【同世代対談】フルカワユタカ×大木伸夫(ACIDMAN)、「じゃあ、再結成しようよ」
■やっとドーパンをやめた人
■じゃなくなった気がしている──フルカワユタカ
──そこでまたフルカワさんと大木さんがつながったという。
フルカワ:市川さんが言ってたんですよ、「オマエのイベントにACIDMANとか誘ったらどうなの?」って。「誘えるなら誘いたいんですけど、自分がそういう立場にあるかわからない」って言ったら、「そんな細かいこと気にすんな。これはお祭りだし、そこで花火が打ち上がらなかったほうが、よっぽどダメだから。絶対話せば出てくれるから。そういうのを気にしてるのがいちばんダメなんだよ」って言われて。それで大木に電話をかけたら、「出るよ」って言ってもらえて。
大木:これ言っていいのかな……そのときの電話でユタカの声が震えてたんだよね。相当、覚悟を持って連絡してきたんだなっていう。
フルカワ:震えてたか。自分のなかで何かを壊さないとできない電話をしてたんだろうな(笑)。
大木:LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSと対バンをしたとき、イチさんのおかげで、ユタカと会ってない時間が結構埋まって、すごく楽しかったんだよね。イチさんも朝まで一緒に楽しく飲んでくれたし、そうやってイチさんがつないでくれた仲だから、誘ってくれたのは嬉しくてね。でも、電話口でめちゃくちゃ緊張してて(笑)。大きな勝負だったんじゃないかな、今回のイベントを絶対にいいものにするっていう士気が高くて。逆によかったけどね、いつもは気楽に話せるはずのやつが、こんなに覚悟を持って電話をしてきているというのが。
フルカワ:嬉しかったよ。「この場ですぐには決められない」とか「近づいたらまた連絡してよ」とかって普通にあることだと思うけど、「空いてれば出るよ」ってすぐにスケジュール調べてくれて、OKの返事してくれて。
──以前だったら、自分でこういうイベントを主宰することは考えられないですか?
フルカワ:ないですね。ないですし、そういうことをやればやるほどしがらみができて、自分でやりたいことができなくなると思っていたので。音楽に限らず、物を作るというのは、“自分”だろうと。“いろんな人と仲良くなって、影響を受けると濁っちゃうじゃん”とか、“尖ってていいんだよ、丸くしてどうするんだよ”と思ってたんですよね。誰かとやるのは、とてもとても考えてなかったんです。だからこのイベント当日は、禊というと変ですけど、誰かと何かをやることが正しいっていう証明をしたいなと。とってもいいイベントになるはずだし、やっぱり人と何かをやるほうが素晴らしいっていう日にしたいなとは思ってますね。
──ソロで5年、活動キャリアとしては20周年という、ひとつ総括にもなりますからね。
大木:総括であり、次のスタートにしてほしいなと、俺は思っていて。
フルカワ:大木はソロになったことがないから、わからないかもしれないけど、最初、“何がいけないんだ……?”と思ったの。バンドの冠がなくなると、集客もそうだけど、こんなに求めらなくなっていっちゃうんだなって、自分でわかるの。だって、口ロロの村田シゲとか、元serial TV dramaの新井弘毅とか、自分がすげえと思ったやつを連れてライブをしたり、音源を録ってるわけで、すごくなっていると俺は思うんだけど……。
大木:音楽的にはすごくなっているはずだからね。
フルカワ:例えば、そのメンバーでドーパンの曲をやりますっていうのも、“何がバンドと違うんだよ、むしろすごくない?”と思ってるんだよ。でもそこは、今になってわかるんだけど、超えられない。バンドって上手い下手じゃないし、バンドのすごさってそこじゃないんだなって。不思議だよね。
大木:お客さんはバンドの歴史とかストーリーに恋してくれているというか、そこにお金を払ってくれていて。その人たちがやってることを見たいんだよね。
フルカワ:まさにそう。長くやっていけば、今のフルカワユタカバンドにもストーリーができて、それをまた見たいと思ってくれる人も出てくると思う。でも、ドーパンがやってきたことは、短時間では何があってもひっくり返せない。バンドのそういう強さは、ベボベ(Base Ball Bear)のサポートギターとして参加したときにも感じたんだよ。俺のほうが湯浅より上手いとか、湯浅にこのフレーズを教えたのは俺だとかは一切なくて。すごく緊張したし、怖かったしね、湯浅の代わりに弾いていることが。バンドってすげえなっていうのは、ベボベをやったときにすごく思った。そういうのはどうなの?
大木:早い段階から、俺がひとりでやったところでダメだろうとは思ってたから。ACIDMANは作詞作曲とかもひとりでほとんど全部やっているし、ACIDMANの冠を変えても一緒のことはできるけど、みんなは絶対に大木のファンじゃなくて、ACIDMANのファンで。
フルカワ:すごいな、なんでそんなに人間ができてるの。
大木:できてるというよりは、諦めみたいな感じかな。
フルカワ:客観的に見ると、俺よりもひとりでやっているように思うけどね。俺は案外民主的だから……っていうとACIDMANがそうじゃないみたいだけど(笑)。
大木:正解正解(笑)。
フルカワ:ドーパンのふたりはどう思っていたかわからないけど、メンバーには気を遣ってたから、俺。大木はもっと自惚れてもよさそうだけど、なんでそう思えるんだろうな。
大木:全然ないんだよね、そういうの。マイナス思考だからね、もともとが。
──20年バンドをやっていると、ソロワークを始める方も多いですが、大木さんはそういうのもないですしね。
大木:そうですね。20周年を超えるまでは、まったくそんなことは思っていなくて。その20周年までは、ユタカと同じような感覚で、俺だけでやったらもっと……という思いと戦いながら、諦めながらだったけど、今はもうACIDMANはACIDMANだという覚悟ができたから。最近はソロやってもいいなと思ってる。やるとしたらもう、超マニアックなソロワークをやりたいなとは思うんだよね。
フルカワ:アジカンの後藤くんとかホリエくんと近いものがあるよね、バンドよりももっとマニアックなものって。やってもいいと思うよ、バンドのためにもなるらしいしね。俺はバンドをやっているときは、ソロをやろうと思ったことがなかったから。未だに新しいバンドを組もうとも思わないし。やっぱりドーパンだけでしょうっていうのはある。あれだけ自分のなかで、“俺が俺が”って思っていたのに。
大木:じゃあ、当日、DOPING PANDA再結成しようよ(笑)。
フルカワ:ははは。大木はそう言ってくれるんだよね。今回3枚目のソロアルバムを出して、こういうイベントを組めるようになって。自分ではやっとドーパンをやめた人じゃなくなった気がしているんだよ。ずっとどこかで、俺はドーパンをやめたフルカワユタカだっていうのがあったんだけど、この日を境にフルカワユタカになれそうだなと思うんだ。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎野村雄治
■<フルカワユタカ presents「5×20」>
開場13:15 開演14:00
▼出演 フルカワユタカ and many bands & musicians ※50音順・敬称略
ACIDMAN / ART-SCHOOL / Keishi Tanaka / the band apart / FULLSCRATCH / FRONTIER BACKYARD / Base Ball Bear / ホリエアツシ (ストレイテナー, ent) / 夜の本気ダンス / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / ...and special guest
▼チケット
スタンディング 4,800円(税込)
※「スタンディング」「整理番号付」「ドリンク代別途徴収」
※3歳以上要チケット
一般発売:2017年11月25日(土)
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:00~19:00) http://www.diskgarage.com/
【プレイガイド】
・e+ http://eplus.jp/furukawayutaka18/
・ローソンチケット http://l-tike.com/ 0570-084-003 Lコード:72823
・チケットぴあ http://pia.jp/t/ 0570-02-9999 Pコード:346-255
■全国ツアー<フルカワユタカ presents 『yesterday today tomorrow TOUR』>
2018年1月14日(日) 大阪府 Shangri-La
2018年2月11日(日・祝) 静岡県 Shizuoka UMBER
2018年3月17日(土) 岡山県 岡山ペパーランド
2018年3月18日(日) 福岡県 INSA
2018年3月21日(水・祝) 宮城県 enn 3rd
■<yesterday today tomorrow TOUR extra> w/荒井岳史 (the band apart)
2018年2月12日(祝) 鹿児島県 Live HEAVEN
2018年2月18日(日) 福島県 Player’s Cafe
2018年2月25日(日) 北海道 musica hall cafe
2018年3月10日(土) 京都府 SOLE CAFE
2018年3月11日(日) 石川県 もっきりや
■アルバム『Yesterday Today Tomorrow』
2018年1月10日(水)発売
NIW137 3,000円(+税)
01. revelation
02. シューティングゲーム
03. busted
04. 僕はこう語った
05. days goes by
06. デイジー
07. DAMN DAMN
08. nothin' without you
09. バスストップ
10. no boy no cry
プロデュース:TGMX(FRONTIER BACKYARD)
▼ゲストヴォーカル
M1:LOW IQ 01
M5:UCARY & THE VALENTINE
M8:米田貴紀(夜の本気ダンス)
M9:荒井岳史(the band apart)
▼作詞
M7:須藤寿 (髭)
■大木伸夫(ACIDMAN)&NAOTO QUARTET<JALCARD presents ROCKIN’ QUARTET>
2月15日(木) 大阪 Billboard Live OSAKA
2月20日(火) 東京 Billboard Live TOKYO
▼出演
大木伸夫(ACIDMAN)&NAOTO QUARTET
※NAOTO QUARTET(1st Violin:NAOTO、2nd Violin:柳原有弥、Viola:松本有理、Cello:向井航)
■<ACIDMAN LIVE TOUR “Λ(ラムダ)“ 2018.04.01-07.13>
open 17:30 / start 18:30
4月07日(土) 宮城・仙台 Rensa
open 17:30 / start 18:30
4月8日(日) 新潟 LOTS
open 17:30 / start 18:30
4月14日(土) 石川・金沢 EIGHT HALL
open 18:00 / start 18:30
4月15日(日) 愛知・Zepp Nagoya
open 17:30 / start 18:30
4月21日(土) 香川・高松 Olive Hall
open 17:30 / start 18:30
4月22日(日) 大阪・Zepp Osaka Bay Side
open 17:30 / start 18:30
4月28日(土) 福岡・DRUM LOGOS
open 17:30 / start 18:30
4月29日(日) 熊本 B9.V1
open 18:00 / start 18:30
5月06日(日) 高知 CARAVAN SARY
open 18:00 / start 18:30
5月13日(日) 北海道・Zepp Sapporo
open 17:30 / start 18:30
5月19日(土) 広島 Club QUATTRO
open 17:30 / start 18:30
5月20日(日) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
open 17:30 / start 18:30
5月26日(土) 沖縄・桜坂 CENTRAL
open 18:00 / start 18:30
6月02日(土) 宮城・石巻ブルーレジスタンス
open 18:00 / start 18:30
7月13日(金) 東京・日本武道館
open 17:30 / start 18:30
▼チケット
¥4,800-(税込) ※ドリンク代別
※日本武道館公演 ¥5,600-(税込)
※open / start時間は変更になる場合がございます
※6歳以上は有料。指定席がある会場に関してお席が必要な場合は6歳未満も有料となります
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