【インタビュー】鹿乃「ネットの世界に居た私がメジャーシーンに飛び出して行くイメージ」

■「Melodic Aster*」「Linaria Girl」からは、ネットの世界に居た私が
■メジャーシーンに飛び出してみんなに会いに行くというイメージ

──「Linaria Girl」の歌詞は、チョコとか角砂糖とかっていうワードもあってか、すごくガーリーな印象だよね。

鹿乃：そうなんですよ！　最近、【ゆめかわいい】っていうのが女の子の中で流行っていて。そんなイメージの歌詞がいいなって思っていたんです。男の人って、女の子が何を考えているのかよく分からないって言いますよね（笑）。そんな感じを出したかったんです。

──そういう空気感あるよね。「Melodic Aster*」「Linaria Girl」の流れからちょっと雰囲気が変化する感じもあって。

鹿乃：キラキラし始めますよね。そして、「29-Q」ではっちゃける感じというか。何があったんだ！？　みたいな（笑）。「Melodic Aster*」はヒゲドライバーさんが作ってくださったんですけど、この曲は、ネットの中の私とメジャーの私を繋いでくれる1曲というイメージなんです。「day by day」「Daisy Blue」という楽曲は、もともと私がネットの中で歌っていた楽曲に近いものなので、そこから、「Melodic Aster*」「Linaria Girl」という流れに変化していくところは、ネットの世界の中に居た私が、メジャーシーンに飛出して、みんなに会いに行くというイメージなのかなって思っていて、並び的にもそこに置いたんです。そこからだんだんと変化を付けて行くんです。「29-Q」はシングル曲のカップリングなんですけど、パンチのある楽曲を歌いたいと思って、やしきんさんに“電波曲を歌いたい！”ってお願いして作ってもらった1曲です。脳に直接揺さぶりをかける曲を歌いたくて（笑）。元気の押し売りをした感じですね。普段はものすごくテンション低くて、へたしたら一日中一言も発しないこともあるくらいなんですけど、そことは真逆のテンションで歌うので、すごく頑張って歌っているんです（笑）。このタイトルも、ちょっと捻ったんです。読み方は“肉球”です（笑）。



──「29-Q」は、「day by day」のカップリングとして聴いてたときとは、また違ったフックになってくれてるよね。

鹿乃：そうですね。すごいフックになってると思います。落ち着いてきたところに、不意打ちで揺さぶりをかけて、そこからまた違ったトーンに行こうかなと思って。

──そこから「Ivy」に流れていくわけだけど、リード曲にしているということは、今の自分が一番出てる曲でもあるのかな？

鹿乃：そうですね。「Ivy」は作詞作曲をさせてもらっているんですけど、自分がカッコイイと思う楽曲と人が思うカッコイイと思う曲ってどう違うんだろう？　ってすごく研究して、その真ん中を取る感じで作っていきました。

──たしかに、すごく聴きやすさのある1曲でもあるからね。「nameless」からは、ちょっと闇が始まっていくというか。

鹿乃：そうなんです！　そこからちょっと闇深くなっていくんです。闇深くもあり、壮大であり。戦争のアニメのために書き下ろされた楽曲だったので、友達だったかもしれない人と、戦争を通して知り合ったばっかりに敵同士になってしまうという不幸を描いてみました。私の中では、「nameless」「RERE」の流れは、アルストロメリアの中心部分のボツボツした毒々しい部分なのかなって思っているんです。「Haruzion」は、さらに奥の方の部分をイメージしています。どのお花も、奥に行くほど、色が鮮やかになっていって、透明になっていくので。そんなところを描けたらいいなと思って。人間も同じで、本当の心の奥は、みんな綺麗なんじゃないかな？　って思うので、そんなところをお花に例えた感じなんです。「Haruzion」の歌詞は、いままでにやったことのない方法で書いていったんですけど、雪国で起こりそうなお話を自分の中で作り上げて歌詞にしてみました。

──「Iberis Song」は本当にナチュラルだもんね。音色もすごくあったかいし。

鹿乃：この曲が私の一番自然体なのかなって思いますね。いままで、ネットの中で作ってきた音は電子音だったので、生音で歌うという経験がなくて。逆にこういう曲を通ってこなかったんですよね。今回この曲を歌って、“こういうのできたんだな、私”っていう発見が自分の中にもありました。こういう落ち着いた曲は、この先もたくさん歌っていけたらいいなと思いますね。

──すごくいい発見でもあったし、幅が広がりそうだね。「Sharry Baby」は、また違ったライヴ感だよね。一緒に盛り上がれる感じの1曲。

鹿乃：そうなんです。この曲は、花を支えてくれている茎のようなイメージなんです。それは、私にとってのファンのみなさんでもあるので、“支えてくれてありがとう”っていうメッセージを込めた1曲を最後に入れたかったんです。静かに終るより、“また次に会おうね！”っていう感じの曲を最後にしたくて。Sharry Babyの花言葉は、“一緒に躍ろうよ！”なんです。未来への憧れという花言葉がアルバムタイトルなので、未来に行くには、みんなも一緒じゃないと行けないなという想いもあって、この曲を最後に置きました。本当に今回アルバムを作りながら、みんなに向けてという感覚ももちろんあったんですけど、ファンのみんなの言葉に支えられて来たし、育てられたなっていう気持ちが本当に強くあったので、それを大切にしていきたいなと思って作ったのが、「Sharry Baby」だったなって思います。

──素敵だね。ボーナストラックとして収録される「シュガーソングとビターステップ」は、UNISON SQUARE GARDENのカヴァーでもあるけど、すごくセッション感のある、テクニカルな1曲だよね。

鹿乃：そうですね。「シュガーソングとビターステップ」はすごくナチュラルに歌えました。物語を歌うというよりは、本当にシンガーとして向き合えた1曲だったと思います。

──2018年は1月28日に名古屋を皮切りに、ツアーもスタートしますが。最後に、抱負も含め、意気込みを聞いてもいいですか？

鹿乃：はい。いままでは、まだまだ自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど、3回目のツアーとなる今回は、いっぱいいっぱいながらも、みんなと一緒に楽しめるツアーにしたいなと思っています。みんなと一緒に作っていけるライヴにしたいですね。ドレスコードもいいなぁなんて思ったんですけどね。リラックスしてほしいから、みんなにパジャマで来てもらおうかな？　とか（笑）。でも、お花のアルバムなのに、ジャージとかはどうなの？　ってスタッフさんに言われて、まぁ、そうか……と断念したんですけど（笑）。せっかくお花のアルバムを作ったので、カラフルな未来になるような、元気で楽しいライヴを作っていけたらと思っていますので、ぜひ、みなさんの元気を私にください！　2018年もみんなと一緒に素敵な未来を作っていけるように、頑張っていきたいと思います。このアルバムを未来の始まりにして、2018年も“これが鹿乃だ！”って言えるような、鹿乃という軸をしっかりと持って、そこをさらに広げていけるように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。

取材・文●武市尚子


◆インタビュー（１）へ戻る