Soanプロジェクトwith 芥、2018年一発目のワンマンライブ
Soanプロジェクトwith 芥が、2017年に発売した2ndミニアルバム『調律、その脈動に問う』を掲げて2月3日(土)に池袋EDGEで単独公演<調律、その脈動に問う-2018 1st Oneman Live->を開催した。
◆ライブ画像(36枚)
Soan、芥(from Chanty)、K、Shun、Layが出演した本公演は、重厚な音のベールをまとったバラード「濁った瞳」ら幕を開けた。この日が初披露となった同楽曲は、『調律、その脈動に問う』収録の「パラドクス」と対を成す楽曲。始まりこそ儚さをまとっていたが、芥の感情の揺れに合わせ次第に激しさを増してゆく。「この手が、心が…」と、満たされない想いを荒ぶる音に乗せ泣き叫ぶように歌う芥。続く「不確かな箱庭」は、Soanプロジェクトwith 芥の1stミニアルバム『慟哭を鼓動として道とする音』の冒頭を飾った楽曲。同時に「濁った瞳」へ連なる想いを綴っている。つまりこの2曲が、この日の物語の起承転結の「起」を担っていたのだ。身体の奥底から沸き上がる嘆きの感情を、痛く激しく歌声にぶつけることで、芥は己自身の心の開放を求めてゆく。
凄まじい熱をはらんだ「薄紅は舞い散り寂光に消える」が披露され、Shunの豪快なギター演奏、観客たちを煽るように歌う芥によって「隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬」も繰り出される。閉じていた感情の壁を壊す、激情のような演奏だ。その熱を「透過幕」でふたたび深く蒼い世界へ。歪む音の鉛を身にまとい、意識を閉じながら嘆きの海の底へゆっくりと堕ちていく。その感覚が今は、とても痛くて心地好い。そして冒頭を飾った「濁った瞳」に込めた想いと繋ぐように流れたのが、「パラドクス」だ。重厚な弦楽の音色が堕ちてゆく感情へ絡みつく。
一瞬の暗転ののち、重厚で壮麗な世界観を身にまとった「undelete」も届けられる。空高く手を伸ばし歌う芥。その手をつかもうと、場内から付き上がる無数の拳。「undelete」が、ふたたび気持ちを闇の底から浮上させた。激しく咽び泣く想いを、荒ぶる演奏が一気に呑み込んでゆく。たとえこの身体が壊れても今は彼らの導きに身を預け、苦しみさえも明日の糧に変え、ともに光射す場へ浮かび上がりたい…光る景色の中へ気持ちを連れ出すように、「sign…」がそう呼びかけた。
そこへSoanプロジェクトwith 芥は、暴れ狂えとけしかけるように「meteo trive」を叩きつけた。さらに騒ぎ狂いたい感情へ揺さぶりをかけたのが、ダンスロックナンバー「朽ち木の行方」。重量感あふれる音に刺激を受け、跳ねずにいれない。演奏も、開放的だ。「躁狂の踊り子~山紫水明の宴~」では会場中の人たちが手にしたタオルを振り上げ、右へ左へ駆けだす。間奏でShunが披露したギターソロの時には、この日誕生日を迎えた彼に向け、大勢の人たちが熱狂の手の花を咲かせていた。最後はこの日が初披露となる「frowery count」だ。だが初めて披露されたとは思えないほど、会場は熱狂。芥の煽りに導かれ、観客も大きく声を上げて体を揺さぶる。落ちサビでは、芥の歌に合わせ合唱も生まれていた。
アンコール前には、SoanがShunをステージを見渡せる客席後方へ導き、彼のためにバースデーメッセージ動画を上映する場面も。映し出されたのは元DuelJewelのメンバーたちや摩天楼オペラの燿、vistlipの海、Kraの景夕による祝福のコメント。さらに映像から飛びだす形で元DuelJewel、そしてSoanプロジェクトwith手鞠のメンバーとしても活動中の祐弥が舞台に姿を現し、目の前でShunの誕生日を祝うサプライズトークまで。メンバーと観客たちとでバースデーケーキを囲み、祝うする場面もあった。アンコールで披露したのが、DuelJewelの「62」。Shunファンは、まさかの楽曲の登場に大興奮。その熱を倍増するように、演奏は重厚で雅な和ロックナンバー「月欺けば傀儡が笑う」へ。止まることなく煽り続ける、まさにライブに必要不可欠な激情キラーチューンだ。
「ここからまたSoanプロジェクト with 芥の道を紡いでいけることが嬉しく思います。この箱庭という場所でまた逢えるように」という芥の言葉を受け、最後にSoanプロジェクト with 芥は「刹那を駆ける命の一行に」を披露。暖かい音色と歌声が心に染み渡る、優しく包み込むような楽曲だ。芥の歌う「その手に君が映る、この手に君が宿る~さあ繰り出そう また見ぬ場所へと 二人で」の言葉が、強く胸に刻まれた。
なお、2月11日(日)には、新横浜NEW SIDE BEACH!!を舞台にSoanプロジェクトwith手鞠として2ndミニアルバム『旋律、静かな願いと』を軸に据えた単独公演<旋律、静かな願いと-2018 1st Oneman Live->が控えている。
写真◎遠藤真樹
文◎長澤智典
編集◎BARKS
セットリスト
不確かな箱庭
薄紅は舞い散り寂光に消える
隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬
透過幕
パラドクス
undelete
sign…
meteo trive
朽ち木の行方
躁狂の踊り子~山紫水明の宴~
arrive
hysteria show time
frowery count
-Encore-
62(from DuelJewel)
月欺けば傀儡が笑う』(煽りループver.)
刹那を駆ける命の一行に
<Soanプロジェクトwith芥『調律、その脈動に問う-2018 1st Oneman Live-』>
2月15日(木)大阪RUIDO
<Soanプロジェクトwith手鞠『旋律、静かな願いと-2018 1st Oneman Live-』>
3月22日(木)名古屋ell.FITS ALL
3月23日(金)大阪RUIDO
◆Soan オフィシャルブログ
この記事の関連情報
satoshi(ex.DIV、LAPLUS)、手鞠(Soanプロジェクト)との新プロジェクト「if six was nine」始動
【ライブレポート】Soanプロジェクト、2019年初ワンマン
【ライブレポート】<千歌繚乱vol.18>V系インディーズバンドの魅力
BARKS主催V系イベント<千歌繚乱>明日開催。ライブ生配信も実施
【千歌繚乱インタビュー】Soanプロジェクトwith 芥、人生のテーマを音楽で表現
【ライブレポート】Soanプロジェクト、ロリータ服と浴衣姿で一夜限りの<真夏の夜の夢>
Soanプロジェクト、The Benjamin、Moreら出演、<千歌繚乱vol.18>開催決定
【ライブレポート】Soanプロジェクト2周年ワンマン、「静」と「動」2つの姿を提示
Soanプロジェクト、ミニアルバム2作リリース&ワンマンツアー開催