corvettes、まるで“生きた化石”といわれるシーラカンスのよう
33年前、あなたは何をしていましたか?もちろん、まだ生まれていないという人もいるでしょう。音楽はレコードで聴き、一人一台持つ携帯電話なんて想像しなかった時代。そんな1985年、corvettesは結成した。そして33年経った今も、同じメンバー松本邦彦(ヴォーカル)、宮川章彦(ギター)、遠藤修弘(ベース)、太田公一(鍵盤)、田口耕郎(ドラム)で活動をしている。静かにずっと生息していた。それは、まるで“生きた化石”といわれるシーラカンスのようだと本人たちは語る。
◆corvettes画像
2018年3月23日、渋谷スターラウンジで行われた<2018 corvettes 10th ALBUM anniversary LIVE>は、2017年夏に行われた幻のレコ発をリベンジするものだ。
19時15分、SEとともにメンバーが登場。1曲目は「rock star」。歌うことを宣言するような曲だ。冒頭から、これからも自身が認めるロックスターたちの姿を胸に、corvettesも歌い続けてゆくという思いが伝わってくる。3曲目の「名もなきBlues」では、コール&レスポンス。“お前が大好き”“みんなが大好き”と直球で会場に集まったファンに声を届ける。
CDが発売できなかった2017年夏の東京キネマ倶楽部での幻のレコ発ライブ後、ユニバーサルミュージックからのメジャーリリースが決まり、3月21日に10枚目のアルバムの発売ができたことを伝える。そしてJRが国鉄だった頃から歌っている5人は、奇跡的に全員が健康体でステージに立ち続けられていることに感謝。そして、20代の頃の曲を。
“青い地球のうえ”という歌詞から始まる「scream」、ヴォーカル松本がブルースハープで参加する「どうして」。
ステージは会場の熱気とライトで熱くなる。50歳を超えても音楽への気持ちは変わらない。90年代の学園祭キングといわれた頃よりも、もっと音楽を近くに感じているようにも思える。そして、残念ながら1曲で100万枚に到達することはできなかったが、何枚か合わせると75万枚(?)はいくということで、90年代の歌を。
水谷豊主演のドラマ『刑事貴族』のオープニングとなった「Danger city」。ドラマ『日曜はダメよ』の主題歌「瞳を僕に近づけて」。華やかだった時代を思い、その後シーラカンスのように生息し、再びステージに立つ今。彼らは未来しか見ていないようだ。
3月21日に発売された10枚目のアルバム『シーラカンスの時代から』を聴くと、良いとき、キツい時を経験したからこそ分かることがあることに改めて気づく。“失敗だらけで きた俺だけど”と歌う代表曲「シーラカンスの時代から」。誰かに言われて謡ったり、踊ったりしているなら今すぐやめろ、と自分の意志で動くことを歌う「今すぐ」、時代が変わっていくこと、それを時代のせいにすることなく、良い意味で自らも変わっていくことを歌う「Lady fire」を続けて披露。
本編ラストは「no name」。ヴォーカルの松本が去り、演奏だけが続く。
アンコールは、本来、冒頭から着るはずだった白いスーツに着替えて登場。実は、衣裳を忘れてきた、というお茶目な一面も。“明日は風まかせ”と歌う「シャバダバ人生」。そして、ラストにもう一度「シーラカンスの時代から」。
33年という時間は、世の中を変えた。インターネット、携帯電話、SNS。情報のスピードは各段に上がり、人とのつながりも増えた。きっと便利な時代になったのだろう。ただ、便利になったことで失ったものもある。33年前に歌い始めた彼らは、その時代を見て感じ、時に時代に合わせ、時に時代に逆らうように生きてきた。5人のメンバーが、これからも同じステージで歌い続けることを祈る。
寄稿:伊藤緑 http://www.midoriito.jp/
2018年3月23日 セットリスト
1.rock star
2.change
3.名もなきBlues
4.scream
5.human
6.どうして
7.crisis world
8.ビジョネール
9. Danger city
10. Dancin'
11.瞳を僕に近づけて
12.シーラカンスの時代から
13.今すぐ
14.Lady fire
15. no name
encore
16.シャバダバ人生
17.シーラカンスの時代から
『シーラカンスの時代から』
NOW ON SALE
POCS-1673 2,500円(税別)
1.Lady fire
2.ダメなオトコ
3.シーラカンスの時代から
4.今すぐ
5.ダイスを燃やせ
6.in my eyes
7.月下美人
◆corvettesオフィシャルサイト