【インタビュー】SEELA [D’ERLANGER]、「10年前から本当の意味で始まった」

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2007年の復活劇から満10年を経て、通算第8作目にあたる約2年ぶりのニュー・アルバム『J’aime La Vie』をリリースしたD’ERLANGER。早くも「名盤!」といった声が飛び交い始めているが、まさに“2017年のD’ERLANGERだからこそ作り得たアルバム”というべき今作にまつわるメンバーたちの個別インタビューを、BARKSでは全4回にわたってお届けする。

◆D’ERLANGER 画像

第3回を迎えたD’ERLANGERのリレー・インタビュー、今回はSEELAの登場だ。『J’aime La Vie』のリリースを経て、すでに現在は同作を引っ提げての全国ツアーの只中にいる彼らだが、今回はそんな日々の合間に話を聞いた。テーブルを挟んで向き合うと、まずSEELAが関心を示したのは筆者が使用しているICレコーダー。彼自身も最近になって、フレーズのアイデアなどを録りためておくのにこうしたレコーダーを使うようになったのだという。少し前まではiPodなどの録音機能を用いていたという彼。当然ながらそれ以前はカセットテープを使っていた。というか、10年前はこのバンドの楽曲の数々もそこから生まれていたのである。

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■2日間の違いがいい形で作用している
■集中の仕方が少し違うというか

──確か、再結成当時はCIPHERさんの作ってくるデモはまだカセットテープだったはずですよね?

SEELA:そうですね。テープの場合、ちょっとヨレてたりすると半音ぐらい違って聴こえることがあって、“これはチューニング、どっちかな?”というようなことも、ごくまれにあったり(笑)。この10年でそういう部分にも大きな違いが出てきましたね。

──ずいぶん様変わりしましたよね。さて、アルバムが5月3日に発売となり、その直後にツアーも開幕を迎えているわけですけが、ツアー自体の調子はどうですか?

SEELA:今回のツアーは毎週末に2日間続けてライヴという日程になっていて、そのうち1日が今までのいろんな曲を取り混ぜた内容、もう1日が今回のアルバムを軸にした内容というふうになっていて。ツアーの冒頭が(5月6日、7日の)岡山だったんですけど、そこで新曲メインの日を迎えた時は、さすがにちょっと頭のなかが真っ白になりましたね(笑)。

▲<REUNION 10th ANNIVERSARY -薔薇色の激情->
2017年4月22日(土)@豊洲PIT


──なにしろリハ以外では合わせたことのない曲主体のライヴ、ということになるわけですもんね。

SEELA:そういう曲ばかりやるわけですから。まだまだ身体がパッと反応しにくいというか、ちょっと考えてしまう部分が残ってしまっていて。新曲を初めてやる時というのは、いまだに少なからずそういうところがあるもんなんですけど、今回はそれが1曲や2曲ではないので、特にそういう感覚をおぼえてるところがあります。ライヴでこんなに新曲をみっちりやったことはこれまでになかったんじゃないか、という気もするくらいだし。だから“よし、行くぞ!”といよりは、ちょっと構えてしまうところがある。とはいえもちろん、一回目より二回目、という感じで良くなってきているのが自分でもわかるんで、これからの変化が楽しみですね。まだ噛み砕ききれてへん楽曲が身体に入ってくると、そこから出てくるニュアンスも自然と違ってくるやろうから。そうやって回を重ねていきながらちょっと余裕が出てくるようになると、お客さんの反応ももっと感じられるようになるだろうし。

──なるほど。余裕がない段階ではそれを感じている場合じゃないというか。

SEELA:そうですね。まだそれを実感できにくいところは若干あります。

──ツアー前のリハーサルには、いつもどれくらいの期間をかけているんですか?

SEELA:いつも2日間ぐらいですね。しかもそんなに何度も全曲通してやるというわけではなくて。2日目の最後には全体を通してやるけども、それまでは要所要所の確認というか、今回の場合は必然的に新曲を合わせてましたね。ただ、そうやって神経を新曲に集中させていたんで、普段から慣れてるはずの曲で“おっ!”ということになったり(笑)。

──油断大敵な感じで。

SEELA:まさに。油断してるつもりはないんですけどね、もちろん。でも、そういう意味では、やり慣れた曲についても新鮮な気持ちで取り組めるという部分もあります。しかも長年染みついてるものというのは、何回かやっていくうちに勝手に出てくるものというのがあるんで。でも実際、新曲についてはまだお客さんも“聴いてくれてる”という感じがありますね。感触としてはめっちゃいいんですけど、まだ少し構えて聴いてくれている。ライヴなんで、そこは自然に聴いて欲しいわけですけど、これから徐々にそうなっていくはずで。自分たちの身体に染み込んでいくのと同様にして。

──毎週末に2日間のライヴを繰り返していく、という流れについてはどうですか? 連日ライヴが続いていくというのとは違って、2本終えるたびにリセットできる部分というのがありそうですけど。

SEELA:そうですね。そこでちょっと考える時間ができるというか。この流れは嫌いじゃないです。ずっと何日も続けてやるのもいいんですけど、今回のように2DAYSで両日とも演奏内容が違うという形でのツアーを、そういうペースで続けていくのはなかなか大変なことでもあるだろうし。今回の場合、ライヴ本編のセットリストは、2日間とも完全に1曲も被ってないんですよ、今のところ。

──それはすごい。ある意味、通常のツアーの倍の労力がかかっているともいえそうです。

SEELA:でもまあ、日によって気分を切り替えられるという良さもあって。今のところは、2日間の違いというのが自分のなかでもいい形で作用している感じがありますね。それぞれの日で集中の仕方が少し違うというか。変な言い方だけども、自分自身が飽きずに済むというのもあるし。

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