【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞ENTH、「全然やりたりねえ！」

この1、2年、数々の大型フェスティバルに出演してきたENTHが満を持して、＜SATANIC CARNIVAL＞に初参戦！ 名古屋次世代メロディック・パンク・シーンの大本命だという。多くのパンク・キッズが彼らに注目していることは、ステージにSEが流れはじめると、多くのキッズがステージに押し寄せてきたことからも明らかだった。

◆ENTH画像

「ヤバい1日にしようぜ！ 名古屋代表、ENTH始めます。バカやろうぜ！」──daipon

daipon（Vo＆B）の雄叫びから演奏になだれこむ。そこからが凄かった。曲の切れ目がはっきりとわからない怒涛の勢いでたたみかけた曲の数々は、80年代のハードコアや90年代のメロディック・パンクが彼らのバックボーンと思わせ、そこにハードロック／メタル、スカパンク、ラップの要素が入り混じるユニークなものばかりだった。どうやら、メロディック・パンクは、彼らの一面に過ぎないようだ。

ある意味カオティックとも言える、そんな演奏を見守っている観客に対して、daiponは「拳を挙げろ！」「楽しみたい奴は手を挙げろ！」「声を聞かせて！」と声を掛けながら巧みに巻き込んでいった。



「回りたきゃ回れ！」の呼びかけにステージ前にサークルピットが出現。その光景を見たdaiponは満足そうに「憧れのステージに立つことができました」と感謝を語ると、「バンドを始める前に見にいってたバンドがいっぱい出ているから（緊張で）どうなるかと思ったけど、一個もビビることなく、自分達の全部を出していくから全部受け取ってよ！」と自らに気合を入れるように後半戦にかける想いを言葉にした。

そして、アーバンかつファンキーなソウル・ミュージックとブルース・ロックが入り混じるグルーヴィーな「Voo-Doo Shangrila」で、さらに幅広いバックグラウンドをアピールしたあとは、ラストスパートをかけるように正調メロディック・パンクの「ムーンレイカー」「Get Started Together」の2曲をたたみかけ、ダメ押しでフロアを盛り上げた。





途中、daiponは「全然やりたりねえ！」と言ったが、フロアでキッズが大暴れしている光景を見るかぎり、彼らは間違いなく、daipon、Naoki（G＆Cho）、takumi（Dr＆Cho）の3人がそれぞれに大暴れするその怒涛の勢いによって爪痕を残していった。それを思えば、来年なのか再来年なのか、「全然やりたりねえ！」という思いを果たせる日は近い将来、必ず来る。

取材・文◎山口智男
撮影◎上山陽介