【レポート】『B’z 30th Year Exhibition “SCENES” 1988-2018』の全貌
壁面や天井から吊るされた複数のスクリーンが圧巻の“ビデオエリア”に映し出されているのは、ミュージックビデオやライブ映像。B’zはこれまで50タイトル以上のプロモーションビデオを送り出しており、それら映像作品としてのクオリティの高さは折り紙付き。第4管区海上保安本部所属の巡視船“みずほ”の全面協力のもとに撮影された「OCEAN」や、1974年の封鎖以来、当時35年ぶりに解禁された長崎県の軍艦島にて撮影された「MY LONELY TOWN」はどちらもミュージックビデオ史上初の試みだったとのこと。大空間のスクリーンで映像を浴びるように観ることができる。
そして、一際華やかな“衣装展示エリア1”には1989年から1995年までのステージやミュージックビデオで使用された衣装を展示。現存する500点以上の中から厳選されたという出品物が、当時の写真や映像とともに陳列されて、その変遷を辿るものとなっている。
▲“衣装展示エリア1”_1
▲“衣装展示エリア1”_2
▲“衣装展示エリア1”_3
▲“衣装展示エリア1”_4
▲“衣装展示エリア1”_5
▲“衣装展示エリア1”_6
初のアリーナツアーにして360度開放型ステージとなった<B’z LIVE-GYM Pleasure '92 -TIME->や、今やファンの間では伝説となった<B’z LIVE-GYM 91-92 -IN THE LIFE->時の松本孝弘扮するZ’bの綾小路幹彦スタイル、稲葉が高所タワーから空中ダイビングを行なった伝説の<B’z LIVE-GYM Pleasure’95 -BUZZ !!->をはじめとする衣装の数々がステージの記憶を鮮やかに生々しく蘇らせる。
続く“衣装展示エリア2”との間には、ゴールドの額縁に収められた無数のアーティスト写真やライブ写真が壁面を覆うようにディスプレイされて壮観。その一角に展示されているのが、ド迫力のスケールでファンのド肝を抜いてきたライブステージのデザイン画とミニチュアモデルだ。現存するステージ模型は<B’z LIVE-GYM 2001 -ELEVEN->、<B’z LIVE-GYM The Final Pleasure -IT'S SHOWTIME!!-(2003年)>、<B’z LIVE-GYM 2005 -CIRCLE OF ROCK->の3つ。これは、前例がないものや構造物の一部を輸入する場合、実際のステージのミニチュアモデルを創る必要があるためだとのこと。
▲LIVE & ARTIST PHOTO
▲STAGE MODELING <B’z LIVE-GYM 2001 -ELEVEN->
▲STAGE MODELING <B’z LIVE-GYM The Final Pleasure -IT'S SHOWTIME!!-(2003年)>
▲STAGE IMAGE
ステージ左右上方に巨大なトレーラーが吊されたミニチュアモデルは<B’z LIVE-GYM 2001 -ELEVEN->のもの。そのトレーラーが動いたりするほか、「juice」でトレーラーのウイングサイドパネルから計20,000個ものアルミ缶が流れ落ちるなどの演出が圧巻だった。
<B’z LIVE-GYM The Final Pleasure -IT'S SHOWTIME!!-(2003年)>は当時15周年を迎えたB’zの過去最大規模のステージセット。1993年に同会場(静岡の渚園)で披露されたステージの進化版として設計されたものだ。
なお、同公演での松本孝弘のギター爆破や、<B’z LIVE-GYM 2003 -BIG MACHINE->でのバイクがステージ上を飛び交う演出のデザイン画も展示されている。
“衣装展示エリア2”は前述の“衣装展示エリア1”の続編であり、1996年から2002年までの衣装をディスプレイ。ミュージックビデオやライブステージで使用された衣装を、その映像とともに堪能することができる。
▲“衣装展示エリア2”の全景
▲“衣装展示エリア2”の「1996〜1997」
▲“衣装展示エリア2”の「1998〜1999」
▲“衣装展示エリア2”の「2000〜2001」
▲“衣装展示エリア2”の「2002」
▲“衣装展示エリア2”の「sunglasses & wristband」
1996年から1997年のコーナーでは23rdシングル「Liar! Liar!」のジャケット写真着用衣装やライブ衣装など、1998年から1999年のコーナーでは10thオリジナルアルバム『Brotherhood』をはじめとするジャケット写真着用衣装やライブ衣装など、2000年から2001年のコーナーでは31stシングル「ultra soul」のミュージックビデオ着用衣装やライブ衣装など、2002年のコーナーでは33rdシングル「熱き鼓動の果て」や12thオリジナルアルバム『GREEN』のジャケット写真着用衣装やライブ衣装などを展示。このほか、サングラスやリストバンドがディスプレイされていて、そのどれもが目にも鮮やか。
これらジャケット写真やミュージックビデオで使用された衣装は、楽曲や映像の世界観にふさわしいものがセレクトされていることはもちろん、ライブ衣装は1990年代後半から両氏の趣向を反映させつつ、ステージ上の見え方や動きやすさを考慮して制作されているとのことだ。
展示エリアもいよいよ終盤へ。“松本孝弘エリア”と“稲葉浩志エリア”と題されたコーナーは、それぞれのプライベート感たっぷりのアイテムが並んで、あまりにもレア。
▲“松本孝弘エリア”の全景
▲左は5thシングル「太陽のKomachi Angel」、右は3rdシングル「LADY-GO-ROUND」の直筆譜面。
▲松本自身の解説コメント付きプライベートアイテム。
“松本孝弘エリア”に陳列された直筆譜面は、3rdシングル「LADY-GO-ROUND」や5thシングル「太陽のKomachi Angel」など初期からのものが展示されており、BPM、楽曲構成、コード進行などが記されている。ちなみに、仮タイトルや稲葉浩志へのメッセージと思しき走り書きが、お茶目なものばかりなので(たとえば、“NEW YORKへ行きたいか!? 稲葉!!”などなど)、ぜひとも細部までご覧いただきたい。
ガラスショーケースに収納されていたアイテムも逸品揃い。稲葉浩志からプレゼントされたチョーカー、作曲用に使用していたという“ラジカセ”、B’z初ライブの“バックステージパス”、以前乗っていた“フェラーリの鍵”、<B’z LIVE-GYM Pleasure '93 -JAP THE RIPPER->で着用した“Tシャツ”、DEEP PURPLEやLOUDNESSなど自身で購入した“過去のコンサートチケット”、8thアルバム『LOOSE』のジャケット写真で着用した“サングラス”。そして、グラミー賞を受賞した際に所属オフィスからプレゼントしてもらったという“グラミー記念 アルミ・チタン削り出しギター”は、重さ7kgもある削り出しで、普段は自宅玄関に飾っているものだとのこと。この他にも“オリジナルコースター”や“バゲージタグ”などの私物がプライベートを垣間見ることができたような気分にさせてくれる。
▲“稲葉浩志エリア”の全景
▲左は31thシングル「ultra soul」、右は22thシングル「Calling」の直筆歌詞。
▲稲葉自身の解説コメント付きプライベートアイテム。
一方、“稲葉浩志エリア”に陳列された直筆歌詞は、一度書いた歌詞に斜線を引いて表現を変えた痕跡も見受けられるなど、制作途中と思しきものも。デビュー当時は歌詞を書くことに苦労していたという、今では想像し難い逸話に頷けると同時に、研ぎ澄まされた感性が滲み出るような直筆は一見の価値あり。
ガラスショーケースに収められたプライベートアイテムは、自宅に30冊以上が保管されているという作詞ノートの一部、<B’z LIVE-GYM Pleasure '95 -BUZZ!!->本番前に勝新太郎からプレゼントしてもらったという“テンガロンハット”、1994年の<B’z THE 9TH BLUES -WILD ROAD->のフォトブックにて着用した“Tシャツ”、舞台演出スタッフからのプレゼントだという<B’z LIVE-GYM '96 -Spirit LOOSE->のステージ床を加工して創られたオブジェ、コレクションの中でも2番目くらいに古いという“フェザーチョーカー”、大学の卒業式の“写真”ほか、30周年ならではの貴重な品々がずらりと並んだ。
“松本孝弘エリア”と“稲葉浩志エリア”の中間部に設置されたガラスショーケースに収められた“グラモフォン”(蓄音機型トロフィー)は2011年、松本がラリー・カールトンとの共作「TAKE YOUR PICK」で、第53回グラミー賞 “最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム” 受賞した際に授与されたもの。今回が初公開となる。その台座には、“NATIONAL ACADEMY OF RECORDING ARTS & SCIENCES TAK MATSUMOTO Artist/Producer BEST POP INSTRUMENTAL ALMUM - 2010 TAKE YOUR PICK (With Larry Carlton)”と刻印されている。世界で最も権威の高い“グラミー”での同賞受賞は全ての日本人にとって誇らしいもの。B'z30年の歴史の重さを物語るにふさわしいディスプレイだ。
▲第53回グラミー賞 “最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム” 受賞時のグラモフォン。
なお、これら展示物を松本と稲葉が対談形式で解説するオーディオガイド(音声ガイド端末)も必聴。各エリアにて展示品にまつわる内幕話が音声ガイドを通して届けられる臨場感には新発見も微笑ましいエピソードもあるのでぜひ。“シアター”では『Behind the Scene : The 29th Year』と題して、2017年のB'z29年目を追い、アルバム「DINOSAUR」のレコーディング風景や、<B’z LIVE-GYM 2017-2018 -LIVE DINOSAUR->のバックステージなど、普段目にすることができない映像が上映されている。
『B’z 30th Year Exhibition “SCENES” 1988-2018』のラストは“ストア”。メンバーのシグネチャーモデルを含む30ブランドや企業とコラボレーションした限定グッズをはじめ、CD、DVD、アナログ盤、ポスターなどを販売中だ。タカラトミー『B’z人生ゲーム』や湖池屋『B’z PRIDE POTATO (濃厚のり塩/ULTRA NORISIO)』、カシオ『B’z G-SHOCK』といった話題のアイテムをはじめ、メンバー監修のライダースジャケットやTシャツ、サングラス、オリジナルアルバム全20作品のアナログレコードといった豊富なラインナップが観ているだけでも楽しい。同ストアで販売中のパンフレットには展示物はもちろん、それ以外の貴重アイテムも掲載されているとのことなので、チェックを。
▲“ストア”の全景1
▲“ストア”の全景2
▲“ストア”の全景3
▲『B’z 30th Year Exhibition “SCENES” 1988-2018』ガチャガチャ
▲タカラトミー『B’z人生ゲーム』
▲カシオ『B’z G-SHOCK』
▲湖池屋『B’z PRIDE POTATO (濃厚のり塩/ULTRA NORISIO)』
▲1988年発表のデビューアルバム『B’z』から、2017年発売の最新アルバム『DINOSAUR』まで、全20作品のオリジナルアルバムをアナログレコード化。
▲『B’z 30th Year Exhibition “SCENES” 1988-2018』レコードプレーヤー。
▲Gibson Tak Matsumoto Les Paul&Koshi Inaba Signature Blues Harp
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎土居政則
■『B’z 30th Year Exhibition “SCENES” 1988-2018』
前期(1988-2002):2018年4月01日(日)〜5月06日(日) 有楽町インフォス1F
後期(2003-2018):2018年5月11日(金)〜6月15日(金) 有楽町インフォス1F
開館時間:平日11:00-21:00 / 土・祝日中日10:00-21:00 / 日・祝日10:00-20:00
※休館日:5月7日(月)〜5月10日(木) ただしグッズ販売・シアターは営業
※有楽町インフォス(東京都千代田区丸の内3-8-3)
※日本発売50周年を迎える「人生ゲーム」とコラボレーションをした『B’z人生ゲーム』(株式会社タカラトミー)他、会場販売となるコラボグッズも続々発表
▼入場料金
平日(5/1, 5/2を除く):入場料無料(入場整理券でのご入場となります)
土日祝日(5/1, 5/2含む)
・前売:大人・専門学校・大学生以上 ¥1,500(Goods付) / 中高生 ¥1,200(Goods付)
・当日:大人・専門学校・大学生以上 ¥1,700(Goods付) / 中高生 ¥1,400(Goods付)
※小学生以下は保護者同伴(親族に限る)に限り入場料無料となります。Goodsは付きません。
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「僕達は30年の間、休むことなくレコーディング、ツアーを続けて来たことによって、今居るステージに立っています。そのプロセスで色々な風景を見てきましたし、今尚未だ見ぬ風景を求め、音楽創りを高いレベルで続けていくという意味合いを込めて、今回のエキシビションに“SCENES”と名付け、僕達が歩んで来た30年の軌跡を、1988 - 2018として記しました」──B’z / 松本孝弘・稲葉浩志
■<B’z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI->
7月08日 (日) 沖縄コンベンションセンター
7月14日 (土) 宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ
7月15日 (日) 宮城 セキスイハイムスーパーアリーナ
7月21日 (土) 静岡 エコパアリーナ
7月22日 (日) 静岡 エコパアリーナ
7月28日 (土) 広島グリーンアリーナ
7月29日 (日) 広島グリーンアリーナ
8月04日 (土) 日産スタジアム
8月05日 (日) 日産スタジアム
8月11日 (土) 愛媛県武道館
8月12日 (日) 愛媛県武道館
8月22日 (水) 札幌ドーム
8月28日 (火) 長野ビッグハット
9月01日 (土) 福岡 ヤフオク!ドーム
9月02日 (日) 福岡 ヤフオク!ドーム
9月06日 (木) 豊田スタジアム
9月08日 (土) 豊田スタジアム
9月09日 (日) 豊田スタジアム
9月15日 (土) ヤンマースタジアム長居
9月16日 (日) ヤンマースタジアム長居
9月21日 (金) 味の素スタジアム
9月22日 (土) 味の素スタジアム
(問)http://bz-vermillion.com
■WOWOW×B’z『B’z 30th Year Special Vol.1 1988-2002』
WOWOWライブで放送