動を開始したシンガーのRaniが、この春ソロ活動2年目を迎える。音楽に目覚めたティーン期からガールズバンド・Hysteric Lolitaでのキャリアを経て、純粋に己の欲しいものを追い求めていく彼女はこの先何処へと向かっていくのか。今回のインタビューではTV番組『MUSIC B.B.』内レギュラーコーナー「Raniとガヤ飲み。」のエピソードなども交え、ソロアーティスト・Raniの解剖に挑んだ。
◆Rani 画像
■ライブに通ってヘドバンとか転がりとかをしている中で、ステージに立ってそれをさせる側はどんな気持ちなんだろうと思って。
――Raniさんは、どんな環境で育って、いつ頃音楽やロックに目覚めたのでしょう?
Rani:子供の頃の私は、オテンバだったと思います。生傷が絶えないと、よく言われていました。いろんなところから、よく落っこちたりしていたんです。2~3メートルくらいのところから落ちたこともあります(笑)。でも、骨を折ったりしたことはないんですよ。丈夫に育ったという感じですね。それに元々音楽が好きで、小さい頃はコーラスをやったりしていました。その後、中学2年生の頃にヴィジュアル系にハマり、中学校の卒業式の次の日に初めてthe GazettEさんのライブに行き、高校の3年間はひたすらバンギャしていました。ヴィジュアル系が好きで、部活とバイトとバンギャみたいな感じで青春を駆け抜けました(笑)。
the GazettEさんとかのライブにめっちゃ通って、頭おかしいくらいヘドバンして、転がりとか、折り畳みとかをしている中で、ステージに立ってお客さんにそういうことをさせる側はどんな気持ちなんだろうと思って。それでバンドをやりたいと思うようになったんです。家にギターとかがあったんですけど、弦楽器がまぁビックリするくらい弾けなくて(笑)。Fが弾けなくて挫折するという安定のルートを辿り、歌うことが好きだし、むしろ歌しかないのかなと思って。それで、雑誌『KERA』のガールズバンドオーディション企画に応募したところ審査を通って、2014年からHysteric Lolitaで歌うようになりました。
――ヴィジュアル系に目覚めたことが、人生の大きな転機になりましたね。歌うようになった頃に、影響を受けたシンガーなどはいましたか?
Rani:えっ? ……いや、いないと思います。
――ということは、自分でシンガーとしてのスタイルを確立されたんですね。
Rani:いや、そんなものは全く確立できていないですから(笑)。
――そんなことはないです。Raniさんの歌は硬派さと華やかさを併せ持っていて、ハードなサウンドに合うと同時にキャッチーさを失わないところが強みだと思います。
Rani:嬉しいお言葉です(笑)。歌に関しては、本当に誰かの歌い方をマネしてみたり、研究してみたりしたことがなくて。自分が良いなと思うように歌っているだけなんですよ。それに、シンガーとしてはまだまだ成長している途中で、もっとスキルアップしていきたいと思っています。
――真摯に歌と向き合っていることが分かります。Hysteric Lolitaの楽曲はハードなサウンドにキャッチーなメロディーを乗せたものが基本になっていましたが、Hysteric Lolitaの音楽性にはどんなことを感じていましたか?
Rani:音楽性は嫌いではなかったし、最初に歌詞をもらって読んだ時に、好きな方向性だなと思って安心したことを覚えています。Hysteric Lolitaの頃は自分で歌詞を書いたのは1~2曲くらいしかなくて、いつも作家さんが書いてくださったものを歌っていたんです。自分の想いとかを込めた歌詞じゃないから、最初の頃は単なる文章としか思えなくて、そこに気持ちを込めるのが大変でした。ただ、私はバッチバチ中2病で育っていたので、ちょっと特殊な言い回しとかが大好きなんですよね。ちょっと漢字を使ってくる感じとか、烏とかを出してくる感じとか。Hysteric Lolitaはそういう歌詞が多かったし、“生きた血なんて赤い絵の具と同じぐらいの価値”なんて言う曲とかもあったんです。だから、“あっ、良いじゃん”と思った記憶があります。
――ということは、バンドをやるのはHysteric Lolitaが初めてだったわけですが、スムーズに入っていけたんですね?
Rani:いえ、最初はもう苦戦の連続でした。まず、それまでバンドをやったことがないのに、すぐにライブをするからと言われたんですよ。“ええっ?”みたいな(笑)。本当に恥ずかしくて忘れられないのが、2回目くらいのライブの当日リハの時に、PAさんに声を出してくださいと言われて。つまり、歌う時の声量とか声質とかを見るための声だしですよね。だけど、私はその意味が分からなくて、「えっ? なにを喋れば良いの?」とかいって自己紹介をしたんです。フルネームを言って、年齢言って…みたいな(笑)。あれは本当に恥ずかしかった。
――それは仕方ないでしょう。リスナーとしてどれだけ沢山ライブを観ていても、リハの進め方などは分かりませんから。
Rani:そうなんですよ。ライブはめっちゃ観ていたけど、リハの勝手は分からなくて、どうすれば良いんだろうと思って、戸惑いました。他のバンドがどうするかを見ておけば良かったのに、その頃は他のバンドのリハは見なくて良いものだと思っていたんです。だって、リハーサルじゃん…みたいな(笑)。今となっては、本当に怖いもの知らずだったなと思いますけど。それに、最初の頃はステージに立って歌うことも、すごく恥ずかしかったです。
――いきなりデビューというのはラッキーなようで、実は大変なことが多いですよね。そういうところから始まって、いろいろな経験をされたわけですが、Hysteric Lolitaの活動を振り返るとどんなことを感じますか?
Rani:純粋に楽しかったです。今言われたように、本当にいろんな経験をさせてもらうことができたし、あのバンドをやっていなかったらソロでやっているようなスタイルにはならなかったと思うし。Hysteric Lolitaは海外でもライブをしたことがあって、もう貴重過ぎる経験ですよね。Hysteric Lolitaは自分の黒歴史になるんじゃないかと思っていた時期もあったし、上手くいかないなと煮詰まってしまうことも沢山ありましたけど、今振り返ると“マジやってて良かったな”と思います。あの期間がなかったら、歌はもういいですと言ってるような気がするし。本当に、良い時間を過ごせたなと思います。
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