【インタビュー】rem time rem time、Jun Gray Records第四弾の深遠な味わい「『エピソード』って名のとおり」
現在のロックシーンの第一線で活躍している少なくない数のバンドを輩出した東京の、もうひとつのロックタウン八王子を拠点としている5人組rem time rem time。2015年1月の結成から精力的に活動を続けてきた彼らが満を持して、PIZZA OF DEATH RECORDSのレーベル内レーベルJun Gray Recordsから1stフルアルバム『エピソード』をリリースする。
◆「yellow」ミュージックビデオ
透き通るような表現の中にちゃんと芯もある女性ヴォーカルと、聴けば聴くほど味が出るセンス抜群のバンドサウンド。その組み合わせを“唯一無二”と自負するメンバー達だから、もちろん音楽そのものの魅力で勝負したいと考えているに違いない。だから、なぜ満を持してなのか、その理由は、ここではくどくどと説明しない。しかし、インタビューを読んでいただければ、メンバー達がどんな想いで、アルバムを完成させたかは必ず伝わるはず。それを噛みしめながら、『エピソード』を繰り返し聴いていただければ、そう、味わいはより一層増すことだろう。ついに完成させたアルバムをひっさげ、「2018年は駆け上りたい」と抱負を語るメンバーと、彼らを見守ってきたレーベルプロデューサーJun Grayに話を訊いた。
◆ ◆ ◆
■バンドを立て直す
■2017年は必死に動いていた
──2017年はrem time rem timeにとって、どんな1年でしたか?
初鹿:いろいろ思いついたことを、とにかくやってみようっていう怒涛の1年でした。
鈴木:バンドを立て直すところから始めて、それがようやく落ち着いたところと言うか、本当に1年かけて立て直してきてたんですよ。“思いついたことをやってみよう”っていうのも、バンドを立て直すにはそうすることが必要だったからなんです。
初鹿:2016年にいろいろあったんですけど、2017年9月にシングル「プロローグ」を自主でリリースして、ツアーしたのもバンドが止まっていないってことをアピールしたかったからなんです。そのツアーが11月にファイナルを迎えて、やっと今回のアルバムリリースを発表してっていう。
▲1stフルアルバム『エピソード』 |
鈴木:制作自体は2016年の暮れには、ほぼ終わっていたんですよ。2016年の暮れに結成メンバーの香森快(G)が急死してしまったんですけど、その前から、前のベースが年内中に抜けることが決まっていて。つまり2017年は、メンバーが2人いない状況からのスタートだったんです。そこから、どう立て直すかってことだったんですけど、メンバーがひとり亡くなっているんで、周りもライヴに誘いづらいっていうのもあり、本数も減っていってしまって。それで、まだ活動を続けているってことをアピールしたいと思って、2017年は必死に動いていたって感じなんです。
──ということは、『エピソード』は、もっと早くリリースする予定だったんですか?
Jun Gray:そうです。Jun Gray Recordsから2017年3月にXero Fictionってバンドをリリースしたんですけど、本当は同じタイミングでリリースしようと思って、2016年にレコーディングを進めていて。香森の死はその最中の出来事だったんです。だから、よくここまで立て直してくれたなっていうのはありますね。
──そういうことだったんですね。バンドを立て直すための活動を、今後につなげることが2018年だと思うんですけど、その第一歩が『エピソード』だと。『エピソード』を聴かせてもらって、じわじわと聴き応えのある作品だと思いました。聴けば聴いた回数だけ、いろいろな発見があって、味わい深さも増すような作品になっていると思うのですが、アルバムの話の前に、rem time rem timeというバンドがどんなふうに始まったのか、まず聞かせてください。結成は2015年の1月だそうですね?
鈴木:はっち(初鹿)は前にやっていたAntiQuesというバンドが活動休止してから、ずっと弾き語りのライヴをやっていたんですけど、彼女がバンドをやらないのはもったいないと思って、「バンドやろうぜ」と声を掛けたのがrem time rem timeの始まりです。その時は俺も含め、全員が他にバンドをやっていて、片手間バンドだったんですよ。でも、やるんだったら、エモだったり、激情ハードコアだったりっていう下地の上に、いい歌を乗せるっていうのをやりたいと思って。曲を作り始めたら段々、いいじゃんってなっていって、本格的に活動するようになったんです。
初鹿:最初は亡くなった香森もいたんですよ。
──じゃあ、初鹿さん、鈴木さん、香森さんの共通点がエモや激情ハードコアだった、と?
初鹿:と言うか、元々、専門学校の同級生で。
鈴木:それぞれに好きな音楽は全然違いましたね。俺がもう一個やっていたのが激情ハードコアバンドだったんですよ。だから、そういうバンドを2人に聴かせたり、逆に歌もののバンドを聴かせてもらったりしながら、やるからには今までいないようなバンドをやりたいね。それがおもしろいんじゃないってところから始めたんです。
▲初鹿利佳(Vo, G) |
初鹿:チャットモンチーのコピバンを高校生の時ずっとやっていたんですよ。あとメレンゲとかLOST IN TIMEとか。ASIAN KUNG-FU GENERATIONとかELLEGARDENとか、ストレイテナーとか、そのへんも好きでしたし、ハナレグミとか、クラムボンとか、歌が伸び伸びとしているバンドも好きでしたね。
──前にやっていたバンドもそういう感じだったんですか?
初鹿:もうちょっと静かな感じでした。音数も最後のほうは3ピースだったんで、少な目で。最初は香森も一緒にやっていたんですけど、途中で抜けて3人になって、割と静かめな……何て言うんだろうね?
鈴木:まぁ、歌ものかな(笑)。
初鹿:ですね(笑)。
──鈴木さんは激情ハードコアバンドをやっていたそうですが。
鈴木:ずっとエモとか、激情ハードコアとかが好きで、貸しスペースとかスタジオでやるライヴを中心に活動していました。
──どんなバンドが好きだったんですか?
鈴木:日本のバンドで言うとENVYとか、There is a light that never goes outとかが好きでした。レーベルで言ったら、Dischordとか、俺、Ebullitionってレーベルが一番好きなんですけど、ポストハードコアとかハードコアとかが超好きで、ずっと追っていました。パンクシーンも好きで、高校生の時はSnuffy Smileの企画ライヴに行ったり、自分のバンドのライヴにSnuffy Smileのバンドを呼んだりして、ホント、スタジオライヴをやっているバンドが好きみたいな感じでした(笑)。
──じゃあ、はっちさんと組んだバンドではそれとは違うものをやりたい、と?
鈴木:それも含めてですね。歌ものも好きだったんで、それといい具合に合わさったらいいなと思っていました。
──鈴木さんは歌ものでは、どんなバンドが好きだったんですか?
鈴木:ストレイテナーは一緒にね。
初鹿:コピバンやったりね(笑)。
鈴木:メレンゲも好きですし。
初鹿:きのこ帝国?
鈴木:ああ、きのこ帝国も好きですね。普通にアイドルも好きですし(笑)。
──このジャンルじゃなきゃダメっていうのは……。
鈴木:全然ないです。自分がカッコいいと思うものなら何でも聴きますね。
◆インタビュー(2)へ
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