【インタビュー】kyo [D’ERLANGER]、「これはもう向かうところ敵無しですよね」
■チャレンジが常にある
■そういったものに挑むのも楽しみ
──10年前の4月22日と同じ日比谷野外大音楽堂でやれたなら理想的ではあったのかもしれません。ただ、kyoさん自身もステージ上で言っていましたけど、過去にライヴをしたことがない場所であの瞬間を迎えられたというのも素敵なことだなと思いました。
kyo:そうですね。またD’ERLANGERにとって新しい宝物になる場所というか、そういうものがひとつ増えた。そんなふうに受け止められたので。あの日を終えてこうして数日が過ぎて(この取材が行なわれたのは4月25日のこと)、今は安堵感のなかにいますけど、そうこうしているうちにツアーもすぐ始まりますし、そのことを考えると“ワオ!”って感じですけどね(笑)。なにしろアルバムに入ってる新曲たちは、レコーディングしっ放しの状態にあるわけですから。レコーディング後、まだ4人で合わせてない。でもなんか、さすがだなと思うのは、その新曲のなかから「バライロノセカイ」を1曲だけ今回のライヴでやった時に、いかにも新曲っぽいぎこちなさがまるでなかったことで。だから特に心配はしてないんですけど、僕個人としては“歌えるのかな?”みたいなのがあって。単純に、キー的な意味とかでね。そんな不安を感じさせる曲もいくつかあるので。
──アンコールの最後に披露された「バライロノセカイ」は、とても象徴的なものになりましたよね。ライヴ自体が、この10年間のスタート地点だった「dummy blue」で始まり、次のディケイドの入口となるべき「バライロノセカイ」で幕を閉じたわけで。しかも本当に、いい意味で新曲という感じがしなかった。
kyo:うん。それはいつも思うことなんですけどね。そこがD’ERLANGERのすごさのひとつなんです。多分、そういう意味では僕がファンといちばん近い視点というか観点で、それを実感できてると思うんです。演奏が始まったところで“すげえな!”と思うわけですから。それが初めてやる新曲であるにもかかわらず。僕はといえば、まだ歌詞がおぼつかないようなところもあるくらいなのに(笑)。ホントにいつもそれは感じさせられる。もうなんか、理屈じゃないところでの強さがあるんでしょうね。身体から発してるものがあるというか。
──変な言い方ですけど、このバンドは、やりたいものしか作らないじゃないですか。“こんな曲までやるの?”という意外性とかを追求するわけではなく。
kyo:言いたいことはわかります。多分、CIPHERのなかにはやりたいことがたくさんあって、それを形にする場としてのD’ERLANGERがあって。そのなかで、いろんなピースを集めながらアルバムに繋げていってるというか。そこで次々と、ありそうでなかったものが増えていったりもするわけです。だから、普通にワクワクしながら曲が出てくるのを待ち構えてますもん。ドキドキもしますけど(笑)。
──ヒヤヒヤはしないわけですよね?
kyo:ははは! それはないですけど。あとは“これ、難しいな”と自分のなかで思うものが、必ずいくつか出てくるんです。そういう意味では、チャレンジが常にある。どう表現すればいいんだろうとか、このメロディをどう歌えばいいんだろうとか。そういったものに挑むのもまた、楽しみのひとつなんですけど。
──そうしたチャレンジの要素が伴っているのに新曲っぽいぎこちなさが残らない、というのがすごいと思うんです。歌の面においても。
kyo:一回、レコーディングというフィルターを通してしまうと、その時点でもうそれが血となり肉となっている感じがするんです。他のメンバーはそんなことはないって言うかもしれないけど、僕の体感の具合からするとそういう感じではあります。そうやって身体に取り込めてしまう。もちろん、最初に新曲と向き合う時には誰にだってぎこちなさがあるはずですけど、それを消化していくスピードのレベルが、アルバム制作を重ねていくごとに格段に上がってきてますからね。
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