【インタビュー】+α/あるふぁきゅん。、人生の分岐点を語る
「良くも悪くも自分には欲がない」とクールに微笑む+α/あるふぁきゅん。だが、自らが作り出す歌の世界観へ向けたジャッジメント・レベルは非常に高く、極めてストイックに研ぎ澄まされた結果が新作『ALMATIC.』であることは明白だ。つまりは欲は無くとも、彼女自身を突き動かすこだわりとプライドは、不純物から分離された結晶のようにピュアで硬質なもののようだ。
突き抜けた歌唱力と類まれな表現の巧みさ、キュートで可愛らしいそのルックスとは裏腹に、彼女は自らを暗く内向的な人間と断言したまま、自分の中でうごめく内なるエネルギーと表現欲求を、歌という仮想舞台で一気に噴出させている。そんな振り切れた芸術体質な素養を携えてこの世に生を受けた+α/あるふぁきゅん。とは、いったいどのような人物なのか。
当然のことながら、その圧倒的な歌唱力は幼き頃から身についていたようで、自らの天賦の才に気付き歌い手として自覚が芽生えるまで、自身がたどった道程に焦点を当てた。
◆ ◆ ◆
■「パパが言うならあたし歌やる」って
■身体が熱いような感覚を覚えていた
──ニコ生を始めた4年前、現在のような未来を描いていましたか?
+α/あるふぁきゅん。:描いてないです。なんにも考えてなかったですね。暇つぶしでラジオのようにしゃべったりとか、ひとり紙芝居とかやってました。
──表現スキルは、すでに持っていたんですね。
+α/あるふぁきゅん。:元々美術系が得意で、子どもの時に描いた絵で賞金をもらってランドセルを買ったことがあるんです。幼稚園くらいのときなんですけど、「賞金で何買う?」ってママに言われて「筆箱とランドセルが欲しい」って。絵や彫刻とか砂絵とかも好きで音楽も好き。芸術系全般が好きだったんです。子どもなんで「あたし漫画家になる」って絵を描いて遊んでいたんですけど、そんな私を見て、父親がビール飲んでタバコふかしながら「絵より歌の方がいいんじゃないか」って一言を。
──いつも歌っていたんですね。
+α/あるふぁきゅん。:歌いながら絵を描いてました。パパっ子なうえに子どもだったんで「パパが言うならあたし歌やる」って鵜呑みにして、歌に決めました。
──お父さんの鑑識眼、さすが。
+α/あるふぁきゅん。:小学校の高学年のときに、学校の授業で「ウィー・アー・ザ・ワールド」が流れたんですけど、ほとんどの子が興味を示さない中で、私はすごく感動したんです。家に帰って片っぱしから出ていた人を調べて聴いていって、そこから音楽が本当に好きという気持ちがより一層高まったんだと思います。それで音楽系の勉強ができる高校に行きました。
──すでに自覚が芽生えていたんですね。
+α/あるふぁきゅん。:でもまだ音楽の仕事をしようという思いは無く「好きだから勉強しに行こう」という気持ちだったんです。
──「ウィー・アー・ザ・ワールド」に過度に反応したのは何故だと思いますか?
+α/あるふぁきゅん。:どちらかと言うとちょっと暗い子で、これといって自分がハマる趣味や楽しい出来事もなかったので、それだけ華やかに見えたんじゃないでしょうか。
──活発な子どもではなかったんですね。
+α/あるふぁきゅん。:全く活発じゃないです。体育会系じゃなくて、美術系が好き/本を読むのが好き/勉強を黙々とやっている…みたいな子どもだったんで。友達も凄く少ないです。
──いつも何かを考えているような子?
+α/あるふぁきゅん。:何事に対しても「まあそんなもんだろう」…って冷めてるような楽観的なような、そんな感じでずっと生きてきているんです。そんな性格なので、すごく淡白な感じの子どもだったと思います。
──そんな子がこんな表現豊かな歌を歌うんだから、分からないよなあ。
+α/あるふぁきゅん。:全く感情的でもないつまらない性格の子どもが、絵を描いたり音楽を聴いたりしたときだけ身体が熱いような感覚を覚えていたんで。
──熱くなる?
+α/あるふぁきゅん。:熱くなってる瞬間っていうのがあるんです。いいと思う曲を聴いて気持ちが入ると頭が熱くなって、物理的に熱を持つんです。汗をかいてくるんですよね。「ウィー・アー・ザ・ワールド」のときはそれがあった。手や身体が暖かくなって、気持ちよくて忘れられなくて、歌っているときとか、わりといろいろ出てるんでしょうね。
▲『ALMATIC.』初回限定盤 |
+α/あるふぁきゅん。:友達から「ニコ生おもしろいよ」って言われて、「おもしろいんだ。じゃあ時間あるしちょっとやってみよう」って。
──高校生にもなると、自分が“歌がうまい”ことには気付いているでしょう?
+α/あるふぁきゅん。:周りの子に比べたら、歌えるってことに気づきました。ニコ生やってて「歌ってみてあげてみなよ」って言われて、色んな人から応援してもらって「敗北の少年」「え?あぁ、そう。」「紅蓮の弓矢」の動画を上げました。「求めている人がいるから」「少人数だろうけど認めてもらえているから」「歌うのも好きだから」「チャンスが舞い込んできたから」…じゃあやろっかなっていう感じです。その頃は将来ライブをやってやるとかアルバムを出してやるとか考えてなかったけど。
──今では状況や環境も変わり、やりたいこと/やりたくないこともずいぶんと変化してきたでしょう?
+α/あるふぁきゅん。:少しはあるんですけど、でも私のいいところは「欲が深くない」部分で、欲が無いからきっと今があるんです。ただ…悪い部分でもあって、欲が無いのでやる気が出るポイントが極めて少ないんですよ。
──どういうことですか?
+α/あるふぁきゅん。:自分から「おーし、やるぞー!」ってメラメラ燃えるタイプではなく、やらなければいけない何かを課せられたときに、ものすごくやる気が出るタイプ。悪い大人に引っかかると危ないタイプだと思うんですけどね(笑)。
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