【インタビュー】VALSHE、2018年第一弾作品で「自分と対極にある世界……それが情念だった」
2018年のVALSHEを示唆するダブルAサイドシングル「激情型カフネ/ラピスラズリ」が3月21日にリリースされる。これまでのVALSHEの楽曲では触れることのなかった“愛憎”という感情に踏み込んだ「激情型カフネ」、ピュアな愛情を綴ったミディアムバラード「ラピスラズリ」は対照的ともいっていい愛をテーマにした2曲。VALSHEが思い描いている物語の第一歩となる作品だ。
◆『激情型カフネ/ラピスラズリ』クロスフェード動画
「エンターティナーとしてさらなる進化を遂げていきたい」というVALSHEが同作でみせたヴィジョンとは? そしてシングルに掲げた謎のキャッチコピー“千年あれば、ケリはつく”の意図とは? そのマルチな才能を2018年はフルに発揮してくれそうだ。
◆ ◆ ◆
■そもそも“愛”というテーマが
■VALSHE的にはすごく珍しいんです
──ダブルAサイドシングルとなる「激情型カフネ/ラピスラズリ」には対照的ともいえる2曲の愛の歌が収録されています。まず、「激情型カフネ」は、どんなコンセプトがあって生まれた楽曲ですか?
VALSHE:今回はコンセプトありきではないんです。2018年のVALSHEはどう在りたいかということを考えて、“ひとつの指針となるような楽曲を作ろう”というところから始まったんです。そこで生まれたのが「激情型カフネ」。「ラピスラズリ」も“愛”について歌った楽曲なんですが、対極の部分を描いてみたくて、今回は両A面にしました。
──ちなみに2018年のVALSHEさんが指針とするものとは?
VALSHE:すごく簡潔に言うとエンターティナーとしてのVALSHEをもっと磨いていきたいというか、自分自身が成長していきたいという気持ちです。それがあって、そこに向かうために必要な武器をこの音源で作った感じですね。
──視覚的にも聴覚的にも、もっと楽しませるところに踏み込んでいきたいということでしょうか?
VALSHE:そうですね。現時点ではまだ明かすことができないテーマを含めて、聴いた人たちがもっともっとストーリーに興味を持って引き込まれるようにするためにはどうしたらいいのか、改めて考えた作品です。
▲「激情型カフネ/ラピスラズリ」【カフネ盤】 |
VALSHE:ありました。実は昨年のアルバム『WONDERFUL CURVE』制作時から「絶対、こういうテイストに」って考えていたサウンドなんです。あの時はタイミングが違うということもあってガマンしたんですが、今回、やっと出せる(笑)。ただ、和のテイストを前面に押し出しているわけではなく、デジタルなサウンドの隠し味的要素として取り入れていて。自分自身の装いも着物ではないので、そういうところからも2018年のVALSHEを予想していただければと思います。
──タイトルの“カフネ”は髪を撫でるという意味がありますが、それを表すものとして付けているんですか?
VALSHE:そうです。自分が愛おしく思っていたり、大切にしている相手の髪に指を通す仕草という意味ですね。
──歌詞には情念が感じられるというか、独占欲や情欲が渦巻いていますよね。
VALSHE:その通りで、さっきお話したエンターティナーというところに大きく関わってくるんですけど、そもそも“愛”というテーマがVALSHE的にはすごく珍しいんです。これまではファンタジックな世界観の中に自分自身の心情や想いを投影する制作スタイルが多かったんですが、“どこまでそれを突き詰められるかな?”と思った時に、“自分と対極にある世界とは何だろう?”って。それが今おっしゃっていただいた情念の世界だったんです。
──VALSHEさんの中に無いものという意味ですか?
VALSHE:無いというよりも、体感したことがない、経験したことがない感情ですね。そもそものキッカケは自分がアクターとして、情念を抱いている女性の役に挑戦したことだったんです。男性への想いが募りすぎて恨みつらみに変わっていって、その情念の炎で寺を焼き尽くすという物語だったんですけど、どう演じていいのか全然わからなくて。
──愛おしく思う感情が憎しみへと変わっていく、その変化だったりが?
VALSHE:そういう愛ってわからないなって思って……。探していかないと掴めない人物像やテーマに自分のリアルな感情をどこまで重ねていけるのか、ということに興味を持った……それが「激情型カフネ」を作った原点です。
──“千年あれば、ケリはつく”という今回のシングルに付けられたキャッチコピーは「激情型カフネ」と繋がっているんですか?
VALSHE:はい。「激情型カフネ」の言葉として捉えていただければ。
──うーむ。意味深ですね。
VALSHE:“千年あれば、ケリはつく”ということは千年前に何かあったのかな?と。いろいろな想像ができると思うんですけど、せっかくなのでこの言葉を覚えていただいて次の作品でどうなっていくのか、そこを含めて楽しんでいただけたらと思っています。
──アーティスト写真やジャケット写真も強烈ですが、ファンから反応は返ってきていますか?
VALSHE:「ジャケットの女性は誰だ!?」って(笑)。ミュージックビデオに侍女役として出演している方で、以前、VALSHEファンクラブ限定で行なった音楽劇『歌劇演舞』で共演させていただいたことがあるんです。そういう縁もあって依頼させていただいたので、気づいている人は気づいているんじゃないかな。
──そうなんですね。楽曲とミュージックビデオは同時進行で?
VALSHE:今回は歌詞が完成してから映像の内容を決めていきました。ミュージックビデオはそれはそれでひとつの作品として完結するものにはなっているんですけど、最初にお話したように2018年という年間を通したイメージがあったので、見せ方もいつも以上にじっくりと考えて取り組みましたね。
──着物を着た女性と洋装のVALSHEさんが絡む内容なので時代設定も気になりました。ミュージックビデオの監督にリクエストしたことはありましたか?
VALSHE:今回、重要なモチーフとして掛け軸が出てくるんですが、監督さんとは、“掛け軸”と“着物を着た女性”と“自分”という3つの素材をいかに際立たせて、それ以外のものを削いでいくかについて、ゆっくり話をさせてもらいました。もしかしたら今までの作品の中でストーリー的にはいちばん明快かもしれないですね。“本当はこういう意味なのかな?”って想像する余地があまりないミュージックビデオになっているので、最後まで見ていただけたら、“こういう展開なんだ”ってわかるものになっていると思います。
──VALSHEさんの髪の毛が切られるシーンも出てきますね。
VALSHE:あのシーンは基本的には一発勝負なんですけど、ハサミの切れ味が悪くて、侍女役の女性がシャキーンッて切ったんですけど、切りきれずに途中でブチッと止まってしまって……侍女の顔がひきつってましたね(笑)。3回目でようやくちゃんと切れたんです(笑)。共演相手がいるということがすごく新鮮で撮影中の待ち時間も楽しかったです。
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