【詳細レポート】J、20周年記念ツアー最終日「ロックな人生を一緒に」
Jが6月25日、東京EX THEATER ROPPONGIにてソロデビュー20周年記念全国ツアー<J 20th Anniversary Live Tour 2017 W.U.M.F.>のファイナル公演を行なった。先ごろ公開した速報レポートに続いて、詳細レポートをお届けしたい。
◆J 画像
とんでもなく熱いライヴだった。アニバーサリーライヴというと、これまでの集大成的イメージがあるが、この日のJのライヴは、これまでサポートしてきたファンへの感謝を込めつつ、未来の扉を開けるJの意志を強く強く感じさせるものだった。
場内が暗転し、Jが右手を掲げてステージに登場すると大歓声。「飛ばしていくぜ!」と叫び、場内に火をつけた一発目は衝動を呼び覚ますナンバー「break」だ。オーディエンスのテンションも高いが、J自身、高揚しているのが演奏とヴォーカルから伝わってくる。最後の歌詞“止まらない”を何度もシャウトし、パワフルなビートを叩き出すドラムの有松益男 (BACK DROP BOMB)のほうを向いて呼吸を合わせてのエンディング。“カッコ良すぎる”と思った瞬間、痛快なリフで加速させる「BURN OUT」が投下された。ちょうど20年前のこの日、6月25日にJのソロデビューシングルとしてリリースされたナンバーだが、驚くぐらい全く色褪せていない。爆音にも関わらず、みんなの叫ぶ声が会場に響き渡った。
「5月から始まったツアー、全国各地かなりやばくて、かなり熱いライヴばかりでした! ファイナル!東京! オマエら、わかってんだろうな?」──J
大歓声で応えるオーディエンスに「まったくわかってねーな。俺がいいって言うまで叫べよ!!」とさらに煽るJが20年前のナンバーを経て次に演奏したのは、何とベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.』に収録されている新曲「one reason」だった。メンバーの呼吸がひとつになる強靭なバンドアンサンブルと突き抜けて響くJの強力なヴォーカル。走り続けてきた理由、これからも走っていく理由が歌われたこの曲でも、オーディエンスの歌う声が響き渡り、間髪入れずイントロのギターサウンドから完全に持っていかれる爽快なロックンロール「RECKLESS」が投下された。この日のライヴの半端ない熱のせいか、いつも以上に破壊的なパンクスピリッツで駆け抜けていく演奏が快感だ。
「すげえな!東京! ここから見る景色はとんでもなく美しいです。なんか20周年って普通もっと落ち着いてね(笑)? ま、そう言っておきながら、そんなこと全く思ってない俺がいるんですけど。さすが東京! 悪そうなヤツがいっぱいいるな! 今夜、とことん悪いことしようぜ!」──J
やばいムードが支配するシャッフルナンバー「GO with the Devil」では触れたら火傷しそうなヴォーカルと演奏で魅了。Jが台の上に昇り、イントロで十字を切った「Die for you」では、masasucks(the HIATUS、FULLSCRATCH、RADIOTS)も前に出てギターを弾きまくり、フロアはクラウドサーフ続出だ。もはやこの興奮状態は誰にも止めることはできない。「一緒に歌ってくれるかい?」と語りかけたミドルチューン「I know」の胸を焦がすような歌と音も今のJを象徴していた。アッパーな曲からテンポを落としても、その熱量は全く途切れることがない。シンプルなアプローチだからこそ、ひとつひとつの音に魂が込もっているかが問われる曲が、Jが20年間、ブレることなくロックの持つエナジーを追求してきた証のように響いてきた。
「あっという間の20年。だけど、とんでもない熱量の時間、とんでもない刺激的な時間を過ごしてこられました。それもみんなのおかげだと思います。ホントにどうもありがとう。そんな時間の中で、いろんな曲を書いて、いろんなアルバムを作ってきましたが、ツアーではあまりやらなかった曲もあってね。この曲もそうかな。よかったら聴いてください」──J
暗く落とされた照明の中、届けられたのは夜のしじまの中、祈りを捧げるようなナンバー「When You Sleep」だった。その音世界に浸るフロアをさらに引き込むように鳴らされたのは内に秘めた熱がボディブローのようにじわじわと効いてくる「ACROSS THE NIGHT」だ。“壊れたのなら また最初から 創り始めればいいさ”というフレーズが突き刺さってくる。
Jがみんなの絶叫に耳を傾け、「野郎はいるか?」と問いかけて返ってきた野太い声に「かよわい女の子たちを助けてやってくれ。ケガ人出すなよ」と伝え、「野郎みたいな女の子はいるか?」と叫ぶと、これまたタフな声に「じゃあ、かよわい男の子たちを助けてやってくれ」と苦笑い。そしてライヴは「Go Charge」から怒涛の後半戦に突入。「東京! 全部燃やせ!」と叫んだ「PYROMANIA」ではステージが燃えるような赤に染まり、フロアにはいつものように数え切れないライターの炎が灯されて力強い歌声が響きわたった。
「LIE- LIE -LIE」で事件は起こった。ベースをかき鳴らしながら「とことん行こうぜ!」と煽りまくり、「この会場でいちばん頭のおかしいヤツは誰だ!?」とJが叫ぶ。無数の手が挙がるフロアを嬉しそうに見ながら、自分の頭を指差して台の上に昇ってベースを下ろしたと思ったら、次の瞬間いきなりフロアに勢いよくダイヴしたのだ。もちろん場内はパニック状態。そもそも近年のJがダイヴすることは滅多になかったことに加え、誰も予測できないタイミングで飛び込んだものだから、これにはオーディエンスも、いちばんイカれたベーシストに「やられた!」と歓喜したに違いない。ステージに戻ったJが飽和状態の熱をクールダウンさせるようにアドリブで“さあ、早く向こう側に急げ”と語り口調で歌ったのも鳥肌モノだった。
本編ラストナンバーは「Evoke the world」。光が降り注ぐような壮大でタフなサウンド、夢は終わらないと歌うメッセージはJとファンを繋ぐ誓いの曲。解き放たれた空気が場内を包み、熱が醒めやらない中、Jは高くベースを掲げてベースにキスをし、ステージを去った。
あまりに熱いライヴにしばし放心状態になっているフロアから徐々にアンコールの声が上がった。Jは白いTシャツに着替え、珍しく饒舌に想いを伝えた。
「全国各地の熱を、今日、ここに運んできたつもりです。20年間、あっという間の時間だったけれど、とんでもなく濃密な時間を過ごせたと思います。今回のツアーは20周年を記念したツアーだと謳ってますが、全国各地に20年間のお礼を伝えに行くツアーだったとも思います。みんなに心から感謝します。ホントにどうもありがとう! '97年には、「いちベーシストがソロを始めるなんて、大丈夫か?」って。そんなところから始まったけれど、自分の信じた想いや情熱。俺が楽器を持つ前のロックに触れた頃の想いに忠実に始めたソロで、いろんなシーンでいろんなことと戦ってきて、いろんなものとぶつかってきて、俺なりの20年間を突っ走ってこられた。それは、俺にはとっても熱い仲間たちがいてくれたからだと思います。だからこそ全力で走れたし、だからこそ向かっていけたし、先を見せられたと思います。言葉にすると安っぽくなっちゃうんだけど、感謝という気持ちしかありません。ホントにどうもありがとう」──J
この20年が自分だけではなく、みんなにとっても刺激的で熱い年月であり、一緒に走り続けてきたことを讃えたJは、だからこそ次に向かわなければならない場所、立たなければいけない場所があると伝えた。
「ここから先は未開の地です。30周年とか50周年とか100周年とか(笑)? 冗談はさておいて、音楽っていうのはそれぐらい遠くまで飛ぶエネルギーを持ってます。これからもみんなの心に届く曲、もっともっと先の未来まで届くような曲をみんなに届けたいと思ってます。みんなホントにどうもありがとう!! そして、これからもロックな人生を一緒に歩んでいこうぜ!」──J
何度も感謝の言葉を叫ぶように伝えた後はメンバー紹介。Jのビートを強力にサポートする有松益男、溝口和紀(ex.ヌンチャク)、masasucksが紹介され、言葉よりギターで情熱を語る男ゴッチンこと溝口はシャウト。masasucksは20周年を迎えたJに「上からですが」と前置きして「20周年は新たなスタートと思って、これからも男らしく突っ走ってくれればいいかなと、こういうふうに思います」とメッセージを送り、Jを「Mr.Wake Up! Mother Fucker!」と紹介した。
アンコールではスリリングで痛快なロックンロール「Verity」に続いて、拳が上がる中、みんなが飛び跳ねる光景が壮観だった「Feel Your Blaze」を投下。ゴッチンがギターを高く掲げ、Jが何度もシャウトするエンディングも興奮を高め、ラストは「この曲でみんなで高みに昇っていきたいと思います。あの空のように」と告げたスケール感たっぷりのナンバー「Endless sky」だった。
「また8月にみんなで大暴れしようぜ!」とステージを去ったJだが、アンコールの声は鳴り止まず、ダブルアンコールが実現。最後の最後に演奏された曲は、20周年を迎え、すでに次の景色に向かって走り出しているJにふさわしい超クールで熱いナンバー「NEVER END」だった。これからもJのロックは鳴り止まない。
取材・文◎山本弘子
■全国ツアー<J 20th Anniversary Live Tour 2017 W.U.M.F.>
6月25日@東京EX THEATER ROPPONGIセットリスト
01. break
02. BURN OUT
03. one reason
04. RECKLESS
05. GO with the Devil
06. Die for you
07. I Know
08. When You Sleep
09. ACROSS THE NIGHT
10. Go Charge
11. PYROMANIA
12. LIE-LIE-LIE
13. Evoke the world
encore
en1. Verity
en2. Feel Your Blaze
en3. Endless sky
W Encore
en4.NEVER END
■<J 20th Anniversary Live 2017 W.U.M.F -Special 3 Nights->
OPEN 18:00 / START 19:00
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
2017年8月12日(土) 赤坂BLITZ [FC限定公演]
OPEN 17:00 / START 18:00
(問)F.C.Pyro. 03-5759-1488(平日14:00~18:00)
2017年8月13日(日) 赤坂BLITZ
OPEN 17:00 / START 18:00
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
▼チケット
前売¥5,300(税込/ドリンク代別)
一般発売日:2017年6月24日(土)~
※8月12日はファンクラブ限定公演のため一般発売はありません
■『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.』
【2CD】TCD-20062~3 3,800円+消費税
【2CD+DVD (MUSIC VIDEO)】CTCD-20058~9/B 6,000円+消費税
【2CD+Blu-ray (MUSIC VIDEO)】CTCD-20060~1/B 6,000円+消費税
【スペシャルBOXセット(2CD+DVD+BAND SCORE+PHOTO BOOK)※初回生産限定盤】CTZD-20054~5/B 12,000円+消費税
【スペシャルBOXセット(2CD+Blu-ray+BAND SCORE+PHOTO BOOK)※初回生産限定盤】CTZD-20056~7/B 12,000円+消費税
【F.C.Pyro.×mu-moスペシャルBOXセット(2CD+DVD+BAND SCORE+PHOTO BOOK)※初回生産限定盤】CTC1-20064~5/ B 12,000円+消費税
【F.C.Pyro.×mu-moスペシャルBOXセット(2CD+Blu-ray+BAND SCORE+PHOTO BOOK)※初回生産限定盤】CTC1-20066~7/ B 12,000円+消費税
※“F.C.Pyro.×mu-moスペシャルBOXセット”は、スペシャルBOXセットにシリアルナンバープレートが装着されたFC会員限定仕様
<DISC-1>
01. BURN OUT (2011 Mix Version)
02. PYROMANIA (2011 Mix Version)
03. Die for you (2011 Mix Version)
04. Feel Your Blaze (2011 Mix Version)
05. Sixteen (2017 New Vocal Version)
06. GO with the Devil (2017 New Vocal Version)
07. break
08. Evoke the world (2017 New Vocal Version)
09. Go Charge
10. RECKLESS
11. addiction
12. Vida Rosa
13. here we go
14. If you can see me
15. NEVER END
16. one reason ※新曲
<DISC-2>
01. ACROSS THE NIGHT (2017 Re-Recording Version)
02. Heaven (2017 New Vocal Version)
03. Graceful days (2017 New Vocal Version)
04. Tomorrow (2017 New Vocal Version)
05. NOWHERE (2011 Mix Version)
06. When You Sleep
07. Blank
08. Mirage #9
09. walk along -Infinite mix-
10. ray of light
11. white
12. baby baby
13. Endless sky
14. Everything
15. I know
<DVD / Blu-ray>
※新曲+全MUSIC VIDEO作品収録
01. BURN OUT
02. BUT YOU SAID I'M USELESS
03. alone
04. go crazy
05. Feel Your Blaze
06. Go with the Devil
07. NOWHERE
08. GET READY
09. break
10. Fly Away
11. TWISTER
12. walk along -Infinite mix-
13. RECKLESS
14. SALVAGE
15. I DON'T KNOW
16. Vida Rosa
17. BURN OUT -2011 ver.-
18. here we go
19. NEVER END
20. I know
21. one reason ※新曲
<BAND SCORE>
※リクエスト投票で各カテゴリー1位となった12曲と新曲「one reason」の計13曲収録
01. ACROSS THE NIGHT (2017 Re-Recording Version)
02. Die for you
03. Graceful days
04. Go with the Devil
05. NOWHERE
06. Evoke the world
07. Mirage #9
08. addiction
09. Vida Rosa
10. Endless sky
11. NEVER END
12. I know
13. one reason ※新曲
<PHOTO BOOK>
※最新撮り下ろし写真に加え、デビューから20年の歴史を彩ったアーティスト写真やライブ写真を未公開ショットも交えてパッケージしたフルカラー写真集
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