【ライブレポート】清春、全国ツアー開幕「特に歌詞を憶えてきてほしい」
2月23日、清春の<KIYOHARU TOUR 天使の詩 2018 『LYRIC IN SCARLET』>が大阪BIGCATで華麗に幕を開けた。
◆清春 画像
2月28日リリースの最新アルバム『夜、カルメンの詩集』に伴うこのツアーは、5月3日の東京・EX THEATER ROPPONGI公演に至るまで、14カ所15公演が予定されている。初日のここ大阪では、清春の歌声を愛してやまないファンが開演前から再会を喜び合い、これから始まる魅惑の旅の始まりに胸を高鳴らせていた。
まだツアーも序盤ゆえ、ここで具体的な曲順等を記すことは控えたいが、印象深かったのは、『夜、カルメンの詩集』という強烈な色彩と香りを放つ最新作に引き寄せられるようにして、これまで築き上げてきたキャリアにおける名曲群が躍動するさまだった。本作に収められた全10曲のうち7曲がすでに近年のライヴでお馴染みとなっているが、これらが更に豊かな味わいを伴って聴こえてくる点は特筆に値する。2017年のプラグレス形式<エレジー>66公演で身につけた強靭さと即興性が、清春という表現者を確実に新たなステージへと導いたことが伝わってきた。
「JUDIE」で華々しく幕を開けたショーは、ツアー初日に陥りがちなぎこちなさとは無縁の“ライヴの神髄”とでも呼びたくなるようなパフォーマンスが次々と展開された。パーカッシヴで情熱的な「赤の永遠」などの『夜、カルメンの詩集』収録曲に陶酔しているうちに、あっという間に時間は経過してゆく。たとえば、「眠れる天使」のめくるめく叙情や「妖艶」でスカーフと戯れる清春のマタドールのごとき美しさが忘れられない。また、冒頭で「我が美学!」と叫び、歌詞の一つひとつを丁寧に観衆に届けるようにして歌った「美学」などは、大阪の夜を彩ったハイライトと言えるだろう。『夜、カルメンの詩集』のなかでも彼が特に気に入っているというこの曲は、「今の“清春さんにはこういう男であってほしい”ということを、森さん(清春の本名)が歌詞にした曲」なのだという。「今回のツアーでは、歌詞を特に憶えてきてほしい」とも清春は語っていたが、こうした曲が、ライヴを重ねるにつれて、ファンとの交わりのなかでどれほど磨かれていくのかにも注目しておきたい。
大いなる安心感と嬉しい意外性。3度のアンコールに応え約3時間に及んだ濃密なライヴは、この上なく幸せな楽曲で幕を閉じた。サウンド面でもヴィジュアル面でも、オーディエンスの想定の範囲を軽やかに超えてくるところが、清春がカリスマと呼ばれるゆえんなのだと思った。このツアーが各地で思いがけない想いを得る旅になることは間違いない。『夜、カルメンの詩集』の粒揃いの楽曲が、どのように深まっていくのかがますます楽しみになるツアー初日だった。
本ツアーの日程を見ればわかるように、今回は、清春が久々に訪れる場所も含まれている。普段とは違った土地で彼のエモーショナルな歌唱に心奪われることも、きっと素晴らしい体験となるだろう。次なるライヴは3月2日の仙台Rensa。アルバム発売後1本目となる本公演は、清春いわく“リリース記念”という趣向なのだそうだ。更に、ベースはsadsのYUTAROが務めることも話題となっている。初日の大阪で披露されることはなかったが、「悲歌」「TWILIGHT」「三日月」といった『夜、カルメンの詩集』の楽曲がツアー中のどのタイミングで登場するのかも心待ちにしたい。
ライヴや歌の本質に気付かせてくれる清春の生きざまは、その場を訪れてみて、より実感できるはず。毎夜ドラマを生む<LYRIC IN SCARLET>ツアー、悔いのないように各地の光景を目に焼き付けたいものだ。さすらい人が紡ぐ愛の物語が始まった。
取材・文◎志村つくね
撮影◎森好弘
アルバム『夜、カルメンの詩集』
【通常盤 (CDのみ)】COCP-40251/¥3000+tax
2018年2月28日発売
▼DISC 1(初回限定盤、通常盤共通) “夜、カルメンの詩集”
01.悲歌
02.赤の永遠
03.夜を、想う(Album ver.)
04.アモーレ
05.シャレード(Album ver.)
06.眠れる天使
07.TWILIGHT
08.三日月
09.美学
10.貴方になって
▼DISC 2(初回限定盤のみ) “夜、カルメンの詩集” poetry reading
01.悲歌
02.赤の永遠
03.夜を、想う
04.アモーレ
05.シャレード
06.眠れる天使
07.TWILIGHT
08.三日月
09.美学
10.貴方になって
11.罪滅ぼし野ばら
▼DISC 3(初回限定盤DVD) “夜、カルメンの詩集” video
赤の永遠/眠れる天使/夜を、想う
■<KIYOHARU TOUR 天使の詩2018『LYRIC IN SCARLET』>
2月24日(土)金沢EIGHT HALL
3月02日(金)仙台Rensa
3月16日(金)KYOTO MUSE
3月17日(土)KYOTO MUSE
3月21日(水・祝)柏PALOOZA
3月24日(土)長野CLUB JUNK BOX
3月31日(土)札幌PENNY LANE24
4月07日(土)青森Quarter
4月08日(日)盛岡Club Change Wave
4月13日(金)名古屋 BOTTOM LINE
4月14日(土)Live House 浜松窓枠
4月28日(土)鹿児島CAPARVO HALL
4月29日(日)長崎DRUM Be-7
5月03日(木・祝)EX THEATER ROPPONGI
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