【インタビュー】上白石萌音、『and...』が生む繋がりの数々「曲が届く度に感動しきりでした」
■こんな私もいたんだなって周りから教えてもらえて、
■新しい私に出会わせてくれたような作品だと思います。
──「きみに」を含め、今作では3曲作詞をされています。前回の取材の時に鼻歌で作った曲をレコーダーで録っているという話をお聞きしましたが、詞も普段から書きためたりとかしているのですか?
上白石:いつか作詞作曲してみたいなという夢があったので、ちょっとずつ書いていました。でも今回は曲先行だったので、一つも役に立たなかったですけど(笑)。
──書きためていた中からのワードみたいなものも使わずに?
上白石:はい。曲にインスパイアされて書いた感じでしたね。曲を流して聴きながら思い浮かんだ景色や単語をA4の紙一枚にぎっしり書き出して、サビから書き始めました。言葉にするとサラサラ書けたように聞こえますけど、途中本当に行き詰まって家の中で膝を抱えていたんですよ。
──「Sunny」とか明るくて軽やかな歌詞なのに(笑)。
上白石:この詞はそんなドン詰まっていた自分に向けて書いたんです。「どっかに逃げ出したい!海に行きたい!」って気持ちで書いたのが「Sunny」です(笑)。
──なるほど。「String」の詞は普段心の中にしまっているご自身の思いだったりするのかな?と思ったのですが。
上白石:そうですね。この曲も最初は全然浮かばなくて、「どうしようどうしよう」って思っていたら、心の奥深くに眠っていたようなものがポロポロ出てきて。軸になっているのは、去年のオリンピックに出た部活の先輩なんですよ。大会前だけたまに陸上部員だったんですけど(笑)、その時に仲良くしてもらっていた上原美幸さんという先輩がオリンピックに出場したんです。その先輩が走っている姿を見て感化された時の気持ちを引っ張り出して書きました。走っている足の動きがずっと頭の中にあって、それと共に自分が吐き出したくても吐き出せなかった思いも一緒に書いていって、書き終わってから「私こんなこと思っていたんだな」って思ったので、なんか不思議な体験でした。私が書いた詞はどれも手紙みたいに誰かに向けて書いているものなんですよね。
▲『and...』ジャケット |
上白石:これは私にとっても一番チャレンジングな曲でした。デモを頂いた時はどうしようって思いましたね。自分の中の少年みたいな所をちょっと引っ張り出してきて歌った感じで、後から聴いた時に「私こんな声でも歌えるんだ」って思いました。難しい曲なので冷静にならないと歌えない曲でもあり、でも入り込んで歌いたいっていう葛藤があったりした曲です。
──他に今回歌ってみて難しかった曲はありましたか?
上白石:「String」ですかね。音域が高くて、でもガツンと行きたい曲だったので、そこはアドレナリンをフルに出して歌いました。自分の中でサビの所にひずみみたいな感じを入れたかったので、そういうのにも挑戦してみた曲です。歌詞で新しい自分が書けたので、歌でも出していこうと思って歌いました。
──曲ごとに歌声が違いますが、歌詞で歌い方が変わったりする人?
上白石:歌詞はセリフのような感じなので、それを口に出すのにふさわしい声っていうのがあると思うんです。それによって自分の声が変わればという思いから、8曲全部違う声の表情が少しでも出ればと思ってレコーディングしました。
──上白石萌音の歌声はこれというのではなく、曲の世界観で聴こえ方を変えたい?
上白石:そうです。自分を通すっていうよりは曲が主体って感覚ですね。それはお芝居にも通じるのかなとも思います。自分じゃなくて役だし、映画は監督のものっていう前提があって、曲も曲が主体で、私ではないっていう思いはどこかにあります。その曲にとって一番いい声で歌うっていう。だからアルバムは色んな歌い方を試して、探りながらレコーディングしました。
──その方法だと歌録りとか大変ではなかったですか?
上白石:録り始めるまでが大変でした。テストで歌ってみて、「ちょっとニュアンスを変えて歌ってみます」って3パターンぐらい試した後にみんなで聴いて、「じゃあこの方向で行きましょう」って決めてからレコーディングしたんです。アニメのアフレコの時に声のトーン決めっていう作業が最初にあったんですけど、「あ、同じことやってる!」って思いました。
──ここまでお話して頂いたように、『and...』は上白石さんの色々な歌声が楽しめるアルバムになっていますが、ご自身ではどんな作品に仕上がったと思っていますか?
上白石:こんな私もいたんだなって周りから教えてもらえて、新しい私に出会わせてくれたような作品だと思います。こういう声も出せたんだとか、こういう歌も歌えたんだっていうことを楽曲提供して頂いた方達から気づかせてもらえた一枚で、録っている時は、それぞれカラーの強い曲だから本当に一枚にまとまるのかなって思っていたんですけど、出来上がったら曲ごとに照明の色がパッて変わるみたいな感じがして、自分のアルバムを聴きたくなるんです。
──自分で歌った曲はあまり聴かない人?
上白石:今までは恥ずかしくてあまり聴きたくなかったんです。でもこのアルバムは聴きたくなるんですよね。そこも大きな進歩だと思います(笑)。それは一緒に作ってくださった方達の楽曲のおかげなんですけど。
──詞や曲も書きためているし、自分で作詞作曲した作品を出すのが夢だと話していらっしゃったので、アルバムが完成したばかりとは言え、次作のリリースも期待してしまうのですが。
上白石:次というか、いつかは自分で曲も作ってみたいです。(周りのスタッフを見ながら)でもどうなるんですかね? 次は全くわからないです(笑)。だから私も楽しみですね。その時はまた生みの苦しみを楽しみます(笑)。
取材・文◎山村哲也
2017年7月12日発売
PCCA-04544 / ¥2,593+税
収録曲
M1. 告白※秦 基博 楽曲提供&プロデュース
(フジテレビ系「めざましテレビ アクア」テーマソング)
M2. Sunny※上白石萌音 作詞
M3. パズル※世武裕子 楽曲提供
(NHK E-テレ TVアニメ「境界のRINNE」第3シリーズ エンディングテーマ)
xM4. きみに ※藤原さくら 楽曲提供&上白石萌音 作詞
M5. カセットテープ ※名嘉 俊(HY) 楽曲提供
M6. String ※上白石萌音 作詞
M7. The Voice of Hope
M8. ストーリーボード ※内澤崇仁(androp) 提供楽曲
[封入特典]
メモリアルチケット
※詳細は上白石萌音 オフィシャルHPをご確認ください。(kamishiraishimone.com)
<コカ・コーラ SUMMER STATION 音楽LIVE>
2017年7月22日(土) OPEN 17:00/START 17:30
SUMMER STATION LIVEアリーナ(六本木ヒルズアリーナ)
入場無料(整理券による優先入場あり)
お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999 (weekday 12:00~18:00)
イベントHP:http://www.tv-asahi.co.jp/summerstation/
<第45回 MBC夏まつり>
日時:2017年7月27日(木) 18:30~21:30
※上白石萌音は27日(木)19時台に出演予定。
会場:MBCグラウンド (鹿児島市与次郎)
イベントHP:http://www.mbc.co.jp/event/natsumatsuri2017/
<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017>
2017年8月5日(土)
会場:国営ひたち海浜公園
開場 8:00/開演 10:30
お問い合わせ:ROCK IN JAPAN FESTIVAL事務局 0180-993-611 (24時間音声対応)
イベントHP:http://rijfes.jp/
<Rakuten GirlsAward 2017 AUTUMN/WINTER>2017年9月16日(土)
会場:幕張メッセ9~11ホール
イベントHP:http://girls-award.com
<Lovefes2017>2017年10月14日(土)・10月15日(日)
会場:長崎県・長崎市水辺の森公園一帯
チケット料金:入場無料
イベントHP:https://www.ktn.co.jp/lovefes2017_pre/
ニッポン放送『上白石萌音 good-night letter』
放送日時: 毎週金曜24:40〜25:00
番組メールアドレス: mone@allnightnippon.co.jp
この記事の関連情報
上白石萌音、最新アルバム『kibi』から、水野良樹による提供曲「まぶしい」が先行配信+MV公開
Uru、新曲「夜が明けるまで」が日本赤十字社 新CMソングに
上白石萌音、新曲「スピカ」のミュージックビデオに夜の映像美
上白石萌音、全国ツアー<『yattokosa』Tour 2023>東京公演を映像作品化
いきものがかりコラボALに幾田りら、伊藤沙莉 × ハンバート ハンバート、梅田サイファーら参加
【ライブレポート】上白石萌音、全国7ヵ所8公演の<『yattokosa』Tour 2023>完遂
上白石萌音、ドラマ『自転しながら公転する』主題歌「Loop」配信リリース
上白石萌音、新曲「ひかりのあと」MVに不思議なストーリー
上白石萌音、1年3か月ぶりの新曲をリリース