【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞GARLICBOYS、「カーニバルでっせ」

12年以来、PIZZA OF DEATHに所属しながら＜SATANIC CARNIVAL＞に一度も出演しないまま、活動休止してしまった大阪の4人組、GARLICBOYSが今年4月、2年4か月ぶりに復活を遂げ、満を持してSATANIC CARNIVALのステージに立つことに。

◆GARLICBOYS画像

出囃子が少年隊の「仮面舞踏会」という時点で、すでに只者ではないことがわかるが、85年結成の伝説のバンドにふさわしい幅広い年齢層のファンが彼らを歓迎した。そんなファンの中には、バンドとともに歳を重ねてきたベテランもいれば、彼らをリスペクトするバンドから遡った若いファンもいるにちがいない。いずれによ、彼らが熱心なGARLICBOYSのシンパであることは、「カーニバルでっせ」というPETA（Vo）の挨拶からなだれ込んだ1曲目の「電撃セラピー」で、「伝説の！ ハイ！」という呼びかけに応え、いきなりシンガロングが起こったことからも窺えた。



「う○こー！」「デスメタルやで、地獄に落とすぞ」などとPETAが言いながら矢継ぎ早に演奏したのは、11年にPIZZA OF DEATHからリリースした『再録ベスト』からの9曲。そんな名曲の数々が物語るのは、80年代の日本のハードコア・シーンがいかに何にも縛られず、自由だったかということだ。結成から32年。生き残った数少ないバンドの一つである彼らは現在のシーンにおいて、真の意味でユニークな存在であることを、改めてアピールした。

中には激しいスクリームやデス声のグロウルを交え、敢えてハードコアのスタンダードを追求したようにも思える曲もあったが、そういう曲でさえ、GARLIC節なんて言ってみたい独特の節回しとPETAの朗々とした歌唱、そして諧謔と風刺が入り混じる歌詞が一つになると（そのへんは曲のタイトルから、ぜひ想像されたし）、彼らにしかできない曲になる。30分間、ダイヴが止まらなかった根強い人気はそこにも理由があるのだろう。

「どうだろう？（この）感じ大丈夫ですか？」と観客に尋ねたLARRY（G＆Vo）は、客席から返ってきた「イエー！」という声を聞き、「じゃあ、こんな感じでやらせてもらいます」とメタリックなリフを弾き始め、バンドは「泣き虫デスマッチ」「失恋モッシュ」というヒロイックなメタル・ナンバーを2曲立て続けに披露。観客が「Oh oh oh」とシンガロングした後者ではPETAに促され、観客が手を左右に振るという、まさかGARLICBOYSのライヴで見られるとは思っていなかった光景がEVIL STAGEに広がった。





ラストは怒涛のハードコア・ナンバー「あんた飛ばしすぎ」。ここで悔いを残してたまるかとばかりにステージにどどどどっと押し寄せる観客に対して、止めを刺すように渾身の演奏をぶつけ、GARLICBOYSはダメ押しでバンドの復活を印象づけた。

「おおきに」

そう言いながらステージを降りたメンバー達の顔もとても満足しているように見えたのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎本田裕二