いい音爆音アワー vol.76 「春先の転調♪特集」

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爆音アワー
いい音爆音アワー vol.76「春先の転調♪特集」
2017年3月15日(水)@風知空知
少しひねくれた、でも明るいポップな曲が好きです。「ひねくれた」とはなんぞやと申しますと、リズムならば「変拍子」とか、メロディならば「転調」とかをさり気なく持ち込んで、普通ではない、ちょっと意外な展開をしてくれる感じですね。
なので「転調」は好物なのです。「転調」を効果的に使うことによって、音の景色がガラッと変わったり、曲の貴重なアクセントになったりします。
とは言え、音楽理論に詳しくはないので、曲を聴いたり、譜面を見たりするだけでは、どんなふうに転調しているのか、私には判りません。ただ、「ここで転調しているな」ということを、なんとなく感じるだけです。
聴いて気持ちよければそれでいいと思いますが、でも、好きな曲にどんな転調技法が使われているのか解ったならば、さらにおもしろいですね。
福岡智彦 (いい音研究所)

セットリスト

▶シンプル盛り上げ型
Key(調)を上げると、一段盛り上がるように聞こえるので、曲の後半で1音とか上のKeyに転調するのは、よく使われる方法。
  • 加藤和彦と北山修「あの素晴しい愛をもう一度」
    “シモンズ”のデビュー曲として作ったが、採用されなかったので自分たちで歌ったらしい。
  • Backstreet Boys「I Want It That Way」
    今世界一売れているプロデューサー=Max Martinの初の大ヒット。
  • Whitney Houston「I Will Always Love You」
    映画「ボディガード」の主題歌。アルバムは4400万枚のマンモス・ヒット!
  • Superfly「愛をこめて花束を」
    「シンプル盛り上げ転調」以外にもいろいろ転調しています。曲もアレンジもほんとによくできた作品だと思います。
  • 原田真二「シャドー・ボクサー」
    「アミューズ」の第1号アーティストにして、後藤次利さんの編曲デビュー作品。
▶景色を変えて戻る型
たとえば短調から長調に転調すると、哀しげなムードから明るい気分へ景色を変えることができます。それを自然に移行させるために、いろんな方法があります。よく使われるのが、
*同主転調=たとえばCを主音にするCメジャー(ハ長調)とCマイナー(ハ短調)は同主調です。同主調への転調は自然に聞こえます。
*平行転調=たとえばCを主音にするCメジャー(ハ長調)とその1音半下のAを主音とするAマイナー(イ短調)は平行調で、同じドレミファソラシの音階を使用します。平行調への転調も自然に聞こえます。
  • Char「気絶するほど悩ましい」
    ジャケットの壁に貼ってある写真は、左からジョージ(b)、リューベン(dr)、ダニー(key)、当時のCharのバック・バンド・メンバー。
  • The Beatles「While My Guitar Gently Weeps」
    たまたま手に取った本を開いたら目に入った「gently weeps」という言葉で詞を作ったそうです。
  • Dusty Springfield「You Don’t Have To Say You Love Me(この胸のときめきを)」
    なぜ「ほこりっぽい春の畑」なんていう芸名をつけたのでしょうか?
  • 加山雄三「旅人よ」
    (転調なんか知らなかった)子供の頃この曲は、サビでぱーっと山々の連なりが見えるような気がして、とても好きでした。
  • Cécile Corbel
    「Arrietty’s Song (English version)」
    彼女の出身地フランスのブルターニュはケルト文化なんですな。
▶技あり型
ここから先は転調を駆使して、独自・独特の世界を作り上げている「技あり」作品たちです。
  • 広瀬香美「ロマンスの神様」
    ガラスも割れんばかりのパワフルなハイトーン・ボイスと目まぐるしく展開する曲調は、笑っちゃうほど衝撃的でした。
  • Stevie Wonder「Golden Lady」
    半音ずつKeyが上がり続けていくエンディングは、天に向かって歩いていくようです。
  • Gangway「My Girl And Me」
    酔いそうなくらい曲調が変化しますが、ちゃんとポップなんです。
  • Oh! Penelope「Photograph」
    フェイド・アウトしていくとき、いつまでも聴いていたい♪と思うコード進行です。
  • MY LITTLE LOVER「Hello, Again 〜昔からある場所〜」
    このサビの転調によってスケール感がグンとアップしていると思います。
  • 松田聖子「赤いスイートピー」
    わずか1小節半のEmへの転調がこの曲に深みを与えているのですね。さすがはユーミン。
  • 荒井由実「きっと言える」
    日本ポップスの名曲と言える中で、おそらく史上最も大胆に転調を導入した作品。
  • The Beatles「Here, There and Everywhere」
    ポールが「ビートルズ時代に作曲した中で最も好きな曲」と語っている。ジョンも「『リボルバー』の中で最も好きだ」と語っている。
                        
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