【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞マキシマム ザ ホルモン、「テトリスの長い棒をそことここに」

ライヴが始まる前からフロアは満員電車状態。歓声や怒号も勝手に飛び交う有り様。そんなカオスの原因はこのバンドにあった。マキシマム ザ ホルモンである。

◆マキシマム ザ ホルモン 画像

開演前から腹ペコ諸君を引き込みながら、ようやくステージに現れたマキシマム ザ ホルモン。第一発目のバンド・サウンドが豪快に轟くと、腹ペコ諸君も一気に覚醒された。その様子は、目の前にごちそうを出された餓鬼の群れのように見えた。





曲に突入すれば、ボーッ！と凄まじきシャウトを決めながら、ヘドバンというより上半身の激しい前屈を繰り返すダイスケはん。裸足でビョンビョン飛び跳ねながらファンキーなベース・リフを刻む上ちゃん。そして出産や子育てを経験してより一層、ロックゴッデスのオーラを放つナヲ。キックの重みやドラミングの説得力は、人生経験の豊かさも物語っている。また、シェイプアップしていい男に変貌したマキシマムザ亮君は、これまで以上にキレのあるリフで攻める。マキシマム ザ ホルモンの曲と音は、腹ペコどもを次々にぶっ生き返らせ続ける。

「この景色、待ってたよ。この空気感とステージ袖。こんなに友達いたっけか!?っていう」とナヲが言えば、ダイスケはんは「こんなに袖に人がいるの初めて見た。さっき、桜えび、一人一匹ずつあげたかいあった」とかぶせる。この絶妙なやり取りもマキシマム ザ ホルモンらしいところ。



ここからおなじみの挨拶“三度のメシよりメシが好き！”を抜群の一体感で決め、曲を連発させていくマキシマム ザ ホルモン。誰よりもライヴするのを待っていたのはメンバーのほうだ。恐ろしいほどのパワーとエネルギーでバンド・サウンドを放出しながらも、ついつい自然に笑顔もこぼれる。ダイスケはんは「ばかでかいライヴハウスみたいになってるやんけ。しかもギッシリやん、テトリスの長い棒をそことここに突っ込めば、すぐなくなるぐらいに」と嬉しそう。

しかしである。活動休止期間に歳も取ったメンバー。「おじさん、おばさんになって、話が少々長くなります」とダイスケはん。ナヲが「大丈夫、さっきKenさんが7分押したから。じゃあ私が休止期間中にクリスタル・ケイとして活動していた話でもしちゃおうかな」と、歳取って図々しさにも磨きが掛かったか!?　ともかく久しぶりのフェスだから、話したいことも言いたいことも溜まりに溜まっている様子だ。一度、話し始めたら終わることがない。


とはいえ持ち時間に限りはある。恋のおまじない“麺カタこってり！”で約2年ぶりに反り返って、ラスト・ナンバーへ。ナヲの娘の幼稚園時代のママ友をも煽って、楽しくも激しく攻め立て続ける。「よっしゃー、また遊ぼうぜ。マキシマム ザ ホルモンでした！」と全開の笑顔を見せる4人だった。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎浜野カズシ