【インタビュー】上白石萌音、『and...』が生む繋がりの数々「曲が届く度に感動しきりでした」

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■人前で歌ったら「これは自分の曲なんだな」って感じがして、
■そこで一つ自由になった気がしました。


──藤原さんの名前が出たので、彼女が提供した曲に上白石さんが書いた詞をのせた楽曲「きみに」からアルバム『and...』の話を始めましょうか。

上白石:さくらちゃんとは年末に仲良くなって、二人でご飯に行った時なんかに曲作りの話とかもしていて、私は彼女の曲が大好きだから、いつかは一緒に曲が作れたら楽しそうだなって思っていたんです。そうしたらそのことを言えない私の気持ちをマネージャーさんが代弁してくれたみたいで(笑)。さくらちゃんも快く「はい」って言ってくれて、楽曲提供っていうのは初めてだったらしいんですけど、その後すぐに「ラララ」で歌ったデモを作ってくれたんです。弾き語りで全然色の違う4曲が入っていて、「どれか選んでください」って。

──4曲から選ぶって凄く贅沢な話ですね。

上白石:本当に! 歌詞はデモを聴いてすぐ電話した時にさくらちゃんが、今まで私が歌った曲を聴いたり、私のことを思ったらいっぱい曲が出来たよって凄く嬉しいことを言ってくれたので、今度は私が彼女に向けて書こうと思ってお返事の手紙を書くみたいな感覚でつけたんですけど、本人に向けたものだから、出来上がったものを自分からさくらちゃんに送る時に恥ずかしくなっちゃって(笑)。なので、人づてに経由して歌詞を送ってもらったんですけど、凄くいいって言ってくれたので安心しました。この曲はさくらちゃんがコーラスも歌ってくれていて、二人で一緒の日に録ったんです。

──友達の藤原さんと一緒にレコーディングするというのはどんな感じでした?

上白石:すっごく楽しかったです! さくらちゃんの声が凄く好きなので、その声に私の声が重なる瞬間とかは鳥肌ものでした。それぞれで歌ってから合わせたんですけど、さくらちゃんが歌う時は私がディレクターみたいに卓に座って「いいよー」とか、お互いに「OK頂きました」って指示し合ったりして(笑)。普段二人でお喋りしている時の延長線上みたいに自然な感じで出来ましたし、それが大切な友達に送る曲になったから、幸せな時間だったなって思いますね。さくらちゃんとはいつか生でセッションしたいです。

──藤原さんとの出会いもそうですが、『and...』というタイトルは音楽での繋がりという意味を込めてご自身でつけられたと聞きましたが。

上白石:これまでの色々なご縁がここに再び集結して手を差し伸べて支えてくださったアルバムで、そういう方達と一緒に作ったという面もあるし、私と聴いてくださる方達を新しく繋げてくれる作品でもあるなって思ったので『and...』ってつけました。「...」という所はこれからっていう広がりの意味を持たせかったので。

──制作に入る前のミーティングで、こんなアルバムが作れたらいいなという考えとかはありました?

上白石:こういう曲をお願いしますというのではなく、大好きで尊敬信頼する方々が作ってくださった曲に寄り添って全力で歌って出来上がったものが完成で、だからいろんなものが詰まったアルバムになるんだと思っていましたね。前作でバラードのイメージがあったと思うのですが、多保さんの「Sunny」(ステップを踏むような明るいナンバー)は、そうじゃない私にも気づいて下さって、「そういう曲が来ましたか」って嬉しい気持ちになったり、曲が届く度に感動しきりでした。

▲『and...』ジャケット

──作家陣それぞれが思う上白石さん像の違いというのが曲ごとに出ていますよね。

上白石:面白いですよね。自分を外側から見ている感じがしました。秦さんや、河野さん、内澤さんの曲は今までの私にちょっと違うグルーヴ感が加わったものだし、さくらちゃんは「こういう萌音が私は見たいよ」っていうのを書いてくれたそうなんです。

──そんなアルバムの中から先日イベントで秦 基博さんが作られた「告白」を歌われたそうですが。

上白石:大阪城ホールで初めて歌わせて頂いたんですけど、気持ちよかったです。広がりとストーリーのある曲なので、歌っていると情景が浮かぶんですよ。それを大阪城ホールっていう大きな空間で歌って、包まれている感じがありました。

──今まではカバー曲でのライブだったので、オリジナルを歌ったのはそれが初めてですよね?

上白石:そうなんです。全然違いましたね。カバーは私の名前で歌っているとはいえ歌わせて頂いている気持ちがあるんです。オリジナルは、人前で歌ったら「あぁ自分で好きなように歌っていいんだな」「これは自分の曲なんだな」って感じがしたので、そこで一つ自由になった気がしました。

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