【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞SAND、「いいことは一つも言わねえぞ！」

SANDのような筋金入りのハードコア・バンドの激アツのパフォーマンスを、大型フェスティバルならではのデカいステージで見られるところも＜SATANIC CARNIVAL＞の大きな見どころだ。SANDは99年の結成以来、世界を股に掛け、活躍しているベテランだが、もしかしたらこの日、初めて彼らのライヴを見たというパンク・キッズもいたかもしれない。

◆SAND画像

そのSANDはいきなり「いいことは一つも言わねえぞ！」（MAKOTO／Vo）と、一つになることが盛り上がっていると思われがちな昨今のロック・フェスの在り方にいきなり牙を剥き、1曲目にやる「Too Late」のタイトルを叫んだあと、「（そんなに一つになりたきゃ、曲を）知ってるふりしろ！」と言い放った。

30分1本勝負で彼らが求めたのは、バンドと観客の本気のぶつかりあいだ。3曲目の「Smile」で客席に降りたMAKOTOはこの日、幾度となくステージから降りると、最前列の観客とぶつかりあい、バンドの本気を見せつけた。その熱演に最後までEVIL STAGEに残った観客は腕や足を振り回したり、サークルピットを作ったり、ツーステップを踏んだり、クラウドサーフィンしたりしながら応え、密度の濃い盛り上がりを作り上げた。




中盤の「Vanilla Shake」「Treatment」の2曲ではMAKOTOの「イカれた友達」ラッパーのANARCHYが客演。「ANARCHYとSANDにつきあってくれる元気な奴ら、どれだけいる？」と客席を煽りながら、ステージに動きを加えた。その直後、「一緒に歌ってくれ！」と叫んで、再び客席に飛び降りたMAKOTOはもみくちゃにされながらハードコアにアレンジしたジョン・デンバーの「Country Road」を歌ったのだが、ステージに戻ると、「マイクを取り戻そうとして力を使い果たした」と思わずニヤリ。




その笑みにはきっと観客に対する「おまえらやるじゃねえか」という気持ちが込められていたに違いない。ラスト1曲。最後の力を振り絞って、バンドが放った「Pierrot」を、観客が全身で受け止めたとき、本気でぶつかり合ったもの同士だけが感じることができる本物の一体感が生まれていた。

取材・文◎山口智男
撮影◎上山陽介