【インタビュー】Tetsu [D’ERLANGER]、「もう一度あの場所で」

■替えの利かないバンドだってことを
■より強く自覚できてることが大きい

──そこで改めて聞きたいんですが、D’ERLANGERは何故、かつて終わったのでしょう？　事実関係云々ではなく、感覚的なところで答えて欲しいんですが。

Tetsu：うーん。いろんな人たちの気持ちに対する考えというのがまるでなかった、というのが理由のひとつじゃないかな。自分のことしか考えてなかった。それはD’ERLANGERに限らず、その後やってきたバンドでも少なからずあったと思う。それに対して今は、人の気持ちになって考えられるようになったというか。だからこそ、こうして続いてるんじゃないかな。人のことを、思いやれるようになった。それは年齢を重ねてきたからでもあるだろうけども。あとはやっぱり、替えの利かないバンドだってことをより強く自覚できてるということが大きいんじゃないかな。だって今、D’ERLANGERで誰かが辞めて、代わりに他の誰かが入るなんてのは考えられないじゃないですか。そんなことがあったら、入った人のほうも大変だろうと思うけど（笑）。ホントにね、自分が辞めて他のドラマーが叩いてるD’ERLANGERなんて想像できないし、誰かが辞めて他の誰かを迎えて続けていくことも考えられない。

▲8thアルバム『J’aime La Vie』

──実はあるバンドのドラマーがこんなことを言っていました。自分が体力的に叩けなくなったら、その時には若いドラマーを迎えてバンドを続けて欲しい、と。自分がいなくなることよりも、バンドがなくなることが嫌だから、と。

Tetsu：ああ、なるほどね。それもわかる。ただね……たとえばこの前、JOURNEYの来日公演をWOWOWで見たんだけども、今は昔ずっと叩いてたスティーヴ・スミスが戻ってるじゃない？　前任者もすごかったけども、あれを見て、やっぱりJOURNEYにはこの人だよな、と思った。AEROSMITHだって、ドラマーが違ったらAEROSMITHじゃないと思う。ただ、そう思うのと同時に、体力の問題というのも当然すごくわかる。だけど、いつかよぼよぼになった自分の代わりに若いのが叩いてるのを見たら、俺は安心するどころかイライラしちゃいそうだね（笑）。やっぱり俺はみんなのことを替えの利かない存在だと思ってるし、自分自身もそう思われていて欲しい。結局そこが、バンドかバンドじゃないかを分けることになるんじゃないのかな。俺はそう思っちゃうんだよね。GUNS N’ ROSESだって、マット・ソーラムのほうが安定感はあるだろうけど、スティーヴン・アドラーのある種のポンコツ具合が魅力でもあったわけで。今のは、褒め言葉だからね（笑）。ポンコツでカッコいいってのはすごく難しいし、そうあってこそロックンロール、という部分もあるはずだし。「Paradise City」とかをクリック聴きながら超正確に叩かれてもグッとこないじゃないですか。まあそこは趣味の問題でもあるし、あくまでこれは個人の解釈だけども。

──ええ。そんな替えの利かない存在同士で成り立っているバンドだからこそ、変な言い方ですけど“終わるまでずっと続く”というか。

Tetsu：うん。だから、いちばん危なっかしそうでいて、いちばん持続しちゃうかもしれない。そういうバンドかもしれないですよ、D’ERLANGERって。

──というわけで、この先に“薔薇色の世界”が広がっていることを願っています。

Tetsu：まあここで“薔薇色のマネージャー”みたいなのが現れてくれたらいいなあ、と思うこともあるんだけどもね（笑）。

──そうなればもっとドラマーとしての部分に専念できるから、ですか？

Tetsu：いや、そこはもはや違ってきてるというか。俺の場合、気になることは気になっちゃうから。ここまでやってくると、誰かに任せることになったとしても、自分で考えなきゃ気が済まないはずだと思う。そういう部分も含めて、このバンドのメカニズムが成立してるんじゃないかと思うからね。

取材・文◎増田勇一








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